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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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億り人と連敗中の残念さん、投資スタイルや売買益期待の銘柄での違いは?

第6回 上級者・勝つ人はココが違う!(億り人・バガー・残念さん編)
~個人投資家3750人調査で判明~

筆者/真弓重孝 = 『株探』編集部・編集統括プロデューサー
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。

第5回「億り人はどんな人、負けが込んでいる人と含み損益の銘柄に違いは?」を読む

億り人バガー残念さんシリーズの2回目は、

・投資スタイルやスタイル別の注目指標・情報
・平均的な銘柄保有期間や信用取引の利用動向
・売買益期待が大きい銘柄のランキング

――などを紹介する。

億り人とバガーのトップはバリュー派、残念さんの場合はグロース派

3者の間で、特徴的な差が表れたのが、投資スタイルになる。

億り人バガーはバリュー派が最多になったのに対して、残念さんはグロース派だった。

■投資スタイルの内訳
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位バリュー48%バリュー39%グロース30%
2位グロース24%グロース35%バリュー29%
3位テクニカル・需給9%テクニカル・需給8%テクニカル・需給19%
4位その他8%その他7%テーマ12%
5位テーマ7%テーマ6%イベント5%
6位イベント4%イベント4%その他5%

注:回答数は左から順に100、140、284。小数点第1位を四捨五入。単独回答


もっとも残念さんの場合は、グロース派とバリュー派の割合が拮抗しており、バガーもバリュー派とグロース派の差は4ポイントであることを踏まえると、顕著な違いとは言えない部分もある。

とはいえ、残念さんは前回の記事で見たように、初級者や初心者が多い。事業や市場の潜在的な成長可能性などの見極めが求められるグロース株投資はプロであっても難しく、初心者や初級者にはなおさらハードルが高い。

成長力の見極めが困難なグロース株投資において、リスク緩和策の1つが銘柄分散だ。ただ、これも前回記事で示したように、残念さんは保有する資産規模が比較的小さいために、銘柄分散を図りにくい状況となっている。

下の表は、残念さんの投資の腕前別に投資スタイルの割合(対総計)で示したもの。初心者から中級者までグロース派の割合が高いことがわかる。ハードルが高いグロース株に集中投資せざるを得ない状況が、残念な結果に導いている可能性がある。

■残念さんの投資の腕前別のスタイルの分布状況

初心者初級者中級者
グロース10.2%9.5%8.8%
バリュー8.1%12.7%7.7%
テクニカル・需給5.3%7.4%6.0%
テーマ1.8%6.7%3.5%
イベント1.4%1.4%2.5%
その他――2.5%1.8%
総計26.8%40.1%30.3%

注:回答数284に対する割当で、初心者から中級者を抜粋


バリューとグロースの注目する指標や情報は?

3者について、スタイル別の注目指標・情報を見たのが、以下になる。まず、割合の多いバリュー派とグロース派で見ると、特に目立った差は見られなかった。

■バリュー派の注目指標・情報
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位配当利回り65%配当利回り64%収益バリュー52%
2位収益バリュー54%収益バリュー56%配当利回り47%
3位PERの水準52%PERの水準53%PERの水準39%
4位PBRの水準46%PBRの水準51%PBRの水準30%
5位資産バリュー38%財務基盤の安定性40%資産バリュー20%
6位財務基盤の安定性31%資産バリュー31%財務基盤の安定性18%
7位理論価値より割安23%理論価値より割安22%適時開示17%
8位適時開示13%適時開示13%理論価値より割安14%
9位時価総額の水準8%時価総額の水準5%その他11%
10位大株主の保有割合4%大株主の保有割合5%時価総額の水準8%
11位その他4%その他5%投信組み入れ動向2%
12位――――――――大株主の保有割合2%

注:回答数は左から順に162、190、217。回答は4つまで。小数点第1位を四捨五入


■グロース派の注目指標・情報
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位利益の成長性75%売上高の成長性76%利益の成長性67%
2位売上高の成長性71%利益の成長性76%売上高の成長性49%
3位セクター・事業の成長性67%セクター・事業の成長性55%収益性の改善39%
4位収益性の改善42%収益性の改善49%セクター・事業の成長性31%
5位時価総額の水準33%適時開示29%適時開示25%
6位適時開示33%時価総額の水準22%フリーCFの動向11%
7位フリーCFの動向13%フリーCFの動向12%時価総額の水準11%
8位大株主の保有割合13%大株主の保有割合12%大株主の保有割合7%
9位その他8%その他6%その他6%
10位――――投信組み入れ動向2%投信組み入れ動向4%

