市場ニュース

戻る
 

【特集】桂畑誠治氏【見えた3万円大台、心臓破りの坂を上り切れるか】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―目先高値警戒も、外国人買いで上げ足止まらぬ日経平均―

 週明け15日の東京株式市場はリスクオンの流れが継続し、日経平均株価は2万9000円台半ばに歩を進め、3万円大台も視野に入ってきた。前週末は米国株市場が軟調な値動きだったものの、為替市場のドル高・円安などを追い風に強気優勢の地合いが継続している。引き続き日本株の割安感に目をつけた外国人買いが全体を支えている構図だが、目先スピード警戒感も意識されやすい場面である。ここからの相場展望と物色の方向性についてベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「円安追い風も米株市場の動向に注意要する」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 全体相場は足もとで想定を上回って強気優勢に傾いており、日経平均は一時2万9600円台に水準を切り上げてきた。これは、外国為替市場で1ドル=136円台までドル高・円安が進行していることが大きい。米国では最近の経済指標発表などを受け、追加利上げに対する思惑が若干強まっており、ドル買いを誘発している状況にある。

 ただ、米国株市場では景気に対して足もとやや慎重な見方も浮上しており油断はならない。マーケットのセンチメントを冷やしているのは債務上限問題で、デフォルトの可能性は非常に低いと思われるが、それでも期限が接近するにつれ、債務不履行に対する警戒感が相場に影響を与えそうだ。今後一段と切迫した場合にはドル売りの動きを誘発しかねず、これは米株安にもつながる可能性がある。その場合は日本株も円高と相まってリスクオフの売り圧力を回避しにくいだろう。

 向こう1ヵ月で見た場合、NYダウのレンジは債務上限問題の折り合いがついた場合は3万4000ドル近辺への上昇が見込める一方、懸念が強まる局面では3万2000ドル近辺への深押しも考えられる。一方、日経平均のレンジとしては一昨年9月の高値水準である3万700円どころが上値メドとなるが、為替が円高方向に振れ、米株市場も崩れた場合は下値を試す展開を余儀なくされそうだ。その際は2万8000円台を割り込むような局面も想定される。

 なお、物色対象としては、円安を背景に東京市場で堅調な相場が続いた場合には自動車株が優位性を発揮しそうだ。また、小売りや電鉄などのインバウンド関連も円安の恩恵が期待されるセクターで、全体リスク選好の地合いにおいては強さを発揮する公算が大きい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均