カドカワ---動画サービスの強化や新工場に先行投資
カドカワ<9468>は10日、2018年3月期第1四半期(17年4~6月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比1.9%増の499.41億円、営業利益が同71.1%減の7.90億円、経常利益が同68.6%減の6.40億円、親会社株主に帰属する四半期純損失が0.23億円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益10億59百万円)となった。
セグメント別では、Webサービス事業においては、平成29年4月に開催した「ニコニコ超会議2017」の会場来場者数が15万4,601人と過去最高を記録、505万9,967人のインターネット視聴があり、niconicoの発信するインターネット文化を共有することができた。「ニコニコチャンネル」の有料登録者数が3月末の59万人から61万人に増加し、音楽配信サービスのドワンゴジェイピーにおいては、ジャニーズ事務所所属アーティストの楽曲の先行配信が人気を集めている。一方、有料の「プレミアム会員」の会員数が6月末に236万人まで減少したことによる減収や、niconicoの新バージョン(く)(読み方:クレッシェンド)の開発費用が赤字の要因となった。
出版事業においては、紙書籍では、「いのちの車窓から」、「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」や、シリーズ作品の「けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック」、「Fate」等がヒットしたが、主力のライトノベル、コミックスがやや勢いを欠いたこと、在庫の評価減等により、連結業績を牽引していた昨年度との比較では厳しい業況となった。
雑誌では、ウェブメディアへの移行等ビジネスモデルの転換を図る中で、大型ムック「別冊カドカワ乃木坂Vol.4」がヒットした。
電子書籍・電子雑誌では、総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」の増収に加え、他社の電子書籍ストアでのキャンペーン、株式会社NTTドコモが運営する雑誌読み放題サービス「dマガジン」からの収益の増加により、好調な業績が続いた。
映像・ゲーム事業においては、映像では「幼女戦記」、「この素晴らしい世界に祝福を!2」の映像パッケージソフトの国内販売が好調だったこと、海外へのライセンス販売ビジネス強化策が「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」、「Re:ゼロから始める異世界生活」等の成果につながったこと、映像関連子会社の業績が好調であったことから、実写の劇場公開作品が低調に推移したことによる減益影響を緩和できた。
ゲームでは、「DARK SOULS3」から、本編とダウンロードコンテンツを完全収録したバージョンの販売収入や海外からのロイヤリティ収入が続いているほか、アプリゲーム「戦刻ナイトブラッド」、「天華百剣 -斬-」、「結城友奈は勇者である 花結いのきらめき」が好調だった。
2018年3月期通期の業績予想は、売上高が前期比3.1%増の2,120億円、営業利益が同31.1%減の58億円、経常利益が同16.3%減の62億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同39.3%減の35億円とする期初計画を据え置いている。
今後、平成29年10月には、サーバ・画質・遅延の問題が解決され、スマートフォンへの対応のほかにも様々な最先端の機能が搭載されたniconicoの新バージョン(く)を投入し、デジタルネイティブ世代の多様なニーズへの対応を強化する予定。 既存の出版ビジネスにおいては、書籍を一部単位で高品質かつ低コストにオンデマンド印刷できる製造・物流一体の最新鋭工場(平成32年4月フル稼働予定)の準備が順調に進んでおり、新工場で使用する機材のテスト稼働を開始している。
《MW》
提供:フィスコ