冨士ダイス Research Memo(1):粉末冶金技術等で世界のものづくり界のリーディングカンパニーを目指す
■要約
冨士ダイス<6167>は、1949年の創業以来、超硬耐摩耗工具業界において長期にわたり30%以上のトップシェアを堅持している。また創業以来黒字経営を継続しており、77.2%と高い自己資本比率を誇る。
2023年3月期第2四半期業績は売上高8,367百万円(前年同期比0.0%増)、営業利益578百万円(同14.7%減)、経常利益661百万円(同7.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益454百万円(同10.1%減)と、半導体関連及び自動車電動化関連の需要増が上海ロックダウンや粗鋼生産低迷による鉄鋼向け需要減などで相殺され、売上高は横ばいとなった。利益面では原材料、電力・燃料コスト高騰によるコストアップが響き、営業利益で2ケタ減益と低迷したものの、生産性の向上により期初予想を上回った。
同社は2023年3月期通期の連結業績について、2月27日に修正を開示した。中国のロックダウン後の経済停滞影響などを考慮し、売上高、営業利益、経常利益を若干減額、ただし旧大阪工場の遊休地売却により特別利益計上で親会社株主に帰属する四半期純利益は増額修正、これに伴い配当も増配予想とした。これにより直近の予想は、売上高16,980百万円(期初計画比380百万円減額、前期比0.6%増)、営業利益 1,110百万円(同30百万円減額、0.3%減)、経常利益1,170百万円(同40百万円減額、2.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,280百万円(同460百万円増額、62.0%増)としている。また予想EPSが64.56円となるため、配当性向50%を念頭に、配当については10円増配の年間32円配を予定している。
中期経営計画としてフェーズ1で2024年3月期に売上高17,000百万円、営業利益1,490百万円を目指す。またフェーズ2で2027年3月期に売上高20,000百万円、営業利益2,500百万円を目指す。この実現に向け、2021年4月に就任した新社長久保井恒之(くぼいつねゆき)氏の下、フェーズ1では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復、筋肉質な企業体質への転換、次世代新製品・新事業の育成・深耕、海外事業の強化を行い、フェーズ2では売上高の拡大、収益率の向上を実行し、営業利益率12.5%以上を目指す。
■Key Points
・2023年3月期第2四半期は半導体・EV関連好調も中国コロナ禍等で売上は横ばい、営業利益は14.7%減
・2023年3月期は中国等の経済停滞で0.6%増収、0.3%営業減益見通しも特益計上で増配予定
・中期経営計画で筋肉質な企業体質への転換、中長期の成長基盤の構築を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
《SI》
提供:フィスコ