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4720 城南進学研究社

東証S
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城南進研 Research Memo(10):戦略的提携も推進しながら2024年3月期以降の再成長を目指す(2)


■今後の見通し

(5) 戦略的業務提携の推進
戦略的業務提携による事業拡大にも取り組んでいる。2020年12月に業務提携した明日葉との取り組みでは、明日葉が運営している学童保育施設で「デキタス」を導入しているほか、城南進学研究社<4720>の学習プログラムである「英語で理科実験」などの導入も開始しており、導入施設数も徐々に増加している状況にある。

さらに、同年9月に業務提携した(株)キャリア・マム※とは、同社が展開する各ブランドに対して、キャリア・マムが保有する多様な人財を活用したサービスの共同開発を進めている。第1弾として、久ケ原スポーツクラブにおける「デキタス」の会員に対して、オプションサービスとして試験的にサポートサービスを開始しており、検証を進めている段階にある。教員資格保持者を中心に、学習指導経験のある人財によるコーチングサービスとして提供する。同社にコスト負担は発生せず、サービス料金の一部を手数料収入として得るビジネスモデルとなり、評判が良ければ本格的にサービス化していくものと予想される。

※全国11万人の在宅ワーク会員を活用したアウトソーシング事業を主に展開している。


同年11月に業務提携した(株)SARUCREWとは、同年12月からSARUCREWが開始した知育玩具の月額レンタルサービス「玩具GANG」の監修を「くぼたのうけん」で行っている。収益への直接的な影響は軽微だが、レンタルサービスが拡大すれば「くぼたのうけん」の認知度向上による既存保育園での園児数増加や、ソリューション事業の拡大にもプラスの効果が期待できる。

直近では2022年8月に学研ホールディングスと業務提携を発表し、12月に資本業務提携まで発展した。具体的な展開については現在、下記の6つのテーマについて両社で議論を進めている段階であり、今後の動向が注目される。

a) メタバースを用いた新しい学習サービスの協働開発・展開
学研グループと富士ソフト<9749>との協働実証により開発したバーチャル教育空間「FAMcampus」を利用したオンライン学習塾の展開を学研グループで開始しており、同メタバース空間上で同社が持つ個別指導のノウハウを用いた新しい学習サービスについての協働開発・展開を目指していく。既に、講師陣が実験で「FAMcampus」を活用したが、実用性の面では問題なかったようだ。ただ、現状のオンライン学習との差別化をどのように図っていくことができるかが課題となる。

b) 教室・学習塾の連携
学研グループが展開する「学研教室」や進学塾・学習塾と、同社が展開する「城南コベッツ」「城南医志塾」「城南推薦塾」で提供しているカリキュラムを相互に紹介し合い、今後シナジーが期待できそうなものがあれば互いに活用していくことで、カリキュラムの拡充を図り幅広い教育ニーズに応えていくことにしている。

c) 英語学習コンテンツ・サービスの協働開発
学研グループでは学習参考書・辞典などの英語出版物やオンライン英会話サービス、東京都英語村(「TOKYO GLOBAL GATEWAY」)など、様々な英語コンテンツ・サービスを提供している。同社においても英語検定試験対策の専門校「リンゴ・エル・エル・シー」やフォニックス・メソッドを用いた「ズー・フォニックス・アカデミー」等があり、英語教育サービスを展開している。今後、両社の強みを生かした新コンテンツ・サービスの協働開発を目指していく。

d) 学習アセスメントの共同開発・制作・普及
学研グループでは「思考力、判断力、表現力」を可視化する学習アセスメント「明日の学力」診断サービス(「あすがく」)を提供しており、既に年間10万人が受検している。一方、同社では「りんご塾」の運営や、オンライン学習システム「デキタス」などの教材開発部門があり、新しい教育への対応を積極的に行っている。今後アセスメント領域における協力体制を構築し、「あすがく」の進化・深化を実現し、さらなる普及を目指す。

e) 乳幼児を対象とした教育サービスの連携
学研グループでは、乳幼児向けの出版コンテンツに加えて、幼稚園・保育園向け月刊誌や備品の販売、保育園の運営など乳幼児を対象とした事業を幅広く展開している。一方、同社でも「くぼたのうけん」や「ズー・フォニックス・アカデミー」など、未就学児への能力開発を目的とした教育サービスのほか保育園事業を展開しており、両社の持つコンテンツやノウハウ、カリキュラムなどを相互に紹介し、顧客満足度の向上につながるようなサービス連携を積極的に推進していく予定だ。今後、学研グループの運営する保育園(2022年11月末45園)に対して、「くぼた式育児法」の導入が進む可能性がある。

f) 社会人を対象とした新たな教育サービスの開発・普及
学研グループで企業向け研修サービスを展開する(株)TOASUと、同社グループのアイベックとの連携や、社会人向け英語学習サービスの協働開発を推進することで、両社の社会人向け事業の拡大を目指していく。

(6) クレド経営に基づいた人財育成
自ら考えて行動する社員を育成することによって、経営理念やクレド(行動指針)、ビジョンに基づく行動の喚起と、エンゲージメント(会社への信頼・愛着心)の高い組織の構築を目指している。また、グループの発展に寄与する人財の採用と成長を促すための人事評価制度の構築についても推進していく予定だ。

SDGsへの取り組みについて見ると、同社は「質の高い教育の提供」として、「デキタス」による不登校生徒や学習塾のないエリアへの学習機会の提供を推進しているほか、「ジェンダーの平等実現」として、女性の活躍の場を広げるべく保育事業の拡大に取り組んでいる。また、SDGsを題材としたクリエイティブラーニング講座を成城大学と共催している。そのほか、SDGsにどのように貢献していくかといったアイデアを、社員だけでなくアルバイトや生徒・保護者などあらゆる関係者へ広く募集し、そのなかから優秀と認められたものを表彰する「城南SDGsアワード」を創設した。大賞受賞企画については今後のビジネスとして取り込む予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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