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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】出遅れ銘柄のリバランス物色に期待

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「出遅れ銘柄のリバランス物色に期待」

●米国では大型テック株やハイテク株を見直す動き

 日経平均株価はようやく節目の2万7500円を回復してきた。ただし、決算発表がピークを迎えていることもあり、機関投資家などは積極的には動きづらい状況であろう。まずは決算通過待ちとなるが、米国では連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル連邦準備理事会(FRB)議長会見を経て、大型テック株やハイテク株を見直す動きが目立ってきた。

 東京市場でもハイテク株がリバウンドを見せてきており、指数へのインパクトが大きい東京エレクトロン <8035> [東証P]は52週移動平均線水準に差し掛かってきた。個別の決算反応も日本電産 <6594> [東証P]や村田製作所 <6981> [東証P]などが下方修正後にアク抜け的な動きを見せるなど、センチメントは改善傾向にある。

 村田製作所はようやく52週線を回復してきたが、いったんは戻り一巡感も意識されやすいだろう。ただし、ハイテク株などグロース株の見直しと対になる形で、ディフェンシブ株の利益確定といったリバランスが一段と強まるようだと、2021年1月の高値1万0835円から続く調整トレンドは転換を見せてくる可能性があろう。相対的に出遅れている銘柄へのリバランスを想定した物色に期待したい。

◆アドバンテスト <6857> [東証P]
1月31日に発表した23年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結売上高は前年同期比37.6%増の4127億円、営業利益は同59.3%増の1291億円だった。スマートフォンやパソコンなど民生機器向けの半導体需要は減ったが、「SoC」半導体用試験装置において先端プロセス品向けの好調が民生機器向けの落ち込みを補った。来24年3月期の売り上げ見通しは、民生機器向けの半導体の在庫調整などが続くとみられるものの、受注残の状況からマイナスは大きくないようだ。株価は足もとのリバウンドにより1月24日につけた戻り高値1万0110円に接近。直近の信用倍率は1.33倍と取組妙味があり、戻り高値突破から昨年1月高値1万1380円を意識したリバウンドに期待したい。

◆Zホールディングス <4689> [東証P]
Zホールディングスは2月2日、23年度中をメドに完全子会社のヤフー、LINEと合併する方針を発表した。ZHDは21年3月にLINEと経営統合したが、目立った効果が出ないまま主力の広告事業の成長鈍化が鮮明となっていた。合併によって迅速な意思決定やシナジーの拡大が期待され、決済市場で高い地位を確立しているPayPayの黒字化に向けた取り組みも加速しよう。発表後、株価は窓を空けて急伸し、52週線水準まで回復してきた。今後は同線突破による、昨年11月高値839円から続いた調整からのリバウンド加速に期待したい。

◆マースグループホールディングス <6419> [東証P]
1月27日に発表した23年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結売上高は前年同期比24.6%増の137億円、営業利益は同91.5%増の24億円で着地した。パチンコ・パチスロ業界を取り巻く環境は厳しいが、次世代遊技機であるスマートパチスロの導入により、業況改善の兆しが見られる。また、自動認識システム関連の需要が、非接触や無人化、自動化の流れにより好調。株価は決算を好感して上昇し、上値抵抗だった25日線を突破。1月の高値2467円とのダブルトップ形成が意識されるものの、25日線での底固めを経ての一段高に期待。

◆ノーリツ <5943> [東証P]
昨年12月8日に業績・配当修正を発表。22年12月期の連結営業利益を従来予想の50億円から67億円に上方修正するとともに、年間配当を従来計画の50円から53円に増額した。国内事業では部品調達難への対策を実施し、3月以降、順次生産高を伸ばし受注残の解消と納期の正常化に努めた。2月2日には同社の「集合住宅用ハイブリッド給湯システム」が22年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門において「省エネルギーセンター会長賞」を受賞。エネルギー価格が高騰するなか、省エネ製品への需要が高まる可能性がある。株価は1月5日につけた1412円を安値にリバウンドを継続し、直近で75日線をいったん突破。その後は利食いに押されて割り込んだものの、押し目狙いのスタンスに向かわせよう。また、PBRは0.5倍台と1倍を大きく割り込んでいる。東証は低PBR企業に対して改善策などの開示拡充を求める方針であり、株価対策への思惑につながる可能性もある。

◆住友電気工業 <5802> [東証P]
2月2日、子会社の日新電機 <6641> [東証P]とテクノアソシエ <8249> [東証S]に対しそれぞれTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。完全子会社化によって製品設計や販路拡大での連携を強化する。拡大が続く再生可能エネルギー関連分野などでのシナジー強化による収益拡大が期待される。株価は足もとのリバウンドで75日線を突破。21年3月高値1802円から続く調整トレンドのレンジ上限を捉えてきており、トレンド転換からの一段高に期待したい。

(2023年2月3日 記)

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