貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7261 マツダ

東証P
1,003.0円
前日比
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PTS
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23:52 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
4.5 0.37 5.48 10.93
時価総額 6,337億円
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新年お年玉「警戒感浮上も異彩高放つか、跳躍期待の7銘柄」 <新春特別企画>


―23年の成長率は米・ユーロ圏上回る予想、G7広島サミットで存在感発揮も―

 2023年の世界経済は不透明感が強い。世界的なインフレ圧力を抑えるため欧米の中央銀行は22年に過去に例を見ないペースで利上げに踏み切った。結果として米国ではドル高が進行し、米国企業の収益にダメージをもたらし始めた。IT企業や金融大手での人員削減の動きが報じられるなか、消費マインドも冷え込み始めている。エコノミスト調査(22年12月時点)によると、米国経済は7割の確率でリセッションに入ると予想されているようだ。

●景気後退懸念でも豊富なテーマ性

 日本経済は、22年7-9月期の実質国内総生産(GDP)が2四半期ぶりにマイナス成長となったほか、同年11月の景気ウォッチャー調査は4ヵ月ぶりの悪化となった。更に、日銀が12月の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)における長期金利の変動許容幅の上限を引き上げたことを受け、外国為替市場でドル安・円高が急ピッチで進行した。輸出企業の業績下振れリスク警戒が賃上げ機運に水を差すこととなれば、現役世代の将来不安が一段と強まりかねない。

 とはいえ「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育つ」のも事実である。明るい面に目を向けると、国際通貨基金(IMF)の最新の世界経済見通し(同年10月時点)で23年の日本の成長率はプラス1.6%と、米国(プラス1.0%)やユーロ圏(プラス0.5%)を上回る安定的な成長が期待されている。そもそも日本の失業率は海外に比べ上昇しにくい構造があり、家計貯蓄も積みあがった状況にあるとされる。相対的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の安定感は海外投資家の関心を引き付ける可能性があるが、そればかりではない。

 長年、日本株を巡ってはPBR(株価純資産倍率)で1倍を下回る銘柄の多さが問題視されてきたのは周知の通りだろう。こうしたなか、経済産業省が22年11月、「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」において、TOPIXなどの構成銘柄に関し、PBR1倍割れなど投資家から評価されていない企業について「組み入れないなどの措置は考えられないか」とする意見書を提出したことが大きな話題となった。PBRを高めるためにはROE(自己資本利益率)の上昇が欠かせず、収益性の拡大や株主還元の強化がその手段となる。議論の方向性次第では、海外投資家の資金が日本株に流入するシナリオが現実味を帯びてくる。

 加えて、日本株市場は「テーマ」も豊富な状況だ。例えばパワー半導体 の普及には、日本企業の技術力は今でも不可欠なものとなっている。認知症治療薬の実用化にも、日本の製薬大手がしっかりと関与している。更には、ドローンの実用化や、メタバース の利用拡大、リスキリングの潮流、インボイス制度の導入など、日本はさまざまなテーマであふれているのである。そして、23年5月の主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)の開催地が広島市であることも忘れてはならない。グローバルで運用する海外投資家に、日本の存在感を印象付けるための材料は揃っていると言っても過言ではないだろう。

 過去を振り返ってみても、リーマン・ショックや東日本大震災など、数々の困難を日本企業は克服し、成長を遂げる底力をみせてきた。今回の新春特別企画では、リセッションの懸念のなかでも進化が見込まれ、海外投資家からの関心の高まりが一段と期待できる7銘柄を厳選した。

●新年相場で躍動期待、海外投資家も評価する7銘柄

◎サンリオ <8136> [東証P]「ハローキティは海外で躍進へ、メタバースでも注目」

 コロナ禍からの経済活動の正常化と訪日外国人客数の回復に伴い、サンリオピューロランド(東京都多摩市)の入場者数や、同社のキャラクターグッズの需要増加に対する期待が膨らんでいる。だが、注目すべきは海外事業だ。同社は22年6月、中国市場での同社キャラクター のライセンス契約を中国・アリババ集団<BABA>のグループ企業と締結。構造改革に挑んだ北米事業は22年4-9月期に営業黒字に転じている。海外で成長の布石を打つ一方で、Web3.0やメタバースなどのデジタル領域でも事業の基礎固めを進めており、新たな動きに注目が集まる。株価はすでに13年以来の高値圏にあるが、保有割合が1割台とみられている海外投資家の資金が一段と流入すれば、同年9月につけた高値6270円の突破も現実味を帯びてくる。

◎ローム <6963> [東証P]「SiC製パワー半導体で花開く」

 長年開発を続けてきたSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の花が開きつつある。電気自動車(EV)の航続距離の伸長に寄与する同社の製品は、日立Astemo(東京都千代田区)のEV用インバーターに採用されることが決まったほか、マツダ <7261> [東証P]などとSiCパワーモジュールを活用したインバーターの共同開発にも乗り出した。戦略的パートナーシップを結ぶ中国企業との技術を融合した車載パワーモジュールは、複数の大手自動車メーカーのEV用パワートレーンに供給される予定となっている。東芝 <6502> [東証P]への出資報道が株価の上値を重くしたとはいえ、好財務体質には定評がある。車載向けパワー半導体の収益貢献はまさにこれからであり、海外投資家の評価を一段と高めそうだ。

◎クボタ <6326> [東証P]「日本発アグリテック銘柄の筆頭」

 米国の著名株式コメンテーターのジム・クレイマー氏は、23年の好パフォーマンスが期待できる7銘柄のなかに米農機大手のディア<DE>を入れた。米国では農産物の価格上昇で、農家によるトラクター需要が今後、堅調に推移するとみられており、クボタの米国事業にも追い風が吹いている。加えて、同社はドローンや自動運転技術を活用し、生産性の向上を促す「スマート農業」のソリューションも推進している。足もとの業績予想の前提となる為替レートは1ドル=132円と実勢に近い水準。23年12月期の想定レートを保守的に円高方向に見積もることにより、利益が圧迫される可能性は否定できないが、世界的な食料不足の課題の解決を目指す同社のミッションは、長期スパンで投資をする機関投資家の共感を呼びやすい。成長するインド市場での収益拡大も期待されている。

◎三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]「マイナス金利撤廃と株主還元姿勢で一段高も」

 日銀がYCC政策における長期金利の変動許容幅の上限を引き上げたことを受け、国内金利に上昇圧力が掛かっている。日銀の黒田東彦総裁は「利上げではない」と述べたが、仮にYCCが撤廃されたとしても、マイナス0.1%の政策金利の引き上げがなければ、利回り曲線の起点となる短期金利のみならず、中期から超長期を含めた金利全体の上昇圧力もいずれ限られることとなる。目先はマイナス金利の撤廃が焦点となるが、すでに日銀政策の更なる修正を見込み、日本国債の売りポジションを構築しようとするヘッジファンドも現れているようだ。ヘッジファンドの読み筋通りにマイナス金利撤廃に日銀が追い込まれた場合、国内金利が一段と上昇することが見込まれ、金融機関の収益環境が大きく改善することが予想される。三菱UFJは銀行株の代表格と位置付けられているが、株主還元姿勢に対する評価も高く、投資意欲を掻き立てる銘柄といえそうだ。

◎エーザイ <4523> [東証P]「認知症治療薬の次なる一手に早くも注目」

 米バイオジェン<BIIB>と共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬 「レカネマブ」は、23年1月にも米食品医薬品局(FDA)での審査が終了する見込みだ。すでに第3相臨床試験では主要評価項目を達成したと発表しており、審査結果に注目が集まっている。エーザイの株価は実用化を織り込んで上昇しているが、レカネマブはあくまで「早期段階」の認知症を対象とした治療薬。これと同時に、進行中の認知症に対する新薬についても同社は実用化を目指し、開発を進めているもようだ。不治の病とされる認知症に二の矢、三の矢を放つことができるのか。認知症治療薬領域での収益拡大期待は実用化後も続くとみられ、株価も底堅く推移しそうだ。

◎ホンダ <7267> [東証P]「ジェット機とロボット、エッジが効いた独自路線に期待」

 円高による業績下振れ懸念が自動車株の重荷となっているとはいえ、将来のどこかで「ホンダ=自動車メーカー」のイメージが薄れるタイミングが訪れるに違いない。ビジネスジェット機「ホンダジェット」。異業種のソニーグループ <6758> [東証P]とのEVの開発をはじめとしたモビリティ分野でタッグ。空飛ぶクルマの実用化に向けた動き。ロボットの存在も忘れてはならない。船外機を含め、陸海空の全方位で製品を持つメーカーは実は世界でも限られる。MaaS(次世代移動サービス)領域での成長戦略に対する投資家の期待が膨らめば、トヨタ自動車 <7203> [東証P]やスズキ <7269> [東証P]と比べて割安な水準にあるPER(株価収益率)が注目され、見直し買いを集める余地が広がるだろう。

◎レーザーテック <6920> [東証P]「グローバルニッチトップの存在感は不変」

 半導体の微細化の肝となる最先端のEUV(極端紫外線)露光技術に対応する検査装置などを手掛ける同社は、引き続きニッチな分野でグローバル市場での圧倒的な存在感を示す企業として、多くの投資家の関心を引き付けることになるだろう。半導体市場の減速懸念が広がるなかにあっても、EUV露光装置を手掛けるオランダのASMLホールディング<ASML>の22年7-9月期の新規受注は過去最高の水準となった。23年の半導体市場はマイナス成長が見込まれている。ただし半導体といってもメモリーの落ち込みは比較的大きなものになると予想される一方、最先端品の量産化に向けた半導体メーカーの動きが止まることを見込む向きは少ない。業績の底堅さに安心感が広がれば、株価に一層の浮揚力が掛かるに違いない。


★元日~4日に、2023年「新春特集」を一挙、“28本“配信します。ご期待ください。
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