日プロ Research Memo(9):第6次中期経営計画では大規模案件請負を推進
■日本プロセス<9651>の成長戦略
2. 第6次中期経営計画の概要進
第6次中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)では、経営ビジョンに「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する。」を掲げ、基本方針として、人材育成のための大規模案件請負の推進(大規模案件受注に向けた営業力強化、新規設計力の向上、マネージメント力の向上)と、T-SESのトータル度向上に取り組んでいる。T-SESはトータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスの略で、長年にわたり培ったソフトウェアエンジニアリング技術をベースとして、ソフトウェアの要件定義、システム開発、構築サービス、検証サービスから運用・保守までトータルにサービスすることにより、顧客に最大のメリットを提供することを表している。
なお業績に関する具体的な目標数値は公表していないが、目標とする経営指標としては売上高営業利益率10%以上、株主還元の指標としては配当性向概ね50%以上を掲げ、2023年5月期には売上高営業利益率10%以上を達成している。
特に重視している人材育成に関しては、大規模案件の経験が不可欠として、大規模案件受注に向けた営業力強化(部門間の営業連携や本社による営業支援強化など)、新規設計力の向上(大規模案件による新規設計機会の創出、新規設計力の向上など)、マネージメント力の向上(大規模案件によるプロジェクトマネージ機会の創出、マネージメント力の向上など)に取り組んでいる。また長期的な取り組みであるT-SESのトータル度向上については、各分野でのトータル度向上、顧客へのサービス価値拡大に向けた施策を推進している。
2023年5月期時点の進捗状況としては、人材育成のための大規模案件請負の推進では、エネルギー関連分野では大規模請負案件で実績を重ね、人材提供型から成果提供型へのビジネスモデル転換が進展している。危機管理分野では大規模請負案件が成功を収め、次期案件獲得を推進している。航空宇宙関連の大規模請負案件はフェーズ1の経験を生かし、フェーズ2が2024年5月期上期に完了する見込みとなっている。また鉄道子会社向けでは業務系システムで成功を収め、次期案件獲得を推進している。T-SESのトータル度向上では、AD/ADASの基本ソフトの全ての主要機能の習得を完了し、車種展開での一括請負を目指した体制強化や新担当範囲の品質確保にも注力している。交通分野では、当面はJR各社の投資抑制で在来線運行管理案件が先送りされている状況だが、投資回復に向けて一括受注体制の準備を進めるとともに、ATOS関連の装置一括受注やAIを活用した運行制御など新分野への拡大を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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提供:フィスコ