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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 下げの始まりか、下げの終わりか

株式評論家 植木靖男

「下げの始まりか、下げの終わりか」

●三番底を探る円相場

 1ヵ月半に及ぶ株価の膠着状態に異変が起きた。これまでの1万9800円~2万0200円処のゾーンを一気に下放れたのだ。

 報道によると、その要因は北朝鮮リスクという。北朝鮮が米領グアムへの弾道ミサイルによる攻撃を検討している、というもの。北朝鮮と米国との対立が日毎に先鋭化している中での、この報道である。

 結果として、円通貨が安全資産として買われ、先物市場で売りが活発化した。

 だが、グアムを攻撃するような状況であれば、わが国はもっと危うい立場になる。円高ではなく円安になるはずだ。つまり、円は非安全資産ではないのか。

 こうした文句を言ったところで、現実に円高が進んだのは紛れもない事実。

 これまで円安が進まないのは米長期金利が下がっているからとされる。だが、米長期金利は、方向としては上向きであろう。数十年に及ぶ金利低下時代は16年に歴史的な大転換をみせた。もっとも、そのテンポは緩やか、ときに巻き戻しもある。

 しかし、2.0~2.2%で下げ渋ってきた。欧州、英国、カナダなど利上げを目指し、米国も金融の正常化に向け、FRBの資産縮小、利上げを目論んでいる。その方向は明白である。

 円高局面は、本年4月の108円台、6月の108円台、そして今回の109円台入りで三番底を探っている段階とみれば、ここからの円高は限定的ではないのか。

●“後半戦”に向け主力株底入れを待つ

 こうした状況下で、なぜ株価は急落したのか。材料というよりも、膠着状態に嫌気が差す中、この3連休、そして明ければ旧盆と続くこのタイミングで先物を売り、ヘッジしようとしたのではないか。

 ところで、今年の株価の見通しは年後半2万2000円~2万3000円と高くなるとみる投資家が多い。だとすると、4月の安値1万8200円処から6月の2万0300円処までの上昇は前半戦のサッカーの試合よろしく、休止期間を経て後半戦に入るとみてもよい。

 これまでの休止期間は約1ヵ月半。過去のケースからみれば、やや長く感じるが、そろそろ日柄的には後半戦入りが近いとみたい。

 つまり、今は下げの始まりではなく、下げの終わりとみる方が正しいのではないか。カエルが柳の枝に飛びつくとき、いったん身をかがめるのと同じ、下げなくては上昇しないのが相場だ。

 円安への転換、米長期金利の上昇が、株価反転へのきっかけとすれば、物色対象は自ずと決まってくる。半導体電子部品ロボット、情報通信、そして金融株である。また、こうしたハイテク株が上昇しなければ、日経平均株価2万2000円~2万3000円は夢物語でしかない。上昇の直前には、こうした主力株は、もっとも下げるようにみえるものだ。いまがそのタイミングであろう。底入れを待ちたい。

2017年8月10日 記

株探ニュース

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