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8798 アドバンスクリエイト

東証P
636円
前日比
-25
-3.78%
PTS
636円
18:50 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
203 4.37 2.75 2.26
時価総額 146億円
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アドバンクリエ Research Memo(6):保険代理店事業は先行投資を実施。メディア、メディアレップ事業は高成長


■アドバンスクリエイト<8798>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比4.9%増の9,548百万円、営業利益は同5.3%減の1,395百万円と増収減益となった。売上高は、外部売上高が同1.2%減の8,206百万円と微減となったものの、広告収入の増加により内部売上高が同59.6%増の1,342百万円と大きく伸長したことで増収となった。営業利益の減益要因は前述したとおり、派遣スタッフの増強や地代家賃及び造作費用の増加が主因である。

申込ANP(新契約年換算保険料)※は、前期比1.3%増の8,679百万円と2期連続で増加した。販売チャネル別では対面販売(直営店、オンライン保険相談含む)が同8.4%減の3,914百万円、提携代理店による協業販売が同4.6%減の1,699百万円と低迷した一方で、非対面販売(通信販売及びネット完結型販売)が同21.7%増の3,065百万円と好調に推移した。非対面販売については2021年10月より損害保険分野の取り組みを強化し、特に自動車保険(バイク含む)の新規獲得件数が前期から10倍以上に急増したことが押し上げ要因となった。なお、外部売上高の減少は、9割強を占める生命保険・医療保険等のPV収入が、同4.6%減の7,812百万円と落ち込んだことによる。コールセンター部門の人員不足やコロナ禍の影響もあって2022年9月期第2四半期までアポイント数が低迷し、対面販売や提携代理店での契約実績が低迷した。このため、2022年9月期末の保有契約件数も前期末比2.5%増の652千件と増加したものの、伸び率は前期の9.8%から2.5%と鈍化した。

※ANP (Annualized New business Premium)とは新規契約分の年換算保険料のこと。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。


(2) ASP事業
ASP事業の売上高は前期比5.9%増の206百万円、営業利益は同14.5%増の57百万円と増収増益となった。乗合代理店向けを中心に新規顧客の開拓が着実に進んだことが増収増益要因となった。主要サービスにおける契約ID数の増加も増収要因となった。売上高のうち約8割は前期までに契約した顧客から得られるストック収入(月額利用料)となり、残り約2割が2022年9月期に獲得した新規契約分のストック収入及び導入時の一時売上高となった。

サービス別の契約ID数(2022年9月期末)を見ると、顧客管理システム「御用聞き」が前期末比23.7%増の3,977件、申込共通プラットフォームシステム「丁稚」が同8.2%増の5,985件、オンラインビデオ通話システム「Dynamic OMO」が同173.4%増の730件とそれぞれ着実に積み上がった。ただ「御用聞き」や「丁稚」については当初の想定よりも増加ペースが鈍い。コロナ禍の影響でオンラインによる商談に制限されるなか、成約に至るまでの時間が長期化していることが影響していると見られる。「Dynamic OMO」については生命保険会社のほか、クレジットカード会社等でも導入が進み顧客開拓が進んでいる。

保険証券管理アプリ「folder」については、ダウンロード件数が前期末比69.1%増の148.0千件となり、保険証券登録数も89.2千件と順調に拡大が続いている。同アプリは無償提供で、契約情報の家族共有や保障の過不足診断、年金・教育費のシミュレーションなど様々な機能を実装していることから、顧客にとって利便性の良いツールとして導入が進んでいるようだ。一方、同社にとっても顧客の保険証券をデータ化することで「folder」を通じて最適な保険商品の提案が可能となりアポイント数の獲得に貢献しているほか、「Dynamic OMO」と連携してオンライン保険相談を行うことも可能となるなど、新たな営業ツールとしての活用が進んでいる。2020年秋から開始した外販についても順調に増加しており、生産性向上に貢献する営業ツールとしての認知度が高まれば導入がさらに広がる可能性がある。同社では将来的に1,000万件のダウンロード数を目標としている。

(3) メディア事業
メディア事業の売上高は前期比74.2%増の1,795百万円、営業利益は同89.1%増の418百万円となり、過去最高業績を大幅に更新した。前期はコロナ禍の影響で低調だった保険選びサイト「保険市場」への保険会社からの広告出稿が2022年9月期第2四半期以降、大きく伸長したことが主因だ。例年は第2四半期をピークにして第3、第4四半期は閑散期となるが、2022年9月期は落ち込みはしたものの、前年同期の水準からは大きく上回った。

(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業の売上高は前期比45.8%増の1,177百万円、営業利益は同14.3%減の141百万円となった。売上高に関しては内部取引高が同113.1%増の556百万円となったほか、外部売上高も同13.6%増の621百万円と2ケタ増となった。利益面では新規顧客を開拓するため、戦略的に採算の低い案件を受注したことが減益要因となった。同社では新規顧客の開拓にあたって最初は採算が低くても受注し、費用対効果の高い広告運用実績を残すことで、次回契約時に受注単価を引き上げる戦略を取っている。このため前期の20.5%から12.1%に低下した営業利益率も早晩20%台に回復することは可能と見られる。

(5) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比9.3%増の1,030百万円、営業利益は同64.2%減の46百万円となった。売上高については再保険契約額の積み上げによって増収基調が続いたものの、利益面ではコロナ禍による「みなし入院」による給付金※受給者の急増に伴い、医療保険の再保険金支払いが増加したことにより減益となった。

※新型コロナウイルス感染者のうち、無症状者や軽症者であっても自宅療養を「みなし入院」とし、入院給付金を受け取ることが可能であった。ただ、不正受給が問題となったこともあり、政府方針に基づき2022年9月26日より「みなし入金」については重症化リスクの高い人(65歳以上、入院を要する者、重症化リスクがあり、治療薬の投与またはり患による酸素投与が必要な者、妊婦)に限定されることになり、今後は受給者の減少が見込まれている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NS》

 提供:フィスコ

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