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【特集】田部井美彦氏【戻り高値圏で一進一退、春相場は上値追えるか】 <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

―米インフレ懸念や日銀動向など警戒要因は多い時期に―

 日経平均株価は2万7500円前後での一進一退相場が続いている。米国ではインフレ懸念が再燃しているほか、国内でも日本銀行が金融政策の修正に動く可能性もあり、積極的には動きにくい状況が続く。これから春相場の本番を迎えるが、東京株式市場は本格的な開花の時期を迎えるのか。内藤証券の田部井美彦氏に相場のポイントを聞いた。

●「日銀金融政策の行方注視、高配当利回り株の物色続く」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 米1月消費者物価指数(CPI)などの結果を受け、米国では金利が上昇しインフレを気にする相場となっている。また、日本では経済学者の植田和男氏を次期日銀総裁に起用する人事案が国会に提示された。足もとでは、日米ともに金融政策の行方に関心が高まる状況にある。

 特に、日本では日銀の黒田総裁が4月8日で任期満了となり、新総裁が就任することになるが、その金融政策修正に絡みさまざまな見方が出るなど、先行きは見通しづらい状況だ。今週末の24日には植田氏に対する衆議院での所信聴取が行われる。また、来月9~10日には黒田総裁にとって最後の日銀金融政策決定会合があり、同会合で何らかの動きがあるかも注目されている。

 全体相場が見通しにくいなか、足もとでは高配当利回りのバリュー株を狙う動きが強まっているが、3月末の配当権利取りが狙えるだけに、この動きはまだ続くと思う。また、東証が「PBR1倍割れ」企業に対して、是正を要求する姿勢を強めていることもバリュー株を見直す状況を呼んでいる。場合によっては、3月決算期企業の本決算が発表される5月以降にかけてもバリュー株物色の流れは続く可能性はありそうだ。

 今後1ヵ月程度の日経平均株価は2万6500~2万8500円前後のレンジ相場を見込んでいる。全体的にはボックス圏の上方を中心とする相場が続くとみている。

 個別では、業績が好調で配当利回りも4%台の水準にあるAGC <5201> [東証P]のような銘柄に投資妙味がありそうだ。また、配当面などで妙味があるJT <2914> [東証P]やオリックス <8591> [東証P]、それに三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]や三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]など銀行株に注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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