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【特集】天空革命いよいよ本番、「ドローン配送」で上昇旋風に乗る銘柄を追う <株探トップ特集>

ドローンを活用した配送サービスの実証実験が相次いでいる。背景には昨年12月に住宅地の上空などを飛行できるレベル4が解禁されたことがあり、空の物流争奪戦から目が離せない。

―レベル4解禁で物流業界に変化の波、宅配サービスは新時代突入へ―

 国土交通省は3月31日、「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.4.0」を公表した。これは2022年12月に改正航空法が施行され、ドローン(無人航空機)の有人地帯での補助者なし目視外飛行である「レベル4」が解禁となったことを受け、ドローン物流の社会実装をより一層推進していくために取りまとめられたもの。足もとでは物流各社などの実証実験が相次ぎ、配送サービス新時代がすぐそこまで来ていることから改めて関連銘柄に注目したい。

●国交省は社会実装を後押し

 レベル4の解禁で大きく変化するといわれているのが物流だ。 物流業界は「配達の非効率」「交通渋滞」「労働力不足」といった課題を抱えており、ドローンの活用が進むことで配達時間の短縮や燃料費の削減など多くのメリットが享受できるとみられている。また、過疎地域などでの輸配送の効率を向上させることで、運輸部門の二酸化炭素(CO2)削減と物流網の維持を図り、買い物における不便を解消するなど生活の利便性を高めることができるほか、災害時などでも活用可能な物流手段として期待されている。

 こうしたなか、国交省は21年6月にドローン物流サービスにこれから着手する主体を対象にした手引きとして、導入方法や配送手段などに関する具体的な手続きなどを「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン」として整理。22年3月には、それまでの国内でのドローン物流の取り組みをまとめた事例集を追加し、「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.3.0」として公表している。今回の同ガイドラインVer.4.0はレベル4飛行も対象に改定されたもので、ガイドラインの内容は今後の状況の変化を踏まえ、適時適切に見直しが実施される予定となっている。

●実用化に向け相次ぐ実証実験

 ドローンを使った配送サービスは既に動き始めており、日本郵政 <6178> [東証P]傘下の日本郵便はこのほど、奥多摩郵便局(東京都)の配達区内で国内初となるレベル4の実証実験を行った。これは日本郵便が国交省航空局から飛行の承認を取得したことを受けて実施されたもので、第一種型式認証を取得したACSL <6232> [東証G]の国産ドローン「PF2-CAT3」が使用された。ACSLは21年6月に日本郵便、日本郵政キャピタルと業務提携契約を締結し、ドローンなどの自動配送による「配送高度化」をはじめとして、先端技術による配達ネットワークの高度化に向けた取り組みを推進している。

 セイノーホールディングス <9076> [東証P]もドローン配送の実用化に向けた取り組みを積極化している。3月24日には徳島県佐那河内村、KDDI <9433> [東証P]子会社のKDDIスマートドローン、エアロネクスト(東京都渋谷区)、NEXT DELIVERY(山梨県小菅村)と「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施。同月20~24日には新潟県阿賀町で、地域物流を効率化する新スマート物流「SkyHub」の構築に向けたドローン配送の実証実験を行った。

 アイサンテクノロジー <4667> [東証S]とKDDIは3月21日、長野県塩尻市の中山間地域で、 自動運転車からドローンが離着陸し、ラストワンマイルの物流を行う実証に成功した。ドローンが移動する自動運転車の位置にあわせて離着陸することに成功したのは国内初で、アイサンテクは高精度3次元地図の製作やドローンと自動運転車の協調制御のための位置座標補正システムの開発、自動運転車運行のための行政や関係者との調整・協議・許認可手続きを担当したという。

 出前館 <2484> [東証S]は東京都、八丈町、エアロネクストと連携し、2月5~9日にドローンによる配送実験を行った。これは将来的な配送の担い手不足を見据え、中長期的な新しい配送手段として検討することが目的で、デリバリーサービスの試行導入とあわせて分析・効果検証を行うとしている。なお、この実験で出前館は、プロジェクト全体のマネジメントやデリバリーシステム提供を担った。

 SGホールディングス <9143> [東証P]傘下の佐川急便は25年度中のドローン配送サービスの実用化を目指している。同社はイームズロボティクス(福島県南相馬市)、サンドラッグ <9989> [東証P]、日本気象協会(東京都豊島区)と共同プロジェクトを進めており、今年初めにはサンドラッグの商品(日用品、市販医薬品、食品など)を店舗から指定場所までダイレクトに配送を行う実証実験を実施している。

●DMP、オプティムなどにも注目

 このほかでは、オプティム <3694> [東証P]に注目したい。同社とNTT <9432> [東証P]傘下のNTT東日本、WorldLink & Company(京都市北区)の合弁会社であるNTT e―Drone Technology(埼玉県朝霞市)は、開発製造・運用受託・開発受託・人材育成・その他付帯する事業を展開しており、その技術力に関心が集まる可能性がありそうだ。

 ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]は、22年12月にレベル4の解禁をきっかけに買われた経緯がある。同社は最先端の人工知能(AI)やディープラーニング技術を活用して、ロボティクス及び安全運転支援分野などにおける社会課題・顧客課題の解決に貢献しているAIテック企業で、ドローン向けAI認識モデルの技術を持つ。このAI認識モデルは、ドローンの離陸時に前方の物体と物体までの距離、飛行時は前方及び前方下部の物体と物体までの距離を検出する。

 また、レベル4が解禁され、人の目が届かないエリアでも安全に運航するためには気象情報が重要で、ドローン向け「ウェザーニュース for business」を手掛けるウェザーニューズ <4825> [東証P]も見逃せない。これはスマートフォンで「ウェザーニュース」アプリを開くだけで、ドローンポートの天気予報や、上空150メートルまでの風向・風速・気温などをチェックでき、風速が設定した値を超える場合には運行管理者などが強風リスクのプッシュ通知を受け取ることも可能だ。

 ドローン関連ソリューションを展開するイメージ ワン <2667> [東証S]、ドローンの開発・製造・販売を手掛ける菊池製作所 <3444> [東証S]、企業・自治体向け業務用ドローンの活用をソリューションの一つとして提供しているブイキューブ <3681> [東証P]、グループ会社がドローンの研究開発・製造を行っているFIG <4392> [東証P]、ドローン搭載用赤外線サーモグラフィの技術を持つ日本アビオニクス <6946> [東証S]、ドローン用機能部品を展開する双葉電子工業 <6986> [東証P]、ACSL製国産ドローン「SOTEN(蒼天)」のバーチャルトレーナーを開発した実績のある理経 <8226> [東証S]なども関連銘柄に挙げられる。

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