注:回答数は左から順に85、166、209。回答は4つまで。小数点第1位を四捨五入


テクニカル・需給派については、3者とも「出来高の増減」がトップだが、2位からは順番が異なっている。

■テクニカル・需給派の注目指標・情報
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位出来高の増減56%出来高の増減64%出来高の増減62%
2位移動平均線の乖離率33%一目均衡表36%移動平均線のGC・DC36%
3位信用売り・買い残の変化33%ボリンジャーバンド36%注文気配35%
4位信用倍率33%ストキャスティクス27%MACD33%
5位ボリンジャーバンド33%時価総額の水準27%移動平均線の乖離率24%
6位歩み値22%その他27%RSI20%
7位MACD22%歩み値18%歩み値16%
8位RSI22%移動平均線の乖離率18%信用売り・買い残の変化15%
9位RCI22%信用売り・買い残の変化18%ボリンジャーバンド13%
10位ストキャスティクス22%MACD18%一目均衡表11%
11位時価総額の水準22%RCI18%信用倍率9%
12位注文気配11%注文気配9%RCI9%
13位大株主の保有割合11%大株主の保有割合9%時価総額の水準9%
14位移動平均線のGC・DC11%移動平均線のGC・DC9%その他9%
15位一目均衡表11%信用倍率9%大株主の保有割合5%
16位その他11%RSI0%ストキャスティクス5%

注:回答数は左から順に34、38、171。回答は5つまで、小数点第1位を四捨五入


テーマ派では、億り人バガーはトップ4に「インバウンド」や「AI・IoT」「半導体・同製造装置」などが並んだのに対して残念さんは「ヘルスケア・少子高齢化」「メタバース」などが入っている点が目立った。

■テーマ派の注目指標・情報
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位インバウンド71%AI・IoT56%半導体・同製造装置68%
2位AI・IoT43%半導体・同製造装置44%AI・IoT38%
3位自動運転・EV43%インバウンド33%ヘルスケア・少子高齢化35%
4位半導体・同製造装置43%クリーンエネ・環境33%メタバース32%
5位海運・空運・陸運43%その他33%インバウンド26%
6位メタバース29%自動運転・EV22%自動運転・EV26%
7位クリーンエネ・環境29%海運・空運・陸運22%防衛18%
8位その他29%円高メリット11%その他15%
9位防衛14%ヘルスケア・少子高齢化11%レジャー12%
10位銀行・金融14%メタバース11%海運・空運・陸運12%
11位キャッシュレス・暗号資産14%防衛11%クリーンエネ・環境9%
12位円高メリット0%銀行・金融11%銀行・金融9%
13位ヘルスケア・少子高齢化0%キャッシュレス・暗号資産11%キャッシュレス・暗号資産9%
14位レジャー0%レジャー0%円高メリット3%

注:回答数は左から順に26、28、106。回答は5つまで。小数点第1位を四捨五入


イベント派では、億り人のトップは「M&A」「適時開示」がトップ2だったが、バガーは「決算発表・業績修正」「アクティビストの関与」が入った。

残念さんの2位には、どちらかといえば思惑買いの対象になりやすい「新製品・新技術」が入った点が特徴的といえる。

■イベント派の注目指標・情報
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位M&A100%決算発表・業績修正67%決算発表・業績修正53%
2位適時開示100%アクティビストの関与67%新製品・新技術53%
3位決算発表・業績修正50%株主還元67%株主還元47%
4位大株主の保有割合50%M&A67%新高値更新27%
5位アクティビストの関与50%株主優待新設・改善50%適時開示20%
6位株主還元50%適時開示50%株式分割13%
7位株主優待新設・改善25%新高値更新33%増担保の規制動向13%
8位新製品・新技術25%大株主の保有割合33%時価総額の水準13%
9位増担保の規制動向25%経営体制の変更33%株主優待新設・改善7%
10位経営体制の変更25%新製品・新技術17%大株主の保有割合7%
11位――――株式分割17%M&A7%
12位――――――――経営体制の変更7%
13位――――――――その他7%

