貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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1332 ニッスイ

東証P
910.3円
前日比
-6.4
-0.70%
PTS
910円
20:27 11/21
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.8 1.05 2.64 2.35
時価総額 2,844億円
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社会ニーズが業績押し上げ、熱気高まる「冷凍食品」株は妙味満載 <株探トップ特集>


―タイパ志向も需要を後押し、関連銘柄には好決算発表も相次ぐ―

 冷凍食品業界の快走が続いている。コロナ禍で 外食需要が落ち込む一方、中食需要が拡大したが、その一環として冷凍食品が定着したことも拍車をかけている。直近で発表された関連企業の上期決算でも、冷凍食品事業の堅調ぶりを示す数字が多く出ており、業績面からの注目度も高い。関連銘柄のなかには既に株価が上昇基調にあるものも少なくないなか、改めて冷凍食品関連株に注目したい。

●消費量は30年前の85%増へ

 日本冷凍食品協会(東京都中央区)によると、2022年の国民1人当たりの冷凍食品の年間消費量は前年比3.5%増の23.9キログラムだった。30年前の1992年には12.9キログラム、20年前の2002年には18.8キログラム、10年前の12年は21.2キログラムだったので、短期的な変動はあるものの長期的には増加傾向にあるといえる。

 冷凍食品の需要が高まっている背景には働く女性が増加したことや、単身世帯が増加していることなどの社会的なニーズに加えて、企業による味や栄養面への努力、食材ロスへの関心が高まるなかで必要な分を必要な時に使用できるといった利点が評価されていることがある。特に近年では、時間効率を重視するタイパ(タイムパフォーマンス)志向の高まりも市場拡大を後押ししている。

 また業務用でも調理の手間が省けるほか、配送頻度を抑えコスト削減につながるなどのメリットが注目されている。多様化するニーズや企業側の努力により、冷凍食品の市場は今後も拡大が見込まれている。

●冷凍専門店も出店相次ぐ

 コロナ禍で急速に設置が増えた冷凍自動販売機や冷凍食品専門店の増加なども冷凍食品の需要拡大に寄与している。

 フランスの冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」は16年11月、東京都港区に日本初出店した。「ピカール」は現在フランス国内に1050以上の販売拠点があり、世界16カ国以上で展開をしているフランスの国民的な食品ブランドで、日本では現在「ピカール」12店舗、スーパーなどの一角にある「プティピカール」27店舗を展開するまでになった。

 「ピカール」を日本国内で展開するのはイオン <8267> [東証P]グループのイオンサヴールだが、イオングループではほかに冷凍食品専門店「@FROZEN(アットフローズン)」も展開しており、22年に千葉県浦安市に1号店を開設した。11月10日には4店舗目をイオンモール与野にオープンする予定で、今後も店舗拡大を図る方針だ。

●業績好調な冷凍食品大手に注目

 需要が拡大する冷凍食品だが、関連銘柄のなかには既に第2四半期累計(4~9月)決算を発表したものも少なくなく、好業績銘柄に注目したい。

 ニップン <2001> [東証P]の冷凍食品事業では、15年に業界に先駆けて主食とおかずがセットになった家庭向けのワンプレート冷凍食品「よくばりシリーズ」を発売。発売当初は苦戦したものの、和食シリーズを投入したことをきっかけにヒット商品へと成長。こうしたワンプレート冷凍食品が市場全体の拡大を牽引しているとの見方もある。同社が11月7日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算では、「よくばり」シリーズや大容量の「Big」シリーズなどの家庭用の販売が好調に推移。価格改定を実施したこともあり冷凍食品の売上高は伸長した。冷凍食品を含む食品事業の好調もあり、営業利益は110億3500万円(前年同期比89.3%増)と大幅増益を達成。同時に24年3月期通期営業利益予想を125億円から175億円(前期比42.4%増)へ増額修正したが、その牽引役の一つに冷凍食品の販売数量の伸長が挙げられている。

 ニッスイ <1332> [東証P]の冷凍食品事業は、白身魚やカキ、アジなど水産フライや米飯に強み。足もとでは家庭用は値上げの影響もありやや苦戦しているものの、業務用は人流回復の効果もあり外食・量販店総菜向けが堅調に推移している。11月6日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算で、冷凍食品を含む食品事業の営業利益は141億5200万円(前年同期比2.0倍)となっており、全体の営業利益162億7500万円(同22.1%増)を牽引。24年3月期通期業績予想でも同様に牽引役として期待されている。

