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国内株式市場見通し:日米の金融政策決定会合や企業決算など材料目白押し


 

■円高一服も半導体株安が重石

今週の日経平均は87.01円安の32304.25円と小反落。連休明けの日経平均は102.63円高。中国の経済指標の下振れが重石になった一方、為替の円高進行の一服や年初来高値を更新したダウ平均の動きが支援材料になった。19日は402.14円高と大幅に続伸。日本銀行の植田和男総裁の発言を受けた為替の円安に加え、経済指標や銀行の好決算を受けた米国の景気減速懸念の緩和を背景に買い戻しが入った。一方、20日は一転して405.51円安と大幅反落。テスラや蘭ASMLホールディングなど海外ハイテク株の決算が嫌気され、半導体を中心としたハイテク株の下落が相場の下押し圧力となった。週末は米景気敏感セクターやニデック<6594>の好決算、為替の円安が下支えする一方、台湾積体電路製造(TSMC)の決算を受けた半導体株安が重石となり、日経平均は続落した。

■アドバンテストの決算に注目

来週の東京株式市場は強含みか。27-28日に開催される日本銀行の金融政策決定会合では現状の政策が維持され、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正は行われない見込みとの観測報道が伝わっている。これを受けて為替は1ドル=141円台後半まで円安・ドル高が進み、週末の夜間取引の日経225先物は400円超上昇している。一方、物価見通しは上方修正される公算が大きく、YCCについても見直しに向けて議論の対象になる可能性は高い。警戒感は既に大きく後退したが、植田和男日銀総裁の記者会見でのコメントなどは引き続き要注目だ。

一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)が25-26日に開催される。26日にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見も予定されている。今月のFOMCでは0.25ポイントの利上げがほぼ100%織り込まれている一方、次回9月のFOMCについては、据え置きが8割以上の確率で織り込まれている。ただ、FRBは米6月消費者物価指数(CPI)の発表前ではあるが、6月FOMCで公表した政策金利見通し(ドットチャート)で年内2回の追加利上げを示した。また、その後、パウエル議長も議会証言や各種イベントでの発言機会を通じて度々、年内2回の追加利上げを主張していた。

市場関係者の多くが9月FOMCでは据え置きを予想しているが、FOMC後の会見で、パウエル議長が9月会合での利上げを否定せず、従来からの姿勢を維持した場合にはタカ派サプライズとなり、株式市場に動揺が広がるだろう。足元では米CPIの発表以降、今回のFOMCに対する警戒感が後退し、楽観ムードが広まっている印象があるため、注意しておきたい。

ほか、日米の企業決算に注目だ。米国では電気自動車のテスラと動画配信サービスのネットフリックスがともに決算を受けて株価が大きく下落した。ネットフリックスは売上高実績と7-9月期の売上高見通しが市場予想を下回り、素直に売られた。一方、テスラは値下げによって粗利益率が市場予想を下回ったものの、売上高と一株利益は予想を上回った。しかし、今後の更なる値下げが懸念され、株価は大きく下落した。東京市場でも安川電機<6506>やファーストリテイリング<9983>の決算後の反応を見る限り、株価が高値圏にある銘柄については、決算後は出尽くし感が先行しやすいようだ。

また、半導体株の行方も気がかりだ。最先端の半導体露光装置メーカーとして世界トップの蘭ASMLホールディングの4-6月期実績は市場予想を上回った。ただ、受注高の伸びは1-3月期と同様、前年同期比46%超と大幅な減少が続いたほか、先端品の見通しが下方修正され、株価は大きく下落した。さらに、半導体受託製造の世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の4-6月期決算は四半期ベースでは約4年ぶりの減収減益となった。また、7-9月期のガイダンスが市場予想を下回ったほか、通期の売上高見通しも下方修正された。

生成AI(人工知能)への過剰な期待が修正されつつあるなか、来週はアドバンテスト<6857>が26日に決算を発表する。同社は冴えない決算が続いているが、生成AI関連株の筆頭格として今年に入ってからの昨年末比の株価上昇率は最大で2.6倍にも及ぶ。期待先行の印象が特に強い銘柄で、日経平均への寄与度も大きいことを考えると、リスクイベントとして注意が必要だと考える。

米国ではマイクロソフトが25日に決算を発表する。生成AI関連のサービスを相次いでリリースするなど、こちらも関連株の筆頭格として注目されている。株価が高値圏にある銘柄は出尽くし感が先行しやすい傾向があるなか、市場の期待と株価水準を維持できるのかどうかを見守りたい。

25日には国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを公表する。米経済のソフトランディング(軟着陸)に対する期待が高まっているが、見通しが上方修正された場合にはハイテク株に比べて出遅れ感の残る景気敏感セクターの買いをさらに支援することになりそうだ。

■IMF世界経済見通し、米4-6月期GDP速報値、東京都区部CPI、など

来週は24日に6月全国百貨店売上高、米ナスダック100指数のリバランス実施、25日に米FOMC(-26日)、米7月消費者信頼感指数、IMFの世界経済見通し、26日にパウエルFRB議長会見、27日に日銀金融政策決定会合(-28日)、ECB定例理事会、米4-6月期国内総生産(GDP)速報値、28日に植田日銀総裁の会見、7月東京都区部CPI、米6月個人消費支出(PCE)コアデフレーター、などが予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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