注:回答数は左から順に20、30、41。回答は4つまで。小数点第1位を四捨五入


億り人とバガーは長期派、残念さんは中期派

平均的な銘柄保有期間では、顕著な差が出た。億り人バガー長期派が目立つのに対して、残念さん中期そして中短期派の割合が高い

■平均的な銘柄保有期間
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位超長期42%長期46%中期39%
2位長期40%超長期41%中短期27%
3位中期38%中期33%短期23%
4位中短期16%中短期11%長期23%
5位短期6%短期9%超長期11%
6位超短期4%超短期4%超短期9%

注:回答数は左から順に146、200、374。回答は2つまで。
小数点第1位を四捨五入


下の2つの表は、バガー残念さんの投資スタイル別の平均保有期間になる。

バガーの場合、バリュー派で最多は超長期、グロース派では長期となっているのに対して、残念さんの場合はグロース派、バリュー派とも中期が最多となっている。

残念さんのグリップ力が弱いのは、資産額が少なく、早く成果を出したいとの思いから、中期ないし中短期の割合が高くなっている可能性がある。

■バガーの投資スタイル別の平均保有期間
超短期短期中短期中期長期超長期
バリュー0.5%0.5%1.0%7.0%13.5%17.0%
グロース1.0%2.0%3.5%11.0%13.0%6.5%
テーマ――――――1.0%1.5%2.5%
テクニカル・需給1.0%2.5%1.5%1.0%1.0%0.5%
その他0.5%0.5%0.5%1.0%2.0%2.0%
イベント――0.5%1.0%2.0%1.0%――
注:回答数は200

■残念さんの投資スタイル別の平均保有期間
超短期短期中短期中期長期超長期
バリュー0.3%4.0%5.9%9.1%6.4%3.2%
グロース1.3%3.5%5.6%8.0%6.4%2.9%
テーマ1.1%2.4%2.9%4.5%1.6%0.5%
テクニカル・需給4.0%5.6%4.8%4.3%1.3%0.5%
その他――0.5%0.8%2.1%0.8%0.5%
イベント0.3%1.1%0.8%1.6%0.5%0.5%
注:回答数は374

信用取引については、傾向の大きな差は見られなかった。

■信用取引の利用動向
順位億り人割合バガー割合残念さん割合
1位いない42%いない49%いない54%
2位買いと売り37%買いと売り31%買いと売り29%
3位買いのみ17%買いのみ15%買いのみ15%
4位売りのみ4%売りのみ5%売りのみ2%

注:回答数は左から順に100、140、284。単独回答。小数点第1位を四捨五入


売買益期待の顔ぶれ、残念さんのトップは信越化、次にエニーカラー

最後に、売買益期待の大きい銘柄のランキングを紹介する。大きさを「最大」「2番目」「3番目」と分けている。また銘柄の関連情報もランキングの下に掲載している。

なお、億り人とバガーのそれぞれのランキングは、次ページの株探プレミアム会員専用ページで閲覧可能となっている。

次回は、今後6カ月の日本株の投資態度や方針や日本株投資で注視する指標および情報、そして配当期待の大きい銘柄のランキングなどを紹介する。

■残念さんの売買益期待が最大・2番目・3番目に高い銘柄のランキング
最大2番目3番目
順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>
1位信越化<4063>1位QDレーザ<6613>1位日本製鉄<5401>
1位エニーカラー<5032>1位トヨタ<7203>2位三菱UFJ<8306>
3位武田<4502>3位アイスタイル<3660>2位JR東日本<9020>
4位ZHD<4689>3位ENEOS<5020>4位NF日経ダ<1357>
4位三菱UFJ<8306>3位日本製鉄<5401>4位NF日経レバ<1570>
4位マイクロ波<9227>3位ルネサス<6723>4位日本M&A<2127>
7位OLC<4661>3位東エレク<8035>4位円谷フィHD<2767>
7位アドテスト<6857>3位商船三井<9104>4位ユーグレナ<2931>
7位キーエンス<6861>9位INPEX<1605>4位スタティアH<3393>
7位レーザーテク<6920>9位双日<2768>4位グッドコムA<3475>
7位りそなHD<8308>9位リミックス<3825>4位武田<4502>
7位SB<9434>9位メルカリ<4385>4位CANBAS<4575>
7位SBG<9984>9位HENNGE<4475>4位ENEOS<5020>
14位ソフトフロン<2321>9位サイバーセキ<4493>4位WSCOPE<6619>
14位DNAチップ<2397>9位武田<4502>4位川重<7012>
14位JT<2914>9位エニーカラー<5032>4位ゆうちょ銀<7182>
14位ビリングシス<3623>9位特殊陶<5334>4位セルシード<7776>
14位Aバランス<3856>9位ソシオネクス<6526>4位川崎汽<9107>
14位エネチェンジ<4169>9位フェローテク<6890>4位KDDI<9433>
14位ドリームI<4310>9位インバウT<7031>4位東電HD<9501>
14位メルカリ<4385>9位Eインフィニ<7692>4位M&A総研<9552>
14位HENNGE<4475>9位スクリン<7735>
14位monoAI<5240>9位任天堂<7974>
14位ノート<5243>9位三菱UFJ<8306>
14位カバー<5253>9位オリックス<8591>
14位日本製鉄<5401>9位SB<9434>
14位神戸鋼<5406>
14位中山鋼<5408>
14位中部鋼鈑<5461>
14位ワイエイシイ<6298>
14位ダイキン<6367>
14位WSCOPE<6619>
14位ソニーG<6758>
14位デンソー<6902>
14位INC<7078>
14位シチズン<7762>
14位任天堂<7974>
注:回答数は左から順に190、173、157

