明日の株式相場に向けて=全体買い疲れ感も、個別株火の如し
週明け17日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比21円高の2万8514円と7日続伸。前週末にマドを開けて330円あまりの上昇をみせた日経平均株価だが、きょうもしぶとく売り物をこなし上値追い基調を維持した。7連騰は昨年7月以来で約9カ月ぶり。米国や国内で徐々に決算発表が本格化するなか、目先利食いの動きを誘発しやすいタイミングではあるが、今のところ売り仕掛けの音沙汰無しという状況にある。
前週末は欧州株市場も全面高に買われたが、リスクオンの地合いは欧州時間までで、米国株市場では金融株を除き広範囲に売りが優勢となった。NYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数が揃って下落した流れからすると、きょうの東京市場は利益確定の売りが顕在化しても不思議はなかった。日本株に追加投資を行う可能性に言及したウォーレン・バフェット氏の鶴の一声が利いているのかどうかは別として、外国人投資家の実需買いが株価を支えている構図となっている。ちなみに4月第1週に外国人は日本株を現物で約6800億円買い越している。
もっとも2万8000円台半ばでは、やや買い疲れ感も垣間見える。市場関係者は「3月9日に日経平均はマドを開けて2万8734円のザラ場高値をつけたが、その後急反落した経緯がある。今回の高値をつけにいく形がその時のイメージとダブるだけに、足もと慎重になっている向きも少なくない」(国内投資顧問ストラテジスト)とする。
例えば半導体関連株は一貫して上値が重い。また、大手銀行株もきょうは高かったが、前週は用無しの状態で、この半導体と銀行の両セクターが買われない相場で全体指数がジリジリと水準を切り上げるというのは、これまでの相場とは趣を異にしている。東証による低PBR銘柄への経営努力要請などが、新たな資金の流れを呼んだ。
個別株物色意欲は旺盛であり、4月末から5月中旬にかけての企業の決算発表シーズン入りを前に、今しかないとばかりに駆け込み的な回転売買を利かせる動きがあちらこちらで見られる。その一端を反映しているのがバイオ関連株の一角への投資資金流入だ。直近は新日本科学<2395>がストップ安に売られたが、カルナバイオサイエンス<4572>の上値追いが鮮烈で、これが横に広がる可能性もある。株価的には中低位株が今の地合いにマッチしている。これまでにも幾度となくフォローしてきた銘柄で、DNAチップ研究所<2397>や免疫生物研究所<4570>などは再注目しておいてよい頃合い。また、割り切りなら低位株でリプロセル<4978>の200円台前半をマークしてみたい。
一方、個別株といえば、特筆に値するのが今月12日に東証グロース市場に新規上場したispace<9348>。公開価格254円に対し、きょうは前週末比400円高は連日のストップ高で1901円まで上値を伸ばした。大量の買い注文で取引時間中は全く商いが成立しない状況にある。価格によるロックアップ解除がないという点で、短期資金が集中しやすいという需給要因はあるものの、この人気ぶりは現象面だけ見ると踏み上げ相場的な感触が強い。こうなると、いきなりテンバガーコースも夢ではなく、2018年4月に上場したHEROZ<4382>を想起させる動きだ。HEROZが暴騰を演じた当時は人工知能(AI)人気の初動と合致したが、今回の民間月面探査プログラムという材料自体、前例のないもの。株式市場は常に“新しもの好き”で、今回はそれがツボにはまった形である。参戦するのはよほどの目利きか物好きに限られるが、観賞用としても今後の動向は注目となる。アイスペース人気にあやかっての宇宙関連 としては、当欄ではキヤノン電子<7739>やセック<3741>などを取り上げたが、今のところ値動きはおとなしい。このほか、宇宙関連の穴株としてはアクモス<6888>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、3月の首都圏マンション販売と昨年度の首都圏マンション販売実績が発表されるほか、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にジェノバ<5570>が新規上場する。海外では、中国で重要経済指標発表が相次ぐ。1~3月期中国GDP、3月の中国小売売上高、3月の中国固定資産投資、3月の中国不動産開発投資、3月の中国工業生産高などが開示される。