ダイキアクシス Research Memo(10):成長事業の再生可能エネルギー関連事業を通じてRE100の達成に貢献
■ダイキアクシス<4245>の中長期の成長戦略
3. 再生可能エネルギー関連事業
再生可能エネルギー関連事業は、SDGsの7番目の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と13番目の「気候変動に具体的な対策を」に対応する。
日本政府は2050年の排出実質ゼロ(Net Zero)のカーボンニュートラル達成のために、2030年までの温室効果ガス排出量の削減を2013年度比46%減とする新しい目標を発表した。企業情報の開示に関して、東証はプライム市場上場企業に、気候変動によるリスク情報の開示を実質的に義務付けた。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)では、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」を開示推奨項目としている。「指標と目標」の項目では、科学に基づく目標設定のSBT(Science Based Targets)認定を受けた累計日本企業は369社(2023年3月1日現在)に増加した。認定企業数で、日本は世界2位となる。2年以内にSBT認定を取得すると宣言した「コミット企業」を含むと、438社となる。
個々の企業がカーボンニュートラル実現を目指すにあたって、排出量の算定は自社施設の燃料消費(スコープ1)、自社施設で購入した電気・熱の使用(スコープ2)ばかりでなく、上流のサプライヤーによる物品製造時排出量や下流の顧客による自社製品使用時の排出量(スコープ3)まで対象が広がる。
企業が自らの事業に使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」の参加企業数は、23ヶ国399社(2023年3月1日現在)に達した。国別では、米国が99社、日本が78社、英国が49社、韓国が27社、台湾が24社、オーストラリアが18社、ドイツが18社となる。日本の参加企業のうち、業種別では建設業、食料品、電気機器、小売業、不動産業が多い。RE100達成に向けた期限は、2020年までに30%、2030年までに60%、2040年までに90%、2050年までに100%となる。加盟企業は、毎年、電気使用量の総計と再生可能エネルギーの電力使用量の報告が義務付けられている。
同社は、再生可能エネルギー関連事業を成長事業と位置付けている。再生可能エネルギーである太陽光や風力による発電に係る売電事業、小形風力発電機の開発・製造、カーボンニュートラルなバイオディーゼル燃料事業があり、顧客のニーズに合わせて、RE100の達成に資する電力や発電装置を提供する。
太陽光発電では130ヶ所のDCM店舗の屋根にパネルを設置して売電事業を行うことで安定収益源を得た。Non-FIT対応では、サンエイエコホーム(神奈川県藤沢市)を買収・子会社化したことにより、顧客となる企業などが発電した電気を自社施設で消費する自家消費型太陽光発電への取り組みをサポートする機能を得た。2023年2月には、メデア(埼玉県さいたま市)の株式100%を取得し子会社化した。1975年に設立されたメデアは、太陽光発電設備を中心とした再生可能エネルギーに関する事業及び電気工事を行う。大口電力需要家へ電力を販売するPPA事業を展開するためのグループの経営リソースを強化した。
同社は農業と福祉、再生可能エネルギーを連携した新たな取り組みとして農福連携・営農型太陽光発電事業を行っている。荒廃農地を活用した営農型太陽光発電を行い、障がい者が農業生産に従事する社会課題解決型提案を提供する。
(2) バイオディーゼル燃料
環境意識の高まりから、バイオディーゼル燃料の原料である廃食用油の需要が活発化している。特に関東での需要は高く、自社の製造拠点の建設を決定し、2024年には製造を開始する予定としている。関東の製造拠点の稼働後は、空港各社で使用する作業車へバイオディーゼル燃料(B100)の提供を拡大し収益性も高める。
(3) 小形風力発電
小形風力発電では、FIT売電施設の系統連系目標を、2021年12月期末の12サイトから2025年12月期末には70サイトへ拡大することを目標に掲げている。
環境省の補助金事業である「低圧風力発電機に関する技術開発・実証事業」では、ゼファー、リコーとダイキアクシス・サステイナブル・パワーの3社で小形風力発電機を共同開発している。2023年3月に試作品が稼働を始め、2025年の商業生産を目指している。同社グループは、成形技術を活用しFRP翼の生産を担当している。RE100、SDGs 及び BCP 等の観点から、事業所へ再生可能エネルギー由来の発電機を設置し自家消費する動きが活発化している。太陽光発電だけでは電力が不足するという課題や、太陽光発電の発電量変動を受け止めるために蓄電設備の過剰投資が必要という課題がある。太陽光の発電は昼間に限定されるが、風力発電は風況が良ければ昼夜を問わない。FITだけでなく、独立電源ニーズやスマート・グリッドへの活用が想定される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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提供:フィスコ