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【特集】馬渕治好氏【日経平均上値追い継続、リスクオン相場どこまで】 <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

―円安をフォローの風に2万8000円台に舞い上がれるか―

 週明け6日の東京株式市場は主力銘柄をはじめ広範囲に買いが優勢となり日経平均株価は4日続伸、2万7000円台後半まで水準を切り上げた。前週末の米国株市場では1月の雇用統計発表を受け、金融引き締め長期化の思惑から主要株価指数が下落。しかし、東京市場では為替の急速な円安進行が追い風となって上値追いが続いた。果たして、今後もリスクオン相場は続くのか。経済やマーケットの先読みに定評のあるブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏に、東京市場の今後についてどうみているのか見解を聞いた。

●「日本株は相対的に強さ発揮も早晩下値試す」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 きょうの東京株式市場は日経平均株価が上値追い歩調を続け一時2万7800円台まで上昇したものの、2万8000円近辺は目先上限ラインに近いとみている。前週末の米国株市場はNYダウナスダック総合株価指数ともに安かった。1月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数の増加が事前予想を大幅に上回ったことなどで、金融引き締めに対する警戒感が再燃したというのが株安の背景である。

 しかし、米国では取引時間中のNYダウの値動きを見る限り必ずしも弱いとはいえず気迷い相場の色が強かった。上下に不安定な値動きが続くなか、NYダウは取引前半にマイナス圏とプラス圏を往来した。米国では強い経済指標を株式市場が素直に好感する時もあり、株価面で景気が強ければいいのか、それとも弱ければいいのかがはっきりしないところがある。また、雇用統計は確かに想定を上回る強い数字だったが、それまでの米経済指標を振り返って、例えばISM製造業景況感指数や小売売上高、鉱工業生産といった指標はむしろ経済の弱さを示唆するもので、雇用統計の数字だけを鵜呑みにするべきではないと考える。

 今後の米国株市場では企業業績の悪化を株価が織り込みにいく局面が見込まれ、米株安となれば東京市場もその影響を免れないだろう。ただ、米国株に比べて日本株は相対的に強いパフォーマンスを示すことが予想される。それは、今の東京市場が米国の材料に追随して動き、日本固有の材料では動いていないということ。また、日米の企業業績を比較した際に日本企業はPERで割安感があるうえに、EPSの伸び率も米国よりも高いことが株価の下支え効果をもたらしやすい。

 外国為替市場では金融引き締め長期化の思惑からドルが買われ、1ドル=132円台まで円安が進んだが、遅かれ早かれ経済の悪化を背景に再びドルが売り直される、すなわちドル安・円高方向への揺り戻しが起きそうだ。円高となれば、これは東京市場では輸出セクターを中心にマイナスに働きやすい。

 今期末(3月末)をメドとした日経平均のレンジは上値が2万8500円程度、下値は2万6000円前後とみている。一方、米国株の方は、同期間のNYダウのレンジは上値が3万4500ドル前後、下値の方は3万2000ドル近辺を想定している。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」(金融財政事情研究会)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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