このほか、豪中銀の理事会(4月開催分)の議事要旨発表、インドネシア中銀の政策金利発表、4月のZEW独景気予測調査、4月の英失業率、3月の米住宅着工件数などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前週末は欧州株市場も全面高に買われたが、リスクオンの地合いは欧州時間までで、米国株市場では金融株を除き広範囲に売りが優勢となった。NYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数が揃って下落した流れからすると、きょうの東京市場は利益確定の売りが顕在化しても不思議はなかった。日本株に追加投資を行う可能性に言及したウォーレン・バフェット氏の鶴の一声が利いているのかどうかは別として、外国人投資家の実需買いが株価を支えている構図となっている。ちなみに4月第1週に外国人は日本株を現物で約6800億円買い越している。
もっとも2万8000円台半ばでは、やや買い疲れ感も垣間見える。市場関係者は「3月9日に日経平均はマドを開けて2万8734円のザラ場高値をつけたが、その後急反落した経緯がある。今回の高値をつけにいく形がその時のイメージとダブるだけに、足もと慎重になっている向きも少なくない」(国内投資顧問ストラテジスト)とする。
例えば半導体関連株は一貫して上値が重い。また、大手銀行株もきょうは高かったが、前週は用無しの状態で、この半導体と銀行の両セクターが買われない相場で全体指数がジリジリと水準を切り上げるというのは、これまでの相場とは趣を異にしている。東証による低PBR銘柄への経営努力要請などが、新たな資金の流れを呼んだ。
個別株物色意欲は旺盛であり、4月末から5月中旬にかけての企業の決算発表シーズン入りを前に、今しかないとばかりに駆け込み的な回転売買を利かせる動きがあちらこちらで見られる。その一端を反映しているのがバイオ関連株の一角への投資資金流入だ。直近は新日本科学<2395>がストップ安に売られたが、カルナバイオサイエンス<4572>の上値追いが鮮烈で、これが横に広がる可能性もある。株価的には中低位株が今の地合いにマッチしている。これまでにも幾度となくフォローしてきた銘柄で、DNAチップ研究所<2397>や免疫生物研究所<4570>などは再注目しておいてよい頃合い。また、割り切りなら低位株でリプロセル<4978>の200円台前半をマークしてみたい。
一方、個別株といえば、特筆に値するのが今月12日に東証グロース市場に新規上場したispace<9348>。公開価格254円に対し、きょうは前週末比400円高は連日のストップ高で1901円まで上値を伸ばした。大量の買い注文で取引時間中は全く商いが成立しない状況にある。価格によるロックアップ解除がないという点で、短期資金が集中しやすいという需給要因はあるものの、この人気ぶりは現象面だけ見ると踏み上げ相場的な感触が強い。こうなると、いきなりテンバガーコースも夢ではなく、2018年4月に上場したHEROZ<4382>を想起させる動きだ。HEROZが暴騰を演じた当時は人工知能(AI)人気の初動と合致したが、今回の民間月面探査プログラムという材料自体、前例のないもの。株式市場は常に“新しもの好き”で、今回はそれがツボにはまった形である。参戦するのはよほどの目利きか物好きに限られるが、観賞用としても今後の動向は注目となる。アイスペース人気にあやかっての宇宙関連 としては、当欄ではキヤノン電子<7739>やセック<3741>などを取り上げたが、今のところ値動きはおとなしい。このほか、宇宙関連の穴株としてはアクモス<6888>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、3月の首都圏マンション販売と昨年度の首都圏マンション販売実績が発表されるほか、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にジェノバ<5570>が新規上場する。海外では、中国で重要経済指標発表が相次ぐ。1~3月期中国GDP、3月の中国小売売上高、3月の中国固定資産投資、3月の中国不動産開発投資、3月の中国工業生産高などが開示される。このほか、豪中銀の理事会(4月開催分)の議事要旨発表、インドネシア中銀の政策金利発表、4月のZEW独景気予測調査、4月の英失業率、3月の米住宅着工件数などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS