貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6857 アドバンテスト

東証P
9,447円
前日比
+62
+0.66%
PTS
9,480円
23:58 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
57.3 14.68 1.16
時価総額 72,377億円
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半導体大相場の次はここだ! 自動運転関連「急騰前夜の特選6銘柄」 <株探トップ特集>


―主戦場となる「レベル4」、トヨタなど自動車大手の戦略加速で走り出す銘柄群とは―

 24日の東京株式市場では日経平均株価が続伸し、一時3万3800円台まで上値を伸ばす場面があった。7月3日につけた3万3753円を大引け段階で上回れば、33年8カ月ぶりの高値圏に躍り出ることになる。この日は買い一巡後に伸び悩み高値更新はならなかったが、早晩7月の高値を通過点に更なる高みを目指すとみる市場関係者は少なくない。

 全体相場を牽引しているのは 半導体関連株だ。東京エレクトロン <8035> [東証P]やレーザーテック <6920> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]など先駆した主力どころの銘柄に続いて2番手、3番手に位置する中小型株に急騰モードの銘柄が相次いでいる。米長期金利の低下を背景に、投資マネーによるバリュー株からグロース株へのシフトが鮮明となっているが、テクノロジー系銘柄の値動きはダイナミズムに溢(あふ)れ、バリュー株と比べて勢いの違いを見せつけている。とりわけ、相場の花形である半導体セクターは投資対象となる銘柄の裾野が広く、波状的な資金の流入が観測される。

●自動運転関連は圧倒的初動で買い場

 テーマとして半導体関連株への注目度はまだ序章といえるが、短期的には買い疲れ感も垣間見られる。投資家目線で次にどこがターゲットとなるかを考えることは重要である。グロース株へのローテーションが続くなか、半導体関連銘柄の復権は人工知能(AI)デジタルトランスフォーメーション(DX)といったソフトウェア系への“引火”を促す蓋然性が高い。

 そうしたなか、急浮上気配にあるのが自動運転分野の銘柄群だ。自動車生産の回復によってトヨタ自動車 <7203> [東証P]だけでなく、 自動車部品メーカーなどその周辺株にも光が当たっていることも伏線となる。政府が成長戦略として掲げる次世代分野では、生成AIや脱炭素と並び自動運転も重点領域となっているが、既に日本は自動運転の技術開発で世界のリード役としての立ち位置にあり、株式市場でも“現実買い”の第一幕が始まっている。今回のトップ特集では、半導体関連株人気を引き継ぐソフトウェアの急先鋒として、株価面で圧倒的初動の時間軸にある「自動運転関連」にスポットライトを当ててみたい。

●ドライバー不在で縦横無尽に走る時代

 世界的な電気自動車(EV)シフトの動きと並行して自動車のインテリジェント化が進んでいるが、そのなか、自動運転技術が次世代自動車の要を担うキーテクノロジーとして脚光を浴びている。車載カメラやレーダー、赤外線センサーなどを使って周囲の状況を認識したうえで、AIの判断により安全かつ効率的に自動走行する。かつてはSFチックな夢物語でもあったドライバー不在の自動車が縦横無尽に街を走る時代、そうした光景が現実のものとしてすぐ目の前に来ていると言っても過言ではない。

 自動運転ではレベルが1から5まで段階的に区分けされており、システムが前後または左右の車両制御を行う運転支援の段階をレベル1、これが更に進化した状態で前後及び左右双方の車両制御を行う部分運転自動化の段階をレベル2としている。もっとも、ここまではドライバーが操作の主体でシステムは補助的な役割に過ぎない。

 実際に自動運転の領域といえるのは、限定された条件においてシステムがすべての運転操作を実施可能とするレベル3からであり、レベル3はドライバーが状況に応じてハンドルを握ることが可能な態勢であることが求められる条件付運転自動化だが、これがレベル4になると限定された条件下でシステムがすべての運転操作を実施するとともに、ドライバーは運転席から外れることもできる状態(高度運転自動化)を意味する。そして、最終到達地点であるレベル5は、システムがすべての運転を行う完全自動運転化であり、その段階ではハンドルやアクセル・ブレーキ自体がついていない自動車、つまりドライバーという概念自体が消えるということになる。

●物流2024年問題でも救世主に

 政府は2025年度をメドに地域限定型の自動運転サービスを全国50カ所程度で実現させることを目指している。高速道路でのレベル4で運行するトラックの実用化なども目標とされている。これは、トラック運転手の時間外労働が24年4月から年960時間に制限される 物流の2024年問題とも密接に絡んでおり、想定される危機的なドライバー不足に対処するうえでも、自動運転の進化は喫緊の課題ともなっている。

