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来週の相場で注目すべき3つのポイント:米ISM非製造業景気指数、メジャーSQ、中国貿易収支


■株式相場見通し

予想レンジ:上限33000円-下限31000円

来週の東京株式市場は強含みか。懸案だった米債務上限問題を巡る先行き不透明感は解消された。また、米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を受け、6月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ一時停止の確率も高まりつつある。外部環境の不透明感が後退するなか、海外投資家による日本の企業や経済に対する変革期待の高まりを背景に堅調な推移を続けている日本株は、週末の株価指数先物・オプション6月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)を前に、短期的には売り方の買い戻しを巻き込みながら上値を試す展開が予想される。


米5月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回った一方、失業率が予想以上に上昇するなど強弱感が混在する内容だった。米景気の堅調さを裏付けつつもFRBの6月会合での利上げを裏付けるほどの内容ではないとの見方が優勢となり、米金利が大幅に上昇するなかでも米国株は大きく続伸した。138円台にまで突入していたドル円も再び140円を付ける場面が見られた。週明けの東京市場では米株高と円安を好感して買いが先行するだろう。


一方、米国の景気指標の下振れや賃金指標の鈍化のほか、財務省・金融庁・日銀による為替変動に対するけん制もあり、1ドル=140円台の定着は困難になってきている印象もある。6日に発表される毎月勤労統計調査の結果次第では市場が日銀の金融緩和政策の修正を先走って織り込む可能性も考えられる。これまで日本株高は円安とともに進んできた背景もあるため、円安の一服感は日本株の上値抑制要因となりかねない。


需給面でも追い風はやや弱くなってきている。日本取引所グループ(JPX)が発表する投資部門別売買動向によると、5月第4週(5月22-26日)、海外投資家は現物で4096億円と買い越しを続けたが、前週の買い越し幅(7167億円)からは減少した。また、日経225先物は1587億円の買い越し(前週2641億円)、TOPIX先物は256億円の買い越し(前週3626億円)とこちらも勢いが鈍った。さらに、5月26日時点の裁定残高はネットベースで1兆838.94億円の買い越しで、既に2021年以降のレンジ上限近くまで増加してきているため、今後は裁定売り(現物売り・先物買い)の圧力が上値を抑制しやすい。


ほか、5月31日までの一週間で米国株ファンドが年初来最大となる資金流入を記録したことが伝わっている。この週、米債務上限問題が解決へ向かうとの楽観的な見通しが強まったことが背景にあると考えられている。これまでの日本株高の背景としては、東証によるPBR改善要請やバフェット氏の商社株への追加投資など日本独自の要因もあったが、債務上限問題など米国株を敬遠する材料があったからということも一つの要因としてあるだろう。足元で円安が一服したことに加え、米債務上限問題を巡る不透明感も解消されたことで、消去法的な理由から日本株に向かっていた逃避マネーの流れは小休止することが考えられる。今後も日本株への期待は続くだろうが、少なくとも日本株独歩高の局面は終わった可能性が高い。


海外では米供給管理協会(ISM)による5月非製造業(サービス業)景気指数(5日)、中国5月貿易収支(7日)などが注目される。今週に発表された米5月ダラス連銀製造業活動指数や米5月シカゴ購買担当者景気指数(PMI)、米5月ISM製造業景気指数は軒並み予想を下回った。中国でも国家統計局による5月製造業PMIは予想を下回り、民間版の財新製造業PMIは予想を上振れたものの、向こう1年の企業信頼感を測る指数は7カ月ぶりの低水準だった。


米国では製造業の景況感底入れに対する期待が高まっていたが、最新の米ISM製造業景気指数の新規受注の急減などはこうした期待を後退させるものだった。サービス業については歴史的な低水準にある失業率などを背景に堅調さが予想されるものの、今週の決算ではダラー・ゼネラルやメーシーズが業績予想を下方修正しており、個人消費も減速しつつあるもよう。米ISMサービス業景気指数が予想外に悪化した場合や、中国の貿易収支で改めて同国経済の軟調さが確認されれば、世界的な景気後退懸念が株価の上値を抑えることになりそうだ。


■為替市場見通し


来週のドル・円は下げ渋りか。6月13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、フィラデルフィア連銀総裁は利上げの見送りを支持するとした一方、ジェファーソンFRB理事は政策の据え置きについて政策金利のピークと解釈すべきでないと発言した。しかしながら、来週発表の経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、追加利上げへの期待は高まり、ドルは底堅い動きを維持するとみられる。5日発表の5月ISM非製造業景況指数は前月から改善の見通し。好不況の境目である50を上回れば追加利上げを後押しする材料になりそうだ。直近発表のコアPCE価格指数、雇用統計、JOLTS求人件数などFRBが政策判断に重要視する統計はまずまず強いため、利上げ停止観測を弱める要因となる。


連邦政府の債務上限停止法案が上下両院で可決され、まもなく成立する見通し。米国の債務不履行(デフォルト)を懸念したリスク回避の米ドル売り・円買いは縮小し、日本銀行による金融緩和政策の堅持が見込まれていることから、ドル・円は底堅い動きを保つことになりそうだ。


■来週の注目スケジュール

6月5日(月):日・欧・米・サービス業PMI(5月)、中・財新サービス業PMI(5月)、米・ISM非製造業景況指数(5月)、米・耐久財受注(4月)、など

6月6日(火):日・毎月勤労統計-現金給与総額(4月)、日・家計支出(4月)、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、欧・ユーロ圏小売売上高(4月)、など

6月7日(水):日・景気動向指数(4月)、加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・消費者信用残高(4月)、経済協力開発機構(OECD)が世界経済見通しを公表、など

6月8日(木):日・GDP改定値(1-3月)、日・国際収支(経常収支)(4月)、日・景気ウォッチャー調査(5月)、印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、欧・ユーロ圏GDP確定値(1-3月)、など

6月9日(金):中・消費者物価指数(5月)、中・生産者物価指数(5月)、など

《YN》

 提供:フィスコ

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