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明日の株式相場に向けて=逆金融相場の次の舞台は

 きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比134円安の2万8027円と3日続落。ここにきてリスク回避目的の売りに押される展開が続いてはいるが、2万8000円大台をキープして取引を終えた。

 全体は下値模索の局面にあるが、前日の米国株市場でNYダウが500ドル近い大幅安となった割には慌てた感じがない。きょうは米株先物がバランスを立て直しプラス圏で推移したことや、ここ何かとネガティブワードに晒されることが多い中国も上海総合指数が大幅反発し、香港ハンセン指数も急反騰をみせるなど「日本だけ安いのがむしろ不自然なムードとなった」(中堅証券ストラテジスト)ことから、売り注文が引っ込んだ感がある。

 日経平均は2万8000円台近辺、TOPIXは2000大台近辺で売り買いを交錯させている。騰落レシオなど投資指標面から買い疲れ感は拭えないものの、ここでの押し目は拾い場になっているという思惑が勝っているのかもしれない。日経平均の先行きについては見解の分かれるところだが、市場関係者は概ね強気の見方が優勢のようだ。これが強気から楽観の領域まで傾くと足もとをすくわれるのが相場だが、今は警鐘を鳴らす向きもそれなりに多く、そのぶんガス抜きも利いている。

 FRBなどの金融引き締め策打ち止めを先取りする買いは確かに危険だ。当欄でも再三触れたが、逆金融相場からいきなり金融相場に切り替わることはなく、企業収益の低下や景気実勢悪を織り込む逆業績相場のトンネルは遅かれ早かれ何処かでくぐらなければならない。しかも結構長いトンネルである。米国の10年債と2年債の逆イールドが40年ぶりの大きさとなったことは、米国のリセッションを強く暗示している。米リセッションは世界景気のリセッションとほぼイコールであり、徐々にそれが現実化する過程で果たして株式市場が今の延長線上で上昇トレンドを維持し続けることができるのか。答えは明らかである。次の金融緩和局面を拠りどころに株価が浮揚するのはトンネルをくぐった後の話だ。

 問題は年内にその下げ相場に向かうトンネルの入り口が見えているかどうか。確信は持てないが、まだしばらくは過度な金融引き締め警戒の反動で株価の上昇余地は残されていると判断したい。例えば立ち位置を変えて売り方の立ち場でみると、ここで売り崩しに動くには何らかの突発的な悪材料がないと難しいという結論に至る。厭戦気分が強まるなかウクライナ休戦のシナリオが意識され、ショートポジションを積み上げている側にとっては踏み上げに誘導する強力なインパクトを持つ。更に、中国のゼロコロナ政策に業を煮やした抗議運動も「習近平政権の体制崩壊に至る可能性は乏しく、むしろゼロコロナ政策の一部解除もしくは緩和という落としどころが読める」(ネット証券アナリスト)とし、これも中国リスクで売り建てたショート筋の手仕舞いを誘発する。今の状況を総括すれば、年末までに2万9000円ライン突破は高いハードルではないというのが妥当なところではないか。ただし、一本調子で株価が上値を追うようならむしろ危ない。12月相場は強気優勢のなかでも出口を意識しながらの投資スタンスを念頭に置いておく必要がある。

 個別株では半導体関連の中小型で冨士ダイス<6167>をマーク。超硬合金製工具や金型でトップシェアを持つ堂々たるニッチトップ企業である。また、デジタル計測器を手掛ける小野測器<6858>も好チャートで食指が動く。週足ではまだ底値圏でPBR0.3倍台は安過ぎる。また、ビリングシステム<3623>が力強い足で新高値圏に浮上。こちらは国民年金のスマホ払いに関連した業務を厚労省から受託したことを発表し人気化したが、「デジタル円」関連の伏兵としても意外性を内包する。

 あすのスケジュールでは、10月の鉱工業生産速報値、10月の自動車輸出実績、10月の建機出荷、10月の住宅着工統計、11月の為替介入実績など。また、東証グロース市場にウェルプレイド・ライゼスト<9565>が新規上場する。海外では11月の中国製造業PMI、中国非製造業PMI、タイ中銀の政策金利発表、インド7~9月期GDP、トルコ7~9月期GDP、11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、11月の独失業率、11月の米ADP全米雇用リポート、7~9月期米実質GDP改定値、11月の米シカゴ購買部協会景気指数、10月の米仮契約住宅販売指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など。また、パウエルFRB議長の講演のほか、クックFRB理事の講演も予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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