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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─立ち上がれッ"7人のサムライ"、逆襲が始まる!

経済評論家 杉村富生


「立ち上がれッ“7人のサムライ”、逆襲が始まる!」

●時価総額は“すばらしき7人”の13分の1!

 アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>などアメリカ市場の巨大IT企業は堅調である。今週は感謝祭(23日)の休み(24日は半日立ち会い)を控え、基本的に手控えムードだったが、主軸株はしっかり買われている。なにしろ時価総額はアップルが440.7兆円、マイクロソフトが415.2兆円に達する。

 2社合計では855.9兆円だ。東証プライム市場(1658社上場)の時価総額(21日時点は846.1兆円)を上回る。国際マネーはリスクオンの姿勢を強め、とりあえず“マグニフィセント・セブン”(すばらしき7人→アメリカ市場の時価総額上位を占める主要テクノロジー企業7社)をポートフォリオの“核”にし、買い増しをしようとの動きである。

 まさに、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ということか。まあ、ド真ん中の銘柄を買っておくと運用競争上の大負けは避けられる。バークシャー・ハサウェイ<BRK.B>だって、運用資産の51%がアップルである。ウォーレン・バフェット氏は「集中投資は富を築く」と語っている。50年間に資産2万倍の実績を考えると、その通りだと思う。

 ちなみに、アルファベット<GOOG>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、エヌビディア<NVDA>、メタ・プラットフォームズ<META>、テスラ<TSLA>、およびアップル、マイクロソフトの7社(マグニフィセント・セブン)の時価総額(11月20日時点)は1757.6兆円である。この集中投資はどこまで続くのだろうか。

 外部環境ではVIX(恐怖)指数が12ポイント台に低下した。株価は地政学上のリスク、中国経済の低迷長期化など、気にしていない。逆に、SOX(フィラデルフィア半導体株)指数はジリ高だ。原油(WTI)は落ち着いている。OPECプラス(石油輸出国機構とロシアなど非加盟産油国)は総会を30日に延期した。減産交渉が難航、と指摘されている。

●年末に向け小物も買われる、狙い目の銘柄は?

 日本市場はアメリカ市場に比べると、スケール面での出遅れが著しい。すなわち、「失われた30年」のツケだろう。アメリカ市場の時価総額は7015.4兆円に膨らんでいる。実に、東証プライム市場の8.3倍だ。マグニフィセント・セブンに対抗して筆者が作成した7人のサムライ(東京市場の時価総額上位7社)は131.1兆円にとどまる。

 悲しいかなマグニフィセント・セブンの13分の1以下だ。しかし、心配は無用だろう。時価総額45兆円のトヨタ自動車 <7203> [東証P]は同110兆円のテスラを追う。同16兆円のソニーグループ <6758> [東証P]、同15兆円のNTT <9432> [東証P]はジリ高となろう。巨大IT企業と比較すると、“小型株”である。

 キーエンス <6861> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]の時価総額は20兆円あってよい。現状では買収のリスクにさらされる。そんなバカな? いや、かつてマイクロソフトが任天堂 <7974> [東証P]にM&Aを仕掛けようとしたじゃないか。

 小物はどうか。収益構造一変のLAホールディングス <2986> [東証G]、南海化学 <4040> [東証S]、萩原電気ホールディングス <7467> [東証P]はじっくり狙える。ブリーチ <9162> [東証G]、pluszero <5132> [東証G]、バルテス・ホールディングス <4442> [東証G]は出直り色を鮮明にしている。

 このほか、半導体関連のKOKUSAI ELECTRIC <6525> [東証P]、ジェイ・イー・ティ <6228> [東証S]、タツモ <6266> [東証P]、野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]、テラプローブ <6627> [東証S]は抜群に強い。直近IPOのJapan Eyewear Holdings <5889> [東証S]は評価不足である。

2023年11月24日 記

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