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4264 セキュア

東証G
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「防犯関連」は面目躍如の株高へ、凶悪犯罪の増加で注目度急上昇 <株探トップ特集>


―G7広島サミット接近で威信をかけた警備体制、大阪・関西万博も追い風に―

 凶悪な犯罪が頻発化するなか、急速に「警備」や「防犯」「監視カメラ 」関連株への関心が高まっている。8日には、日も暮れぬ銀座の高級腕時計店に仮面の3人組が強盗に入り、動画に映し出された凶行の一部始終が注目を集めた。昨年7月の安倍晋三元首相の銃撃、先月発生した岸田文雄首相襲撃と要人を標的にした事件が相次ぐなか、19日からは主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)が広島市で始まる。もはや日本の安全・安心神話も過去の話となる状況で、日本の威信をかけた警備体制が敷かれることになる。改めて警備・防犯関連株を点検した。

●防犯対策は4割以下の現実

 安全・安心な国だったはずのニッポンが揺らいでいる。今年の1月には東京都狛江市の住宅で高齢女性が殺害されたが、それと前後して広域強盗事件が次々と起こっていることが判明。特殊詐欺グループとのかかわりなどが伝わるが、事件解明が待たれるところだ。また、記憶に新しい電車内での刺傷事件など、もはや日本は安全で安心できる社会とは言い難くなった。株式市場では、ここ凶悪事件が発生するたびに「監視カメラ」を中心とした防犯関連株に関心が集まるが、こうしたなか多くの調査機関が、更なる市場規模の拡大を予想している。

 昨年12月に、セコム <9735> [東証P]が11回目となる「日本人の不安に関する意識調査」(調査期間2022年11月2~4日)を発表したが、これが興味深い。この調査結果によると「7割以上が治安の悪化を懸念も、防犯対策をしている人は38.2%にとどまる」というのだ。また、最近何かに不安を感じているかという質問には、「感じている」(「感じている」「どちらかといえば感じている」の合計)と回答した人は57.0%で、半数以上が不安を感じていることが分かった。しかし、こうした状況にもかかわらず、防犯対策をしている人は4割以下と少ないのだ。更に、この防犯対策の上位だが、具体的には「夜は街灯などで明るい道を通るようにしている」「人通りの少ない場所などは避けるようにしている」などで、自宅に監視カメラの設置やホームセキュリティーを導入しているのは、それぞれ1割に満たない状況にある。ある意味、防犯市場の拡大余地をうかがわせるものとなった。

●サミット開催迫り思惑も

 19日から始まるG7広島サミットでも、民間警備の側面支援に思惑が高まる可能性もある。大手警備会社に、サミットでの警備について取材を申し込むが、さすがに開催直前ということもあり回答は得られなかった。ただ、昨年7月時点での別の警備大手への取材では「具体的に決まったことはなにもない」としつつ、「安倍元首相の銃撃事件を受けて、警備の強化が予想され業務の増加も考えられる。警察などとは連携を強化し、民間警備の得意分野を生かすことで警備活動に協力していきたい」と話していた。

 思惑が先行するサミットや万博などの大規模国際イベントでの警備は、実際儲かるのだろうか? これについては、反応はまちまちだ。前回、日本で開催された16年の伊勢志摩サミットについて、開催から約1年が経った大手警備への取材では、大きな利益が出たとし「前後に関連会合が全国各地で開催され、多くの関係者が世界から集まったことも影響した」と答えている。一方、ある関係者は「(万博やG7について)本音を言えば、商売としては決して“おいしい”とは言えない」と吐露。ただ、大きな利益に結び付くかどうかは受注内容にもよりそうだが、「社会的な信頼を得るという点で、重要な業務」という共通の認識を持っていることは各社ともに取材から伝わってきた。

●ニーズ捉えるALSOK、セコム

 こうしたなか、ALSOK <2331> [東証P]は、前週末12日の取引終了後に24年3月期の連結業績予想を発表。売上高5125億円(前期比4.1%増)、営業利益386億円(同4.3%増)と増収増益を見込むとした。社会活動の正常化や、最近の首相襲撃事件や広域強盗傷害事件などの発生を受け国内の体感治安が悪化しており警備需要が回復に向かっていることなどが業績を押し上げる見通しだ。また、4月にスタートしたホームセキュリティーの新商品「HOME ALSOK Connect」などでも攻勢をかける。この好業績予想を受けて、きょうの株価は一時4000円大台を突破。買い一巡後は上げ幅を縮めるも、連日の年初来高値更新となった。