 また直近では、22日に首相官邸で開かれた「デジタル行財政改革会議」で、タクシーを中心に無人自動運転の事業化に向けた課題を検証する検討会の開催が決定されたことが伝わった。無人タクシーなどの自動運転車が普及すれば、人口減少が進む地域などで新たな移動手段として見直される公算が大きい。全国初の営業運行が福井県でスタートしており、今後の展開が注目される。また、同会議では自動運転による交通事故の責任に関するルールを検討し、24年5月をメドに結論をまとめる方向で確認された。自動運転に関する検討会については、デジタル庁と経済産業省、国土交通省が事務局を務める形で12月に初会合を開く予定にある。法的にも実用化に向けた準備が着々と進んでいる。

●トヨタをはじめ自動車大手の「本気」

 自動運転では当然ながら大手自動車メーカーの動きがカギを握っている。とりわけ業界の盟主であるトヨタはEVなどの電動化戦略と並んで、自動車のソフトウェア革命でも存在感は大きい。21年に開催された東京五輪の選手村に導入した同社の自動運転バスは、自動運転制御のハードウェア・ソフトウェア、カメラなどのほか、レーザー光を照射し反射光によって対象物の形や距離などを計測するLiDARなどのセンサーを搭載、高精度の3Dマップと運行管理によるレベル4相当の自動運転を実現している。また、通信業界の巨艦であるNTT <9432> [東証P]と資本・業務提携を通じて、自動運転に関する取り組みで連携を強めており、今後の展開に耳目が集まりそうだ。

 一方、ホンダ <7267> [東証P]は21年に、自家用車として世界初の自動運転レベル3を実現した高級セダンのレジェンドを発売した実績が光る。なお、米ゼネラル・モーターズ<GM>などと協働で無人タクシーの運用を26年から計画している。自動運転レベル4に相当するもので、500台規模の運用を行う青写真を描いている。

 日産自動車 <7201> [東証P]は運転支援技術「プロパイロット」が有名だが、これは今から7年前の16年に発表し市場の注目を集めた。19年にはバージョンアップされた「プロパイロット2.0」を投入、高速道路で同一車線内ハンズオフが可能な運転を実現した。同技術は軽自動車から高級セダンまで多くの車種に搭載されている。また、自社テストコースで次世代LiDARを用いた緊急回避性能を高めた運転支援技術のデモを6月に公開している。レベル4以上の自動運転で、同社の新技術が大きな役割を担う可能性が高いとみられている。

●旺盛なテクノロジー系銘柄への物色ニーズ

 東京株式市場では半導体関連株の復権で気勢が上がる状況にあるが、この流れはテクノロジー関連株に対するマーケットの潜在的ニーズの強さを浮き彫りとしている。話題の日の丸半導体会社ラピダスが、最先端半導体の量産に照準を合わせていることが、日本の半導体産業全体にも活力をみなぎらせ、今の半導体株人気を底流で支えている。

 今月に入って、そのラピダスが東京大学やフランスの半導体研究機関と連携して、回路線幅1ナノメートル級の次世代半導体設計の基盤技術を共同開発する動きが報じられた。この最先端半導体の開発及び供給体制の確立によって、ソフトウェアに強力な追い風がもたらされることになるが、それを待ち望んでいる代表格が自動運転分野でもある。半導体人気が派生する有力テーマとして、自動運転関連株は早めにマークしておく必要がありそうだ。今回のトップ特集ではテーマ買いの初動段階で、これから大きく株価の居どころを変える可能性を秘めた有望6銘柄を厳選セレクトした。

●自動運転分野で大活躍期待の6銘柄

◎フィックスターズ <3687> [東証P]

 Fスターズは企業のソフトウェア高速化を主要業務としており、ビッグデータ時代を反映した大量データ計算の高速処理ニーズを捉えている。AI分野での豊富な知見に加え、次世代コンピューティングの切り札とされる量子コンピューター分野で大きく先行。富士通 <6702> [東証P]とはスーパーコンピューターで協働するが、スパコンの国際的性能ランキングでは長らくトップの座を確保している。自動運転分野でも積極展開をみせる。パーソナルモビリティの開発・販売を行うWHILL(東京都品川区)の自動運転システム開発を支援しているほか、連結子会社を通じドローンの自動運転クラウド開発などでも先駆している。24年9月期営業利益は23億円と2ケタ増益で3期連続の過去最高利益更新を見込むが、高水準の受託開発案件をバネに来期以降も成長トレンドに変化はない。株価は11月に入り底入れ反転し急速な戻り足をみせているが、日足一目均衡表の雲抜けでここは追撃のチャンス。ファンダメンタルズ面から1200円近辺の株価は評価不足歴然だ。

◎システナ <2317> [東証P]

