ポエック Research Memo(4):環境・エネルギー事業、動力・重機等事業、防災・安全事業を展開(2)
■ポエック<9264>の事業概要
3. 動力・重機等事業
動力・重機等事業は、三和テスコと東洋精機産業が製造から販売までをカバーしている。三和テスコが従事する大型プラントの案件は納期が8~12ヶ月かかるものがある。三和テスコは、創業が1918年と100年以上の社歴を有し、船舶用エンジン台板では豊富な実績と長年にわたり培った技術力がある。グループ入りしてからは製造力を生かして、熱交換器や防災・安全事業の加圧送水装置の製造を担当している。東洋精機産業が製造・販売する燃料噴射弁は、ディーゼル機関で高圧の燃料を燃焼室内に噴射する弁であり、主として船舶用エンジンに組み込まれている。
4. 防災・安全事業
防災・安全事業の加圧送水型消火装置は、三和テスコが製造を、同社が販売・設置・保守メンテナンスを行う。主な製商品は、屋内・屋外消火栓、スプリンクラー消火設備用加圧送水装置「ナイアス」である。同製品は、加圧水槽を付置し窒素ガスの圧力で水槽の水を散水する。送水に動力ポンプを使用しないため、電気工事は不要である。また圧力水槽内の水を使うため水道工事も必要なく、工事期間中の断水もない。災害時に水道や電気がストップしても、作動が可能となっている。福祉施設、グループホーム、公共施設、商業施設、宿泊施設での設置実績がある。南極昭和基地にも10基設置されている。
「ナイアス」は多数の受賞歴がある。第4回ものづくり日本大賞(2012年2月、優秀賞)、第10回中国地域ニュービジネス大賞(2002年5月、大賞)、第13回ニュービジネス大賞(2003年1月、優秀賞)を受賞した。
新たな市場開拓として、原子力発電所と水素ステーションの付帯設備として拡大を進める。「ナイアス」は非常電源を設置する必要がなく、地震や津波などの自然災害時にも作動するという強みがある。CO2を排出しない次世代の燃料電池自動車(FCV)は、2022年末の国内累計販売台数が7,648台と未だ限定的だ。2022年5月末時点で設置されている水素ステーションは、156ヶ所にとどまる。JHyM(日本水素ステーションネットワーク(同))は、2027年度までに500基程度の水素ステーションの整備を目標としている。日本政府が2050年カーボンニュートラルを宣言したことで、今後の加速が見込まれる。2021年6月に改訂された2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略において、水素ステーションに関する新たな政府目標は2030年までに1,000基程度と設定された。同社は、水素ステーション向けでは業界トップの岩谷産業<8088>への納入実績がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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提供:フィスコ