佐藤志樹氏【乱高下が続く日経平均、年末年始は上か下か】 <相場観特集>
―目先はFOMCが焦点も、方向感見えにくい東京市場―
11日の東京株式市場は主力株を中心に大きく買われる地合いとなり、日経平均株価は一時600円を超える上昇で3万2900円台まで水準を切り上げる場面があった。前週末に開示された11月の米雇用統計は総じて強い内容だったが、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ打ち止めに影響を与えるほどではないという見方で、株式市場ではリスクを取る動きが優勢となった。これを受け東京市場でも市場センチメントが改善している。ここ乱高下が続く日経平均だが、年末年始はどういう動きをみせるのか、東洋証券ストラテジストの佐藤志樹氏に意見を聞いた。
●「強調展開で3万4000円台目指す方向に」
佐藤志樹氏(東洋証券 ストラテジスト)
週明けの東京株式市場は日経平均が大きく反発に転じた。ここ先物主導で荒い値動きが続いているが、基本的に年末年始は強気優勢の地合いが期待できるとみている。今週は12~13日の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、この内容にマーケットの関心が高い。ただ、前週末発表の11月の米雇用統計はコンセンサスから上振れたとはいえ想定内の結果で、利上げ終了の思惑が覆されるようなことはなさそうだ。
会合後のパウエルFRB議長の記者会見やFedメンバーが予想する誘導目標の水準を散布図化したドットチャートなどが注目されるが、場合によっては行き過ぎた早期利下げ期待が剥落する可能性もあり、その場合は一時的に米株安を招き、日経平均もそれに追随して下値を試すことも考えられる。ただし、仮にそうなった際には押し目買い好機ととらえ買い向かってみたい。
日本国内に目を向けると日銀のマイナス金利解除が近い印象をマーケットに与えている。しかし、12月もしくは1月の金融政策決定会合で解除された場合でも、これが今後の金融政策が引き締め路線に向かうことを意味するものではない。したがって過度に不安視する必要はなさそうだ。日経平均の向こう1ヵ月のレンジは下値が3万2000円前後で上値は3万4000円台乗せも視野に入る。
そうしたなか、物色対象として注目されるのは、まず消費関連セクター。月次が好調なエービーシー・マート <2670> [東証P]やアシックス <7936> [東証P]のほか、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]など百貨店株に着目したい。また、半導体関連では東京エレクトロン <8035> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]など主力銘柄の見直しが期待できそうだ。このほか、低PBRのバリュー株では三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などメガバンクに上値妙味があるとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(さとう・しき)
明治大学商学部卒。2013年東洋証券に入社。同年より、9年間個人投資家を中心とした資産アドバイザーを経験し、2022年4月より現職に。
株探ニュース