アンジェス Research Memo(9):疾病分野等を対象に開発を進め、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す
■今後の成長戦略
アンジェス<4563>は経営理念として、「治療法がない疾病分野や難病・希少疾患などを対象にした革新的な遺伝子医薬の開発・実用化を通じて、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献する」ことを掲げ、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。
黒字化の時期に関しては、開発パイプラインの進捗状況次第となる。特に、米国でHGF遺伝子治療用製品の開発に成功した場合には、数十億円規模のマイルストーン収入(既に受領した契約一時金含む)が得られる見通しとなっているため、2024年前半にも発表される後期第2相臨床試験の結果が注目される。また、椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAについても、国内での第2相臨床試験の開始を決定したことで、2026年頃に判明する試験結果の内容によって導出の可能性が出てくる。オプショナルスクリーニング検査事業についても規模は小さいものの、今後も検査数の拡大により売上高の増加が見込まれ、早晩利益貢献することが予想される。Emendoを子会社化したことで研究開発費負担が重くなっているが、Emendoが開発を進めるパイプライン導出の可能性や「OMNI プラットフォーム」を活用した共同開発契約の実現、IPOの実施などによって資金負担の軽減を図りながら早期の収益化を目指す。これらの取り組みが順調に進めば2020年代後半には連結業績も黒字化する可能性があると弊社では見ている。
成長戦略としては、グローバル化に向けた組織強化や人財育成、並びに技術プラットフォームの深化と拡大に取り組みながら、1) 「コラテジェン(R)」の製品価値最大化、2) パイプラインの継続的拡大、3) 欧米を中心としたグローバル展開の推進、4) 検査事業も含めた希少遺伝性疾患への取り組み強化などに注力し、企業価値の向上を目指す。希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査事業を行うことで、希少遺伝性疾患領域での新たな開発品候補を見出し、Emendoの「OMNIプラットフォーム」を活用して治療薬の開発につなげていくという好循環を作り出すことができれば、「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す」と言う同社の長期ビジョンの実現に一歩近づくことになるだけに、今後の動向が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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提供:フィスコ