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4245 ダイキアクシス

東証S
716円
前日比
+1
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.7 0.99 3.35 66.56
時価総額 97.9億円
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ダイキアクシス Research Memo(9):中期経営計画では、集中投資によるインドロールモデルを築く(2)


■ダイキアクシス<4245>の中長期の成長戦略

(2) インドロールモデル
新興国では、水質規制を厳格化するものの、十分に実行されているとは言いがたい。共通する問題は、水質管理基準をクリアする技術や設備がなく、水質や水の安全性に対価を払う意識が低く、水質検査を正しく行う体制ができていないことである。

インド政府は2014年10月に「クリーン・インディア」プロジェクトをスタートさせ、家庭、小中学校、公園などにトイレを整備する目標を掲げた。2017年4月には、インド全土において18,000m2超の産業施設及び延床面積が2,000m2以上の居住施設に対して、水質の汚濁状況を表すBOD(生物化学的酸素要求量)が従来のBOD30からBOD10へ強化された。既設のセプティックタンク(腐敗槽)では、強化された規制をクリアできない。インドは下水道普及率が2017時点で18.1%であり、中央排水処理設備が十分でない。そこで生活排水処理のキャパシティ不足が都市化のスピードを妨げないための手段として、インド政府は浄化槽の導入がコスト・スピード面で最適であると評価した。

同社は、段階を追って堅実に市場開拓を行ってきた。まず2016年7月に、インド政府に浄化槽を寄贈した。浄化槽(処理能力10m3/日)の設置場所は、公園内のトイレ、村の公衆トイレ、プラスチック工場の排水処理用の3ヶ所であった。2018年7月に、100%出資のDAIKI AXIS INDIA Pvt. Ltd.(以下、DA-India)を設立した。DA-Indiaは、2020年10月にインド製浄化槽のエコ認証「Green Product Certification(グリーンプロダクト認証)」を取得し、汚水処理部門におけるエコ認証第1号となった。また同年11月に、インドの水環境省よりインド製浄化槽に対する推奨認可を得て、インド中央政府による分散型汚水処理に関する推奨認可第1号となった。手続きに長期間を要する地域ごとの浄化槽に対する評価を取る必要がなくなった。

2021年2月には、同社はインド商工会議所連合会から第8回Water AwardのInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。同賞は、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社の中から、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどを基に、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、同社によるとこれが初である。

インド工科大学からオファーを受け、実証試験及び共同研究の契約を締結した。インドでは分散型汚水処理方法が確立されていないことから、インド工場製品に窒素処理を付加したものと、日本でも使用されている高度処理の2モデルを対象に実証試験を行い、インドの使用環境により適した改良を共同研究する。産学共同開発は、現地スタッフの雇用の面でも好影響を与えている。また、インドの技術大学(Shri Vishwakarma Skill University)と連携し、メンテナンス技術の特別カリキュラムを開設する。水処理や浄化槽のメンテナンス等に関する講義を開講し、メンテナンスエンジニアの養成や指導者の育成に努める。水質検査と正しい評価ができる人材を創出することは、現地の雇用促進にもつながる。

インドロールモデルの確立・発展のため、現地で営業、工場、メンテナンスの人材育成を強化している。営業は、日本人スタッフを派遣して技術継承を含めた営業スキルを伝授している。工場では、育成したローカルスタッフを中心に新工場の立上げを行った。メンテナンスでは、水質検査義務化の推進が重要であることから前述したように現地学校と連携して施工とメンテナンスの技能を持つ人材の育成環境を構築する。

日本は、生産年齢人口の減少により人手不足が深刻化する。一方、インドは人口が増加傾向にあり、労働人口が豊富だ。営業、工場、メンテナンスなどで現地人材を育成できれば、今後のインドでの事業発展に際して日本からの人的支援に対する依存度を低下できる。また、同社がターゲットとするアジアや中近東、アフリカにおいてインド系住民が多いため、新市場開拓の際にインドで育成されたスタッフの活躍が期待される。

同社は、インドでロールモデルの確立・発展を進め、2030年12月期の海外売上高をさらに10,000百万円へ押し上げることを視野に入れている。

(3) アジアの重点エリアの施策
インドネシアは、インド向けが現地生産に切り替わったため、工場の稼働率向上のため販売代理店の拡大や行政との連携による地元企業への営業強化を図る。

スリランカでは、2021年5月に環境機器関連事業の子会社を設立し、連結の範囲に含めた。スリランカ政府が、2022年5月に債務不履行(デフォルト)に陥った。政権が交代して、国際通貨基金(IMF)は緊縮財政、大規模な税制改革の実施など大胆な改革を前提とした資金援助で暫定合意した。コロナ禍の影響が大きいが、同社の事業自体は順調だ。戸建て用の小型浄化槽の需要が高く、日本から浄化槽の完成品の輸出を行っていたが、十分な需要が見込まれることと輸送コストの低減を目的として、2022年10月に組立工場を完成させた。2023年2月の月産台数は39台となった。今後も引き合い状況に応じて生産台数を決める。安定稼働のため、販売とメンテナンスを強化する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《SI》

 提供:フィスコ

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