ナガイレーベ Research Memo(5):第1四半期の営業利益は前年同期比31.0%減益となったものの想定の範囲内
■業績動向
1. 2023年8月期第1四半期の連結業績概要
ナガイレーベン<7447>の2023年8月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比12.5%減の2,954百万円、営業利益が同31.0%減の631百万円、経常利益が同31.1%減の648百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同31.3%減の445百万円となった。
損益面では、原材料費の高騰や国内工場の加工賃上昇及び、為替(前年同期比で円安)の影響などにより売上総利益率は42.8%と前年同期比2.6ポイント低下したものの、当初の想定は上回って着地した。販管費はコロナ禍からの回復もあり同2.7%増となり、この結果、営業利益は同31.0%減となった。減益率は大きくなったが、第1四半期は従来、年間の売上・利益における比率が大きくないため、わずかな増減額で変動幅は大きくなる。実際、当第1四半期の営業減益額は284百万円と前期の営業利益額5,031百万円に比べればわずかであることから、案ずる結果ではなかったと弊社では見ている。
市場環境としては、医療現場の状況は完全に回復したとは言えないものの、一時期の混乱状態からは脱却し安定を取り戻している。また、2022年4月からの診療報酬改定によって診療報酬が+0.43%、薬価等が-1.37%となったほか、看護職員・介護職員の処遇改善により平均賃金が引き上げられた(2022年2月から+1.0%、10月から+3%)が、同社製品への発注には現時点では大きな影響は出ていないようだ。
コア市場の売上高は、前年同期に大型更新物件を受注したことの反動もあり、前年同期比15.3%の減収となった。周辺市場の売上高も、燃料費高騰によりリネンサプライヤーの新規資材購入の一時的な抑制の影響を受けたことなどから、同7.9%の減収となった。
利益面では、売上総利益率は前年同期比2.6ポイント低下し42.8%となり、売上総利益は同17.4%減の1,265百万円となった。売上総利益率は前年同期比で悪化したものの、当初から円安や原材料費の上昇が予想されていたことから、この結果は想定内と言える。期初予想では上期の売上総利益率を41.5%としていることを考慮すると、第1四半期の売上総利益率は想定を上回ったとも言える。一方で販管費は、国内外での営業活動の回復による旅費交通費や展示会費の増加により、同2.7%増の633百万円となった。この結果、営業利益は前年同期比で減益となった。
● アイテム別、市場別売上高
コア市場は、前年同期に大型更新物件を受注したことの反動もあり、売上高は前年同期比15.3%減の2,015百万円となった。アイテム別では、ヘルスケアウェアは同14.5%減の1,512百万円、ドクターウェアは同14.0%減の398百万円、ユーティリティウェア・他は同27.9%減の103百万円となった。注力している周辺市場では、リネンサプライヤーの新規資材購入の一時的な投資抑制の影響などから、売上高は同7.9%減の884百万円となった。アイテム別では、患者ウェアが同6.2%減の619百万円、手術ウェアは同11.6%減の265百万円となった。海外市場の売上高は同37.7%増の55百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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提供:フィスコ