【市況】米国株式市場見通し:FOMCやハイテク決算に注目
NASDAQ <日足> 「株探」多機能チャートより
4-6月期国内総生産(GDP)速報値、個人消費支出(PCE)コアデフレーターなどの重要な経済・インフレ指標に加え、25-26日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)に注目だ。また、ハイテク決算にも注目したい。ほか、大型ハイテク株は24日に実施されるナスダック100指数のリバランスによる影響が注目される。
6月消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)が予想以上に鈍化したため、FRBは今会合でほぼ確実視されている0.25ポイントの追加利上げを実施したのち、利上げサイクルを終了するとの見方が強まりつつある。ただ、声明やパウエル議長が会見で、利上げ終了を宣言するとは考えにくい。コアCPIは鈍化基調にあるものの、ペースは想定以上に遅い。また、FRBの2%目標には程遠いため、当面の間は金融引き締めが必要であると強調する可能性が高いだろう。経済指標の結果次第では、インフレ退治のために必要とあれば追加引き締めを実施する用意があると、繰り返すことになりそうだ。
4-6月期GDP速報値では前期比年率+1.8%と、4四半期連続で成長ペース減速が予想されている。ただ、プラス成長が続く見通しで、景気後退の兆候はあまり見られないだろう。金利がピークに近づく中、経済の見通しが一段と楽観的になれば消費関連に買い戻しが見られそうだ。FRBが注視しているインフレ指標のひとつ、PCE コアデフレーターの6月分は前年比+4.2%と、CPIと同様に一段と伸びが鈍化し、21年9月来で最低の伸びが予想されている。利上げピーク観測が強まれば株式相場の支援材料となりそうだ。また、一部銀行調査によると、預金者の残高がコロナ前から3~4割増加しているという。一部余剰資金が株式相場に流入している兆候も見られ、さらなる相場押し上げ要因になりそうだ。
経済指標では、6月シカゴ連銀全米活動指数、7月製造業・サービス業PMI(24日)、5月FHFA住宅価格指数、5月20都市住宅価格指数、7月コンファレンスボード消費者信頼感指数、7月リッチモンド連銀製造業指数(25日)、6月新築住宅販売件数(26日)、4-6月期GDP速報値、6月耐久財受注、新規失業保険申請件数、6月中古住宅販売仮契約(27日)、4-6月期雇用コスト指数、6月個人所得・個人支出、 PCEコアデフレーター、ミシガン大消費者信頼感指数確定値、7月シカゴPMI(28日)、などが予定されている。
主要企業決算はハイテクで、検索グーグルを運営するアルファベット、ソフトウェア会社のマイクロソフト(25日)、ソーシャルメディアのフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(26日)、クレジットカード会社のビザ(25日)、マスターカード(27日)、自動車メーカーではゼネラル・モーターズ(25日)、フォード(27日)。加えて、技術・金融サービスのゼネラル・エレクトリック、オフィス製品などを供給するスリーエム(25日)、飲料メーカーのコカ・コーラ、通信のAT&T、メキシコ料理レストランチェーン運営のチポトレ(26日)、鉄道のノーフォーク・サザン、ファーストフードチェーンのマクドナルド、メディアのコムキャスト(27日)、再生可能燃料会社のシェブロン(28日)、などが予定されている。
半導体の受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)が「人工知能(AI)開発は活発化も世界的なエレクトロニクス需要低迷が当面続く」とリスクを警告。23年の売上高見通しを下方修正しており、ハイテクの決算では世界経済の成長減速の影響を受けた需要の鈍化に警戒だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