 マルハニチロ <1333> [東証P]は、安定した原料調達力と商品開発力を強みに家庭用・業務用冷凍食品を展開している。11月6日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算で、営業利益は167億5700万円(前年同期比5.2%増)となったが、冷凍食品を含む加工食品の価格改定が増益に貢献。冷凍食品では今春発売した主菜と副菜をセットにした家庭用の「おかずプレート」シリーズが快走中だ。

 味の素 <2802> [東証P]の冷凍食品事業は家庭用・業務用ともに中華製品や唐揚げに強み。特に冷凍ギョーザは、20年連続で売り上げ日本一の冷凍食品となっている。11月6日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算では、冷凍食品事業の事業利益は海外冷凍食品の好調や単価上昇効果、構造改革効果などで前年同期比61億円増の66億円と拡大した。下期も引き続き冷凍食品事業の好調を見込んでおり、24年3月期通期の同事業の事業利益は前期比5.0倍の100億円となる見通しだ。

 ニチレイ <2871> [東証P]の冷凍食品事業はチキンなどの弁当用具材やチャーハンなどの米飯に強みがあり、今年4月には冷凍チャーハンなどの需要増に対応するため福岡県宗像市に冷凍米飯工場を新設した。10月31日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算では、冷凍食品など加工食品事業は前期実施の価格改定効果もあって増収増益を達成。全体の営業利益は173億9800万円(前年同期比18.3%増)となった。24年3月期通期業績予想で売上高6680億円(前期比0.9%増)のうち加工食品事業は2890億円(同4.8%増)を見込むが、特に家庭用調理冷凍食品は前期の814億円から861億円へ拡大する見通し。なお、通期営業利益は350億円(同6.3%増)を見込む。

 東洋水産 <2875> [東証P]は焼きそばやライスバーガーに強み。足もとでは、人流の回復により業務用商品が伸長しており、冷凍食品を含む低温食品事業が好調に推移しており、10月31日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算で、同事業のセグメント利益は38億7300万円(前年同期比21.3%増)と伸長した。同社は上期決算発表と同時に24年3月期通期業績予想について、営業利益を500億円から520億円(前期比28.9%増)に上方修正している。

●サンクゼールは新業態を展開

 日東ベスト <2877> [東証S]は、業務用冷凍食品が主力で、ハンバーグやかつ類、介護施設向けセットメニューなど多種多様なラインアップを誇る。22年10月には山形工場(山形県山形市)のハンバーグ製造ラインで火災が発生し業績にも大きな影響を与えたが、今年7月には再稼働し外食店向けハンバーグの供給不足が徐々に解消へ。また、レジャー施設やスポーツ観戦向けの需要も回復しており、10月30日には24年3月期第2四半期累計(4~9月)業績予想を上方修正している。なお、決算発表は11月10日を予定している。

 サンクゼール <2937> [東証G]は今年3月、新規事業として「冷凍食品及び輸入食品を中心とした小売事業」を開始すると発表した。9月には新業態「MeKEL(メケル)」の1号店を開店。1号店の初月売上高(9月2日~30日)は3300万円で、既存店1店舗当たり売上高750万円を大きく上回り、消費者の関心の高さを表している。今後も地方都市を中心に出店し、将来的には450店舗程度に拡大する計画のようだ。

 神栄 <3004> [東証S]は、1971年に冷凍食品事業を開始し、コロナ禍による影響を受けたものの、2023年3月期には過去最高の19年3月期の売上高236億円に迫る235億円まで回復している。10月31日に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算でも冷凍食品の販売拡大の取り組みが奏功し食品関連事業が好調。セグメント利益は11億6600万円(前年同期比2.1倍)に拡大した。

 ポーラ・オルビスホールディングス <4927> [東証P]傘下のオルビスは10月、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> [東証S]と協業で、冷凍総菜事業に参入すると発表した。冷凍デリ「インナーカラーデリ」は、料理を美味しく食べるための丁寧なひと手間や栄養バランスへの配慮など、食事をこしらえる時間に込められている「思いやり」を詰め込んだ冷凍食品の提供を目指し開発されたもので、10月10日に5品目の販売を開始した。

 このほか、20年5月に冷凍食品市場に参入し、人気メニューの冷凍食品を展開する大戸屋ホールディングス <2705> [東証S]、冷凍食品の販売店を拡大している良品計画 <7453> [東証P]などにも注目したい。

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