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0019 東証 中型株

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【植木靖男の相場展望】 ─上げるも下げるも相場、時を待て!


「上げるも下げるも相場、時を待て!」

●安易な強気、弱気は禁物

 日経平均株価は5月11日から窓を空けて8連騰を演じた。経験則通り、その後は一服したが、29日には年初来高値を更新し、33年ぶりの高値をつけた。まさに劇的な上昇局面となった。驚くべきは75日移動平均線をおよそ10%も上回ったことだ。通常の上昇局面ではせいぜい5~6%だ。だが、その割にはあまり過熱感を指摘する声も聞かれない。

 上昇の背景としては、さまざまな要因が指摘されているが、大きくは2つ。1つは需給関係の好転、そして円安の進行があげられよう。

 逆に言えば、この2つが崩れれば、株価は下落することになる。

 まず、需給関係。この間の売り手は個人と年金と指摘されている。年金は株式の保有比率が高まるため、株価が上昇すれば必然的に売りを出す。個人は利益確定に加え、ヤレヤレの売りも出ているようだ。

 一方、買い手は海外勢だ。これまで大きく売り越してきただけに、その買い転換はことさらに目立つ。ここ8週連続で海外筋の大幅買い越し(現物株と先物の合計)が続いている。メインは欧州勢のようだが、中国株や米国株の先行き不透明感から消去法的に日本株を買っているとの見方が有力だ。だとしたら、彼らの買いは当分続くとみてよいだろう。

 次に為替相場。円安の主因は日米の金利差にある、との見方に説得力がある。そもそも日本経済はデフレ体質、欧米はインフレ体質である。まして日銀が低金利政策を維持する一方、インフレ封じ込めに躍起な米国では金利引き上げが止まらない。キャピタル・フライト(日本からの資金流出)は相変わらずのようだ。

 とはいえ、為替相場では株式以上にチャートに頼る投資家が多い。だとすると、足もとでの140円を巡る攻防戦は見極めが大事なところだ。

 目下の東京株式市場は一言で言えば、高値もみ合いだ。ここで一服した後、再び上昇を続けるのか、高値疲れから小天井をつけて一旦下げに転じるのか、判断は悩ましい。ここは安易に強気になったり、弱気になったりすることは禁物だ。株価の行方がより鮮明になってからでも遅くはない。心を平らにして値動きを見つめたい。

●ソフトパワーVSハードパワー

 ところで、ここへきておかしな現象が散見される。日経平均株価とTOPIXがちぐはぐな動きを見せたり、日経平均株価が高くても、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を下回るといった事象が現れている。

 要は、指数への寄与度の大きい数少ない銘柄が日々、投機的に売買されているのだ。そうではない多くの銘柄は、置き去りにされている。日経平均株価が上昇していても、年初来安値をつける銘柄が多い日もあるのが実態だ。

 今後、物色を考えるうえで、こうした事実を踏まえ、銘柄を絞っていくことが正しいのか、こうした現象は一時的とみて、ひたすら業績をよく吟味して自分なりの銘柄を選ぶべきなのか。

 中長期的にみれば、GAFA(アルファベットC<GOOG>、アップル<AAPL>、メタ・プラットフォームズ<META>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>)のようなソフトパワーがさらに飛躍するのか、いずれ日本経済にとって有利となるハードパワーが立ち直るのかを考える必要があろう。

 その意味で、このところジワジワと水準を高めている三菱重工業 <7011> [東証P]の値動きに注目してみたい。

2023年6月2日 記

株探ニュース

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