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明日の株式相場に向けて=ホテル関連株に静かに流れ込むマネー

 週明け30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比587円高の2万7369円と続急伸。実質6月相場入りとなったその初日に、2万7000円ラインを勢いよく突き破る幸先の良いスタートとなった。5月に入ってからは、6日と23日に終値で2万7000円台を回復していたが、前者は2万7003円、後者は2万7001円と、いずれもかろうじて片足を乗せたような台替えで、あえなくその翌日から下値模索の動きに転じていた。しかし、きょうは正真正銘のフシ突破、目先の波動転換を示唆する強い動きだったといえる。

 これまで米国株の急速な戻りに対して、日本株は妙に煮え切らない値動きとなっていたが、きょうは前週末のNYダウやナスダック総合株価指数の派手な上昇パフォーマンスに追随する形で、鬱憤を晴らすような上げ足を披露した。2万7000円近辺は滞留出来高が多くヤレヤレの売り圧力も強いが、2万7000円台半ばまでくると戻り待ちの売りが希薄化することで、上昇第2ステージに向けた視界が開けることになる。日足一目均衡表も雲抜けを果たし、当面は買い戻しが誘発されやすい時間帯に移行した。

 もっとも、前週末の米株市場急騰の理由に挙げられているのが、個人消費のクールダウンに伴うインフレのピークアウト感で、これは当てにならない部分もある。発表された4月のPCEデフレーターの伸び率が前月と比べ鈍化したことが好感されたという解釈だが、これはその時の地合いが言わせた感も否めない。今後もちょっとした経済指標のアヤで投資家心理は揺れ動くだろう。もとより、インフレでも消費意欲は旺盛であることが求められているはずで、そうでなければFRBが主張する「経済は強いから利上げに耐えられる」というシナリオから外れる。5月相場は“あざなえる縄のごとし”で、売り材料と買い材料の境界線がはっきりせず、すべては需給に委ねられた相場の後講釈に過ぎない。足もとは需給面から買い戻しが活発化しているが、これは大勢トレンドの転換と同義ではない。

 今は米インフレ懸念や米企業の業績見通しばかりに神経を尖らしているが、怖いのは中国経済の方かもしれない。上海のロックダウン解除の動きによってもたらされる束の間の安堵感は、少なくとも中期的には担保されず、不動産バブル崩壊による弊害が早晩マーケットのリスク要因として語られる可能性が高い。中国発の金融不安が世界に伝播する負のスパイラルは今のところ考えにくいが、世界の実体経済の下方修正要因として、中国リスクがいまだ織り込み切れていないのも事実である。

 一方、足もとはFRBの量的引き締め開始前の段階にあり、過剰流動性相場の余韻に浸りながら日本株優位説を堪能できるタイミングにある。その象徴となっているのがインバウンド関連で、6月からの外国人観光客の入国規制緩和を材料に幅広い銘柄が買い戻しラッシュとなっている。チャンネル登録数世界トップのユーチューバーであるピューディパイが、日本への移住を発表して耳目を驚かせたが、これも「安全で住みやすい国」である日本の存在を知らしめることになった。

 そうしたなか、ホテル関連株への物色の矛先が強まりつつある。外国人観光客に筆頭人気となっている京都だが、商いはまだ薄いものの京都ホテル<9723>が上値指向を強めている。テクニカル的には長期ボックス上限の700円ラインを突破できるかどうかが注目される。また、外国人顧客の利用率が高い高級ホテルの老舗といえば帝国ホテル<9708>だ。タワー館や本館など漸次建て替えも予定され話題性に事欠かない。星野リゾート・リート投資法人<3287>なども注目され始めている。更に、大和ハウス工業<1925>傘下でホテル事業に積極展開するコスモスイニシア<8844>は要マークとなる。アパホテルをフランチャイズ展開するティーケーピー<3479>なども人気素地を開花させる可能性がありそうだ。

 あすのスケジュールでは、4月の鉱工業生産指数、4月の失業率、4月の有効求人倍率が朝方取引開始前に発表されるほか、午後には4月の自動車輸出、4月の建機出荷、4月の住宅着工統計、5月の消費動向調査などが発表される。2年物国債の入札も予定されている。また、グロース市場にトリプルアイズ<5026>が新規上場する。海外では5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)及び中国非製造業PMI、5月の独失業率、5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、5月の米シカゴ購買部協会景気指数、5月の消費者信頼感指数、3月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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