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6310 井関農機

東証P
974円
前日比
+4
+0.41%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.32 3.08 7.44
時価総額 224億円
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井関農 Research Memo(3):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(2)


■井関農機<6310>の会社概要

(3) 栽培用機械
栽培用機械カテゴリーでは、苗を水田に移植する際に使用する田植機や野菜移植機などの製品を扱っている。2022年12月期の全社売上高に占める同カテゴリーの割合は5.6%となっている。

同カテゴリーにおけるフラッグシップモデルは、「さなえPRJ8」と「同ロボット田植機」だ。「高精度・高能率・高耐久」に加えて、「さなえPRJ8」にはGPS技術を用いた操舵アシストシステム「ISEKI直進&旋回アシストシステム」が搭載されている。また、「さなえ PRJ8ロボット田植機」は有人監視下でリモコン操作による無人作業を可能にする機能を備えている。

2021年12月期、田植機のラインナップにJapanシリーズが追加されたことにより、トラクタ、コンバイン、田植機の主力製品カテゴリーすべてでJapanを冠した製品が揃った。これらはすべて大型農機に分類される。今後農地の大規模化が進むなかでJapanシリーズの販売を伸ばし、農業の効率化、省力化に貢献していくことが期待される。また、2023年4月には、大型の10条田植機「さなえPJ10」を新たに市場投入する計画である。特徴の1つは、機体設計を基本から見直し、エンジンを前方に配置していることだ。エンジンを前方に配置するというのはグローバル展開を睨んだ設計思想であり、海外市場での今後の展開も期待できる商品である。

(4) 作業機・補修用部品・修理収入
作業機とは農機本体につける作業器具のことで畝立ての際に使用する「エコうねまぜ君」などが該当する。その他、修理に関しては販売した農機の故障対応や故障の発生を防ぐためのメンテナンス修理などの対応を全国の整備拠点で行っている。2022年12月期の全社売上高に占める同カテゴリーの割合は、28.2%と整地用機械に次ぐ売上規模を誇っている。しっかりとしたメンテナンス修理を行い故障の発生を防ぐことによって顧客からの信頼を獲得できること、天候不順など外部環境に左右されることなく安定して収益をあげられることなどの理由から、近時、修理・メンテナンスなど付帯サービスにも注力し売上を増加させている。

(5)「夢ある農業応援団」、農業用ICT
同社は農機販売などのハードに加えて、有益な営農情報を発信するなどソフト面の活動にも注力している。「夢ある農業応援団」は「顧客の夢ある(=儲かる)農業を応援する」というコンセプトの下、「夢ある農業総合研究所」を中心に営農提案やサポート活動に取り組んでいる。また、ホームページでは低コスト稲作技術に関する情報発信を行ったり、営農ソリューションポータルサイト「Amoni」にて最新の技術動向に関する記事の発信なども積極的に行っている。現時点では、情報発信をすることにより農家との接点を作り出すことを主な目的として活動を展開しているが、今後はコンサルティングサービスのような形で事業化することも視野に入れている。

また、農業の省力化、効率化のためにICTを積極的に活用している。営農管理システムとして「ISEKIアグリサポート」「ISEKアグリサポート×アグリノート連携」、遠隔監視サービスとして「ISEKI リモート」を提供しているほか、生育管理関連としてドローンで撮影した農地の画像をクラウド上で保存する「いろは」、ドローン・人工衛星による画像解析を活用し農作業の効率化を実現する「天晴れ」などのサービスを提供している。

「ISEKIアグリサポート」が提供する機能は「作業管理サポート」と「機械管理サポート」、大きく分けて2つある。「作業管理サポート」は、農機に搭載されたICTから得られるデータを記録・分析・管理することによって従来の経験や勘に頼った農業から脱却し、より効率的な農作業の実現を助ける。「機械管理サポート」では、農機から得られるデータを基に農機の状態を把握できる。事前の点検・メンテナンスを可能にし、未然に故障を予防することができる。

弊社はICTを活用した営農支援が今後ますます重要になってくると考えている。2021年に農林水産省が行った調査によると、営農情報の管理について45.7%が「営業日誌等のノートに記載」と回答し最も高い割合を占めていたほか、スマート農機の営農への活用について84.9%が「活用していない」と回答している。一方で、営農管理システムの活用に関しては51.8%が「活用する意向がある」と回答している。この調査結果からICTを活用した営農支援やスマート農機の活用によって農業を効率化できる余地、伸び代がいかに大きいかが分かる。

こうした状況を踏まえ同社は、中期経営計画で「ビジネスモデル転換」として情報を軸にしたサービス提供や新規ビジネスの創造に注力する方針を示している。ICT利活用が進んでいない農業において、「ISEKIアグリサポート」が営農効率化に貢献できる部分は多くあり、同社農機の魅力を高め、売上の拡大に寄与することが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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