日本電技 Research Memo(6):原燃料高や部材不足などのリスクにも先行的に対応
■業績動向
1. 業界環境
事業環境は、首都圏再開発案件などの新規案件が積み上がり、2020東京オリンピック・パラリンピック後の踊り場を抜け出たところにある。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の世界的なまん延をきっかけに広がった原燃料高や半導体などの部材不足、円安の進行といったリスクも広がりを見せている。現時点では日本電技<1723>業績に影響を及ぼしていないが、鋼材価格や輸送費といった原燃料高の影響がゼネコンに及んでいるようで、空調計装業界にも価格競争が広まる兆しがある。ただし、同社においては、足元で大きな影響はないと考えられる。一方、半導体など部材不足の影響も続いており、業界では納品や工期に遅れが出る可能性が指摘されている。しかし同社の場合は、アズビルから100%仕入れる特約店というメリットを生かして設計段階から手当しているため、現状大きな納期遅れはない模様である。
なお、産業システム関連事業は、機器メーカーが多岐に渡るため、使用メーカーによっては納品遅れにより工期が長引く可能性があるものの、案件が発生した段階で施主などに状況説明をすると同時に、製品の手配を従前より先行させることで、一定程度カバーできる見込みである。一方、中期的には国内の人手不足が深刻化すると予測されていることから、社内も施工現場も全社的にデジタル化を推進し、作業効率や労働生産性を向上させる計画である。また、新設工事では、既設につながる高収益の物件をより多く手掛けることで収益ミックスを改善、既設工事では、IoTを駆使したリモートメンテナンスの導入拡大や脱炭素社会に対応したメニューを提案して付加価値を上げる方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