 システナは車載用を主力にソフト開発支援を展開する。モバイル端末向けで培ったノウハウを活用してエレクトロニクス化が進展する自動車分野に重心をシフトし、自動運転では実証実験や運行システム、更にECU(電子制御ユニット)の開発などで先行して実績を積み上げている。業績は売上高、利益ともに過去最高更新基調にある。24年3月期は売上高が前期比8%増の803億8600万円を見込み、営業利益は同8%増の106億1000万円と初の100億円台乗せを果たす見込みだ。その成長性を考慮すると15倍近辺のPERは割安といってよく、22%を超える高ROEも評価される。株主還元にも前向きで時価予想配当利回りは3.6%と高い。株価は株式分割を繰り返したこともあって、この業績内容にして200円台と値ごろ感が際立つ。今年2月1日につけた年初来高値425円から時価は34%もディスカウントされた状態にあり、業績面と照らし合わせれば年初来高値奪回への道筋も早晩見えてくる公算が大きい。

◎東海ソフト <4430> [東証S]

 東海ソフトは独立系のソフトウェア開発会社でIoT分野に注力し企業のDX投資需要を取り込むほか、車載向けはECUなど組み込み関連で高い実績があり、自動運転分野を含むCASE開発案件でも先駆している。名古屋に本社を構え、トヨタグループ向けで強みを持っている点も注目材料といえる。業績は23年5月期営業利益が前の期比28%増益と高成長を果たした。24年5月期は伸び率こそ鈍化するものの前期比4%増益の8億9900万円予想と連続最高益更新を見込んでいる。PER8倍台と指標面で割安感が強く、今期年間配当は前期実績比5円増配となる35円を計画、配当利回りは3%を超える。株価は10月11日に1236円の年初来高値をつけた後は調整を入れているが、75日移動平均線をサポートラインに下げ止まっており、新高値圏へ再チャレンジの機をうかがう。1100円近辺は拾い場と判断される。出来高流動性にやや乏しいのが難点ではあるが、小型株で信用買い残も軽く、動き出せば上値余地は大きそうだ。

◎図研エルミック <4770> [東証S]

 エルミックは映像系の通信ミドルウェアを開発するが、音声や映像などのデータを受信しながら再生するストリーミング技術を武器に幅広い分野で需要を開拓している。また、監視カメラや工場向けなどでAIを活用した映像解析技術を駆使し、高度なオプションサービスを提供している。主要販売先がソニーグループ <6758> [東証P]の関連会社やファナック <6954> [東証P]であることが、同社の実力を代弁している。ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]とも取引関係にあるが、車載カメラ向けで同社の映像ミドルウェア技術への引き合いは各方面で旺盛であり、今後は自動車メーカーによる横軸展開によって自動運転分野のキーテクノロジーの一角を担う可能性も。23年3月期営業利益は前の期比87%増益という変貌を遂げたが、24年3月期の同利益については前期比弱含み横ばい見通しと保守的だ。ただ、トップラインは拡大基調を維持しており、今期売上高は2ケタ増収を見込んでいる。株価は300円未満と値ごろ感があり、超小型株ならではの足の速さを発揮するケースも想定。

◎コア <2359> [東証P]

 コアは独立系のシステムインテグレーターで、家電製品や車載向け組み込みソフトの受託開発や顧客のオーダー受注に対応したシステム開発などを手掛ける。近年は最先端技術を生かした高付加価値なソリューションビジネスにも傾注している。ソリューション領域ではメディアやエネルギー分野などを中心に需要を開拓し、クライアントの課題を解決するサービスを提供する。車載向け組み込みソフトでは大手自動車メーカーと40年にわたり約2万5000件に及ぶ開発実績が光る。センサーや無線通信技術を駆使した先端車載システムの開発支援でも高実績を有し、GNSS(全世界測位システム)を活用した自動運転分野での活躍が見込まれる。業績は15年3月期以降、前期まで9期連続の営業増益で、その伸び率の高さは目を見張るものがある。24年3月期営業利益は前期比9%増の30億円予想と伸び率こそ鈍化するものの2ケタ近い増益を見込む。株価は年初来高値1808円を通過点に2000円大台替えが視野に入りそうだ。

◎アイシン <7259> [東証P]

 アイシンはトヨタ系の自動車部品メーカーとしてデンソー <6902> [東証P]に次ぐ存在で、グループの中核を担う1社といえる。自動変速機(AT)では世界トップシェアを誇る。売り上げの約60%をトヨタ向けで占めるが、海外ではフォルクスワーゲンやアウディ、ボルボといった錚々(そうそう)たるメーカーを顧客としている点もポイント。自動運転ではAI画像解析によって車内の人間にも気を配った安全性・快適性を追求したシステム開発で優位性を発揮する。自動車生産回復の恩恵は同社の収益に直結するが、24年3月期は売上高が2ケタ増収で4兆9000億円と連続過去最高更新を見込むほか、営業利益段階では前期比3.6倍となる2100億円予想と劇的な急回復をみせ、18年3月期以来6期ぶりの高水準を確保する見通しにある。株価は5000円台半ばを中心としたもみ合いを続けているが、好業績でなおかつPER・PBRなど指標面からも株高修正余地は大きい。自動運転関連の象徴株の一角として目が離せない。

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