【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ポーランドETFのジリ高は何を示唆するのか?
経済評論家 杉村富生
「ポーランドETFのジリ高は何を示唆するのか?」
●弱気筋が作る相場との見方が浮上!
短期(目先)的には気迷い感の強い相場展開となっている。日経平均株価はボックスゾーンの高値圏に位置しているし、5月には「セル イン メイ」の教えもある。さらに、アメリカ連邦債務の上限(すでに、今年1月に31.4兆ドルの上限に到達)引き上げ問題が影を落としているのだろう。
最悪の場合、債務不履行(米財務省によると、デフォルト→Xデーは6月1日前後)の可能性が指摘されているのに、議会の対応は鈍い。完全に民主党と共和党の政争の具となっている。議員の先生方には危機感のかけらもない。もっとも、これは数年ごとの年中行事(イベント)である。
まあ、「チキンレース」に近いが、両党とも落としどころはわきまえているだろう。いつものことだ。それに、無視できないイベントとはいえ、海の向こうのゴタゴタ劇にあまり神経質になるのはどうかと思う。
実際、日本の株式市場は意外にしぶとい。ハイテク系の多い NASDAQ市場が堅調なこともある。それと、多くの投資家が株安を想定し、それを願望しているという事実があろう。上がると儲かるNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]のカラ売りが急増、逆日歩がついている。
半面、下がると儲かるNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 <1357> [東証E]の買い残は激増だ。個別銘柄でもカラ売り禁止措置がとられているが、ビューティ花壇 <3041> [東証S]のように、仕手化し連日のストップ高となるものが現れている。弱気筋が作る相場との見方ができる。
外国人はしっかり買っている。大幅買い越しだ。彼らは日本の政治、経済の変化、および企業統治改革の進展を評価している。企業経営者の意識は変わった。自社株買いの増加、増配ラッシュが好例だろう。
●株式市場では「決算プレー」が展開中!
一方、NY市場上場のiシェアーズMSCIポーランドETF<EPOL>がジリジリと水準を切り上げている。これは何を意味しているのだろうか。ポーランドはウクライナ復興の最前線だ。ヘッジファンドに近い事情通は「秘かに、ウクライナとロシアの和平交渉が行われている」という。逆に、現実は戦闘が激化、休戦の気配はみられないが……。
株式市場では極端な「決算プレー」が行われている。決算悪企業はトコトン売り込まれる。住友金属鉱山 <5713> [東証P]などが代表例だ。青山財産ネットワークス <8929> [東証S]は12日、918円(78円安)まで売り込まれた。ただ、ここは買いと判断する。
第1四半期(12月期決算の1-3月期)は利益が伸びにくい。通期では史上最高決算となろう。配当は前期まで12期連続で増配を続けている。今期の配当は3円増の38円とする。アナリストは「41円配当の可能性が濃厚」という。
nms ホールディングス <2162> [東証S]は15日に2023年3月期の決算を発表する。先に、中期経営計画を発表している。2024年3月期についてはこれに沿った内容(1株利益は35.4円)になろう。株価は5月8日に610円の高値を付けたあと、大きく下押しているが、ここは突っ込み買いのチャンスではないか。
このほか、好業績のオプトラン <6235> [東証P]、ワールドホールディングス <2429> [東証P]、オイシックス・ラ・大地 <3182> [東証P]、サンケン電気 <6707> [東証P]、業績急浮上期待のスカイマーク <9204> [東証G]などはじっくり狙える。
2023年5月12 日 記
株探ニュース