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9644 タナベCG

東証P
1,187円
前日比
-16
-1.33%
PTS
1,200.1円
10:53 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
24.4 1.83 3.96
時価総額 208億円
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タナベ Research Memo(9):5つの成長モデルの推進と人的資本の強化で持続的成長が可能な収益基盤を構築


■今後の見通し

3. 成長戦略
タナベコンサルティンググループ<9644>は「One & Only 世界で唯一無二の経営コンサルティンググループ TCGの創造」を実現するため、5つの成長モデルの実装とM&A戦略を推進し、また、持続的な成長を実現するためのコーポレート戦略に取り組んでいる。

(1) TCG5つの成長モデルの実践
a) プロフェッショナルDXサービスモデル
同社のコアバリューである「経営戦略の策定機能」を深化させるとともに、現場の実行支援においてデジタル技術を駆使した「プロフェッショナルDXサービス」のメニューをグループ会社等と協業しながら拡充していくことで売上成長を図っていく。2023年3月期に実装したサービスとしては、「建設業界向けDX Cloud(ERPシステム)」、「物流業DX Cloud」「戦略ブランディング&PR支援コンサルティング」のほか、HR領域におけるエンゲージメントサーベイ、性格能力判定サービスなどがある。

b) C&C開発モデル
同社はC&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略(経営コンサルティング領域の多角化戦略)を推進している。経営コンサルティング領域の開発の流れについて簡単に説明すると、社会環境等の変化によって新たに生まれてきた経営ニーズや経営課題などについてテーマ化し、それをチームコンサルティングメニューとして商品化、研究会・セミナーを通じてチームコンサルティング組織を組成(コンサルティングセグメンテーション)し、次のステップとしてコンサルティング事業化していくことになる。ここ数年はM&A戦略も推進しながらコンサルティング領域を拡げており、「専門性」と「総合性」を追求しながら、唯一無二の経営コンサルティング・バリューチェーンを構築していく考えだ。

c) マーケティングモデル
ターゲットとする上場企業を含む大企業から中堅企業の約4万社、地方自治体等に対して、地域密着のリージョナル戦略と独自のマーケティングモデル(経営コンサルティング領域別の専門サイト、各種セミナー、研究会等を導線とした見込み顧客の獲得)によって顧客獲得を図り、経営コンサルティング契約の継続率70%以上と、売上計画の35%を新規顧客の獲得で達成していく。経営コンサルティング領域別の専門サイトは「長期ビジョン・中期経営計画策定」「デジタル・DXの戦略・実装」「HR」「コーポレートファイナンス・M&A」「事業承継・M&A」などを運営し、これらサイトを通じて見込み顧客を多く獲得、チームコンサルティング契約件数増加につながっており、今後もコンテンツ拡充に取り組んでいく方針だ。

そのほかにも、CRMコンサルティング部門における既存顧客へのフォローアップ強化によって新たなコンサルティング需要の掘り起こしも進めており、2023年3月期におけるチームコンサルティング契約の1社あたり平均売上高の増加(前期比10.5%増)にもつながっている。同社は今後も顧客当たり平均売上高で年率10%アップを目標にしている。

d) チームアップ&パートナー100モデル
「C&C開発モデル」との連動により、既存組織及びチームから新しいリーダーを生み出し、これらリーダー人材をパートナー人材に育成するためのマネジメントシステム(企業内大学による育成プログラム等)を構築し、パートナー人材を50名から100名に増やしていく(2023年3月期末で71名)。ここで言うパートナー人材とは、コンサルティングチーム(5~10名)をまとめる人材を指す。このため、パートナー人材を100名育成するということは、コンサルティングチームが100チームできることを意味する。特に、今後は地域経済の活性化に貢献すべく、地域エリアでのチーム拡大に取り組むべく人員体制の強化を図っていく。

e) アカデミーモデル
プロフェッショナル人材※の早期育成(目標2年)を目的に、オンライン&リアルを融合した教育研修システム「TCGアカデミー」の拡充を進めている。アカデミー導入後は、チーフコンサルタントへの育成スピードが従前の5年程度から2~3年に短縮するなど既に成果も出始めている。2023年3月期は「リーダーシップ学部」「ストラテジー&ドメイン学部」「HR学部」「コーポレートファイナンス学部」「マーケティング学部」「CRMコンサルタント学部」「コーディネーター学部」といったように領域別のアカデミーも新たに創設してグループ会社にも導入している。プロフェッショナル人材の中途採用は難しい環境でもあるため、同ツールを活用していくことでグループ全体の人材育成強化を効率的に進めていく。

※プロフェッショナル人材とは、チーフコンサルタントとして5社以上を担当し、特定分野のプロジェクトリーダーとなる人材。


(2) 人的資本マネジメント
同社は2026年3月期に連結従業員数800名を目標に掲げており、今後、採用体制を強化して新卒・キャリアの採用数を増やしていく計画となっている。キャリア採用では業界に精通した実務経験者を採用し、地域事業所での体制強化を図るべくIターン、Uターン採用にも注力していく方針だ。従前と比較して経営コンサルティング領域が拡がったことで、募集時の職務内容も細分化して提示することが可能となり、実務経験者からの応募者数も増加傾向にある。ホールディングス化を契機にグループマネジメントチームを作り、グループ採用についても強化している。2023年3月期の実績としては中途採用で70名程、新卒採用で15名程が入社した。2024年3月期は新卒入社が15名程度となり、中途採用は前期以上のペースで進めていく計画となっている。将来的には、コンサルティング会社として全国展開している強みを生かして、新卒30名、中途70名の採用ペースに引き上げていく考えだ。

コンサルティング事業では人材が売上のベースとなるため、人員増が計画通り進むかどうかが中期業績目標達成のカギを握ると言っても過言ではない。同社では採用強化に加えて、TCGアカデミークラウドによる効率的な人材育成、並びに多彩なプロフェッショナルが活躍できる職場環境づくりの推進(JOB型人事制度の導入や「Smart DX」投資による働く環境の整備と生産性向上)により、優秀な人材の定着率向上に取り組み(現状は3年平均で89.0%と業界では高水準)、2026年3月期に800名の達成を目指す。

(3) SDGsの取り組みについて
SDGsに関しては多くの企業から引き合いが増加していることを受け、「SDGs実装コンサルティング」「SDGs研究会」「SDGs教育」等の商品を開発し、顧客企業のSDGsへの取り組みを支援している。同社自身においても、事業所における電力節減やペーパーレス化など環境面での取り組みに加えて、健康経営の推進(健康経営優良法人2023(大規模法人部門)に認定)やコーポレート・ガバナンス体制の強化を図っている。現在、マテリアリティの特定並びにKPIの設定作業を進めている段階にあり、今後も重要な経営課題の1つとして取り組んでいく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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