 一方、セコムが11日取引終了後に発表した24年3月期の連結営業利益は、前期比3.3%減の1322億円に減る見通し。ただし、地理空間情報サービスを除くすべての事業セグメントでの増収を見込んでおり、今月新たに策定した「セコムグループ ロードマップ2027」の達成に向けまい進することで期待も募る。株価は切り返し急で、年初来高値を更新している。

●新サービスで攻勢かけるエルテス

 エルテス <3967> [東証G]にも注目。4月14日に発表した、23年2月期の連結営業利益は前の期比2.5倍となる2億200万円で着地。続く24年2月期も前期比48.1%増の3億円を計画し、連続で過去最高益を更新する見通しだ。同社は、デジタルリスクを予兆・検知・解決するソリューションを手掛けるが、子会社が首都圏や北海道において、列車見張り業務、雑踏・交通誘導警備業務、施設警備・常駐保安警備業務などを提供している。4月には、「緊急対応型DX警備サービス」の開始を発表。多発する強盗犯罪に対する警備ニーズが高まるなか、犯人と鉢合わせした場合の危険を回避するため、デジタル技術を活用することで、警備到着までのタイムラグをつくり、ユーザーに安心と安全を届けるというもの。安全・安心が求められる状況を果敢に捉え攻勢をかけており活躍期待が高まりそうだ。

●大阪・関西万博で“地元警備”に思惑も

 また、25年に開催予定の大阪・関西万博では、同地域を地盤とする東洋テック <9686> [東証S]、シップヘルスケアホールディングス <3360> [東証P]にマーケットの思惑が高まりそうだ。東洋テクは、9日取引時間中に24年3月期連結業績予想を発表。営業利益段階で前期比42.1%増の12億円と大幅増益を見込み、これが好感され同日はストップ高となった。また、シップHDは医療・介護の大手だが、大阪を地盤とし警備などを手掛ける日本パナユーズを子会社に擁しており、警備関連の一角としても注目が集まる。同社が前週末12日に発表した24年3月期の連結営業利益は、前期比13.5%増の240億円を計画。3期ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。万博開催まで2年を切り徐々に注目度が増すなか、地元2社の動向には注視する必要がありそうだ。

 そのほかでは、警備大手のセントラル警備保障 <9740> [東証P]、幅広く人材サービスを手掛け傘下に警備事業を手掛けるフルキャストアドバンスを擁するフルキャストホールディングス <4848> [東証P]、施設管理最大手であらゆるタイプの警備に対応しているイオンディライト <9787> [東証P]にも目を配っておきたい。

●監視カメラ関連に成長期待継続

 株式市場でも極めて注目度が高い「監視カメラ」関連だが、業績も好調だ。セキュア <4264> [東証G]は前週末12日に23年12月期の連結営業損益を従来予想の1億円の黒字から1億3000万円の黒字(前期1億6900万円の赤字)に上方修正。監視カメラシステムの大型案件のリプレイスや期末の需要が想定を上回った。これを好感する形で、きょうはストップ高に買われている。同日に発表した高千穂交易 <2676> [東証P]の24年3月期の連結営業利益は前期比17.7%増の16億2000万円を計画。また、監視カメラ用レンズでニーズを捉えるタムロン <7740> [東証P]も4月28日に上期業績予想の上方修正を発表している。

 また、きょう決算を発表したダイワ通信 <7116> [東証S]の23年3月期の連結営業利益は、前の期比35.6%減の3億9400万円となったが、続く24年3月期は前期比15.5%増の4億5500万円に回復する見通しとなった。安全神話の終焉(しゅうえん)が市場規模の拡大を後押しする格好だが、社会の要請を背景に更なる成長ロードが待っている。

●「インターホン」や「防犯ガラス」も

 防犯分野で活躍領域を広げるのは警備や監視カメラだけではない。インターホン大手のアイホン <6718> [東証P]も高まりを見せるセキュリティーニーズを追い風に注目が集まっている。戸建・集合住宅はもちろん、学校や公共施設などのセキュリティー強化に向けた取り組みを推進し時代の要請に応えている。23年3月期の連結営業利益は前の期比32.1%減となったが、24年3月期は前期比14.4%増の43億円を計画している。

 また、さまざまな用途に応じた防犯ガラスを手掛けるセントラル硝子 <4044> [東証P]や日本板硝子 <5202> [東証P]も、凶悪事件を受け関心が向かう可能性がある。セ硝子の防犯ガラス「ラミレックスBG」は、はさみ込んである特殊樹脂膜により耐貫通性にすぐれ、高い防犯性能を発揮する。また、「バンガード」は事務所・店舗などへの、バールやハンマーを使った粗暴な手口による打ち破り対策などに適する防犯ガラスで、ここ頻発する店舗などの強盗事件でも活躍しそうだ。

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