米国株式市場見通し:FOMC前に動きづらい展開
イエレン財務長官は債務上限措置が6月5日までに尽きると警告していたが、上下院で債務上限を停止させる「財政責任法案」が可決されたことで、米国のデフォルト(債務不履行)は回避された。「財政責任法案」は近く、バイデン大統領の署名をもって成立する見通し。債務上限問題への警戒感が後退し、今週末は買い戻しの動きが見られたが、この勢いが続くとは考えにくい。翌週に連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、来週は様子見姿勢が強まりやすいだろう。金融政策の決定を左右する経済指標の発表はなく、当局者が金融政策についての発言を禁じられるブラックアウト期間に入った。材料に乏しく、動きづらい展開となるだろう。
債務上限問題が解決に向かい、市場の関心は連邦準備制度理事会(FRB)の動向に移っている。5月ADP雇用統計や新規失業保険申請件数などが底堅い労働市場を浮き彫りにし、FRBが金融引き締めを続けるとの懸念が一時相場の重しとなったが、5月雇用統計が強弱入り混じる内容となったことで、市場はFRBに利上げを休止する根拠を与えたとみているもよう。CMEフェドウオッチによると、今月半ばのFOMCでの金利据え置き確率は70%程度となっている。一方、7月の利上げ確率は50%程度と据え置きの確率をやや上回っており、今月は利上げを見送り、7月に利上げを再実施するとの観測が広がっているようだ。
経済指標では、5月サービス業PMI、4月製造業受注、4月耐久財受注、5月ISM非製造業景況指数(5日)、4月貿易収支、4月消費者信用残高(7日)、週次新規失業保険申請件数、4月卸売在庫(8日)などが予定されている。
企業決算では、ゲーム販売のゲームストップ(GME)、食品会社のキャンベルスープ、ジャック・ダニエルなどを製造するアルコール飲料のブラウン・フォーマン、衣料品のレンタルサービスを提供するレント・ザ・ランウェイ(7日)、ほか、電子署名ソリューション会社のドキュサイン(8日)などが予定されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