■残念さんが挙げた売買益期待銘柄の関連情報
銘柄名<コード>3期平均
増収率
3期平均
経常増益率
過去最高
経常利益
過去最高
年度
配当
利回り
信越化<4063>22.1%34.6%1兆0202億円2023/032.34%
エニーカラー<5032>41億円2022/04――
武田<4502>7.0%5850億円2007/034.21%
ZHD<4689>16.7%20.1%2352億円2023/031.54%
三菱UFJ<8306>8.3%▲6.2%1兆7130億円2015/034.42%
マイクロ波<9227>4.9%▲1.3%億円2020/03――
OLC<4661>1.3%4.5%1294億円2019/030.17%
アドテスト<6857>26.6%43.0%1713億円2023/030.97%
キーエンス<6861>18.7%22.3%5128億円2023/030.43%
レーザーテク<6920>46.5%62.4%336億円2022/060.62%
りそなHD<8308>▲0.5%2.0%4099億円2007/033.36%
SB<9434>6.7%2.1%8804億円2022/035.68%
SBG<9984>7.8%5兆6705億円2021/030.85%
ソフトフロン<2321>38.2%1億円2004/03――
DNAチップ<2397>▲3.2%1億円2004/03――
JT<2914>6.9%8.5%6362億円2014/036.17%
ビリングシス<3623>14.5%64.9%5億円2022/120.98%
Aバランス<3856>149.0%38.7%15億円2022/060.07%
エネチェンジ<4169>43.3%1億円2018/12――
ドリームI<4310>9.8%19億円2018/03
メルカリ<4385>41.7%50億円2021/06――
HENNGE<4475>18.1%36.7%5億円2020/09――
monoAI<5240>1億円2022/12――
ノート<5243>-3億円2020/11――
カバー<5253>34億円2023/03――
日本製鉄<5401>10.4%8668億円2023/034.92%
神戸鋼<5406>9.8%1833億円2007/035.47%
中山鋼<5408>11.4%44.4%156億円2005/034.63%
中部鋼鈑<5461>19.7%38.3%160億円2009/034.23%
ワイエイシイ<6298>3.2%36億円2007/032.42%
ダイキン<6367>16.0%10.8%3662億円2023/030.88%
WSCOPE<6619>50.7%83億円2022/12――
ソニーG<6758>1兆1803億円2023/030.59%
デンソー<6902>7.5%72.1%4569億円2023/032.23%
INC<7078>47.3%3億円2019/03――
シチズン<7762>2.7%56.9%401億円2005/034.96%
任天堂<7974>7.0%18.6%6790億円2021/032.46%
QDレーザ<6613>15.3%-5億円2023/03――
トヨタ<7203>7.5%9.5%3兆9905億円2022/033.16%
アイスタイル<3660>2.2%21億円2018/06――
ENEOS<5020>14.5%7718億円2022/034.68%
ルネサス<6723>27.8%3623億円2022/12――
東エレク<8035>25.1%36.7%6252億円2023/031.73%
商船三井<9104>11.7%145.1%8116億円2023/035.74%

出所:QUICK・ファクトセット。注:5月19日終値時点。
決算基準の変更やデータベースに未収の場合などは空欄。銘柄名は略称


※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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