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【特集】窪田朋一郎氏【米国株が戻り局面に、6月の日経平均は上か下か】(2) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)

―日経平均2万7000円台回復、次の展開を読み解く―

 週明け30日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅高でフシ目の2万7000円大台を回復した。米国株市場ではNYダウナスダック総合株価指数ともに足もとで戻り足を鮮明としており、東京市場もこれに追随する動きをみせている。前週のFOMC議事要旨の開示後、FRBの金融引き締めに対する警戒感がやや後退していることが株式市場にプラスに働いている。6月相場は果たしてどういう展開が予想されるのか、第一線で活躍する市場関係者2人に見通しを聞いた。

●「月初高も後半は再び軟化の可能性」

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)

 東京株式市場は足もとリバウンド局面に移行している。米国株市場では4月下旬から5月中旬にかけて急激な下げに見舞われた反動で、目先的には機関投資家のリバランスの買いや、それを横目に空売り筋のショートカバーなども誘発し、戻りの勢いも強いものとなっている。日経平均はNYダウやナスダック総合株価指数が大きく下げている時に、相対的に底堅さを発揮していたこともあり、その分だけ戻りも鈍くなっているが、リスクオンの流れで6月は月初高が見込めそうだ。

 米国株のレンジはNYダウでみて上値は3万3800ドル近辺、下値は3万2000ドル台前半をイメージしている。一方、日本株については3月の急激なリバウンド局面と同様に、日経平均の戻り上限としては200日移動平均線が一つの目安となる可能性があり、2万8000円近辺を視界に入れる場面もありそうだ。ただ、月初にリスクオフの巻き戻しが入っても後半はダレるケースが想定される。その場合、下値は2万6500円近辺まで下押す局面を予想する。

 米国では、これまで株式市場の下げ要因となっていた激しいインフレが、消費が落ち込むことによってピークアウトするとの見方も浮上している。とはいえ、6月と7月に0.5%の政策金利引き上げで打ち止めとなる公算は小さいと考えている。6月以降は量的引き締め(QT)による影響も考慮されるだけに楽観はできない。インフレに対する見極めも必要で、目先的には今週末6月3日に発表が予定される5月の米雇用統計で賃金の上昇率に注目が集まる。加えて、中国では上海の経済再開に向けての動きが期待されるが、サプライチェーン問題などが尾を引きそうだ。

 当面の物色対象としては、月前半はレーザーテック <6920> [東証P]などの半導体関連の主力銘柄やファナック <6954> [東証P]、キーエンス <6861> [東証P]といったFA関連の値がさ株などのリバウンドが有力視される。また、中小型株にも視線が向きやすく、グロース株(旧マザーズ銘柄)への買い戻しも表面化しよう。月後半はこれらの買い戻しが一巡し、足もとで上昇一服感のある防衛関連で、三菱重工業 <7011> [東証P]などが改めて強さを発揮する地合いを想定している。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「アクティビスト追跡ツール」など、これまでにない独自の投資指標を開発。

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