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【特集】笹木和弘氏【米国株が戻り局面に、6月の日経平均は上か下か】(1) <相場観特集>

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

―日経平均2万7000円台回復、次の展開を読み解く―

 週明け30日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅高でフシ目の2万7000円大台を回復した。米国株市場ではNYダウナスダック総合株価指数ともに足もとで戻り足を鮮明としており、東京市場もこれに追随する動きをみせている。前週のFOMC議事要旨の開示後、FRBの金融引き締めに対する警戒感がやや後退していることが株式市場にプラスに働いている。6月相場は果たしてどういう展開が予想されるのか、第一線で活躍する市場関係者2人に見通しを聞いた。

●「NYダウは6月中旬頃まで反発局面も」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 足もとで、米株式市場は反発に転じている。これは、第1には米国のインフレ見通しにピークアウトの期待が出てきたこと、第2にはNYダウの予想PERは17倍前半にありITバブル崩壊時の底値である同15倍後半に近づき割安感が強まり始めたこと、などが指摘できるだろう。今年に入り、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は、4月まで毎月20を割り込む水準に下落している。足もとの同指数は25前後であり、20前後まで低下する局面では、NYダウなど米株価の上昇が期待できるだろう。

 6月の米株式市場は、NYダウは米連邦公開市場委員会(FOMC)のある14~15日を意識しながら3万4500ドル前後まで上昇することが想定できる。下値は3万1500ドル前後だろう。6月中旬まで上昇後、中旬以降は横ばいか調整局面に入る可能性がある。また、ナスダック指数の上値は1万3500、下値は1万1500前後をみている。

 足もとでは需要の強さがインフレ懸念をもたらしているが、今後はウクライナ危機や中国ロックダウン(都市封鎖)の影響などで供給制約によるインフレへとその性格が変わるかもしれない。その場合、スタグフレーションへの懸念も持ち上がってくる可能性がある。

 個別銘柄では、ナスダック指数よりもいち早く大きく株価が調整したが、決算が堅調だったズーム・ビデオ・コミュニケーションズ<ZM>やクラウド関連のスプランク<SPLK>などは先行して上昇基調を強める展開も期待できる。また、堅調な需要のパソコン関連の低PER銘柄であるヒューレット・パッカード<HPQ>やデル・テクノロジーズ<DELL>など。小売り関連のなかでインフレ耐性のあるコストコ・ホールセール<COST>やダラー・ツリー<DLTR>など。更に欧州向け輸出を視野にLNG関連のセンプラ・エナジー<SRE>やエクセレレート・エナジー<EE>などに注目している。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。

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