セレコーポレーション Research Memo(8):収益力のある経営基盤の確立を目指し「CEL未来戦略」を掲げる
■トピックス
1. CEL未来戦略
セレコーポレーション<5078>は、顧客ターゲットを「若者」にフォーカスし、ストック事業を基盤とした収益力のある経営基盤を確立するため、「CEL未来戦略」を掲げている。「アパート経営の専門店」として多面的経営を展開し、シナジー効果により売上高100,000百万円、売上高営業利益率10%規模の事業集団への成長を目指している。また、若者の多様化する価値観、生活様式、消費スタイル、興味や関心の変化などを多面的に検証し、研究するシンクタンクとして「CEL 若者Style研究所」を構想している。足元のスタートアッププロジェクトとしては、共立女子大学との産学連携プロジェクトを実行している。
2. セレ アカデミー
同社は、事業を永続させるため、次世代経営者の育成を目的とする「セレ アカデミー」を運営している。京セラ<6971>グループの京セラコミュニケーションシステム(株)とアメーバ経営教育を行い、「全員参加経営の実現」「経営者意識を持つ人材の育成」「市場に直結した部門別採算制度の確立」を推進している。アメーバ経営では各部門を細分化し、翌月~翌々月までの予定や採算を作成し、管理することでそれぞれが安定した利益を創出できる。京セラグループの指導により、アメーバ経営のベースとなり、事業永続の拠り所となるフィロソフィブックを作成した。今後の同社の経営を担う次世代の経営陣・社員が持つべき判断基準・行動指針を明確化することで、企業理念・事業目的の実現に役立てる。価値観・判断基準は、創業者が直接事業継承をする次の世代の経営陣だけでなく、連綿と経営を受け継ぐ後進者も学ぶことができる普遍性の高い内容を目指している。このため、今現在の個別の経営課題や問題意識に過度にとらわれることなく、事業永続に必要となる経営哲学を、創業者の人生経験を踏まえて幅広く編纂している。
3. ESGへの取り組み
同社は「子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ」の企業理念に基づき、「持続可能な安定的成長」を経営方針に掲げ、ESG※に対して「サステナビリティ」「健康企業宣言」「社会貢献活動」の3つの観点から様々な活動に取り組んでいる。
※「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を並べたもので、企業が長期的成長を目指すうえで重視すべき観点のこと。
(1) サステナビリティ
地球環境と社会経済、同社が共に持続可能でありつづけるためのサステナビリティ活動を推進している。一例を挙げると、地球環境に配慮し、千葉工場で業界初の「ジルコニウム化成処理※1」を導入した。また、温室効果ガス排出対策として国が推奨する「ZEH※2」化への対応として、同社は年間の一次エネルギー消費量を可能な限りゼロに近づける「NearlyーZEH仕様」として、単身向け賃貸住宅においていち早く着手している。このほかにも、世界一の環境先進都市を目指す東京都の取り組みに賛同し、省エネ性能の基準が「ZEH」よりも高く設定された「東京ゼロエミ住宅」の普及を推進している。
※1 金属塗装の前処理として耐食性・密着性能・脱脂性能を持ちながら環境負荷物質の低減を可能とし、スラッジ(難溶性のゴミ)廃棄物の発生を従来より95%削減している。
※2 「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、年間の正味エネルギー量をおおむねゼロ以下にした住宅を指す。
(2) 健康企業宣言
「社員一人ひとりの幸せの総和が企業価値」を事業目的として宣言し、常に社員が幸せに働ける環境づくりを追求している。具体的には、社内に健康増進協議会を設置し、社員の心身の健康向上のため様々な取り組みを行っている。スポーツジムと提携し「健康測定会」を年3回実施しているほか、ワークライフバランスに配慮し、20時にパソコンを強制的にシャットダウンし、12時間以上のインターバルを取れるようにしている。これらの取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人認定制度」において、5年連続(2022年3月)で「健康経営優良法人」の認定を取得した。また、健康企業宣言東京推進協議会が運営と認定をしている「健康企業宣言」においては、5年連続(2022年)で「健康優良企業認定(金の認定)」を取得した。
(3) 社会貢献活動
子どもたちの未来や地域環境の一助となる社会貢献活動を行っている。一例を挙げると、東北復興への貢献を目的に開催されている「絆甲子園大会※」を2019年の第9回までサポートしたほか、NPO法人はな街道への協賛活動(花壇の維持管理活動)を通じて地域貢献に取り組んでいる。
※東北応援イベントとして定着しており、被災地である東北のリトルシニアに、硬式野球を通じてたくさんの仲間がいることを知ってもらうこと、また本大会から始まる出会い、経験、絆を大切にし、東北復興に少しでも貢献することを目的として開催されてきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
《SI》
提供:フィスコ