【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:北朝鮮リスク、お盆休み、米FOMC議事録
■株式相場見通し
予想レンジ:上限19800-下限18900円
来週は引き続き、北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒がくすぶることになり、これが上値の重石になろう。また、海外勢は9月のレイバーデーまでは夏季休暇となるため、商いは膨らみづらい。米議会も夏休みちなることで、オバマケア改廃案や税制改革、雇用創出につながるインフラ投資計画などの進展はないため、手掛かり材料に欠ける。米国では、ニューヨーク連銀製造業景気指数(8月)、小売売上高(7月)、住宅着工件数(7月)、フィラデルフィア連銀製造業景況指数(8月)、鉱工業生産指数(7月)、さらに、連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表といった経済動向を見るうえで重要な指標の発表等が予定されているが、北朝鮮情勢が落ち着きを見せない中では、利益確定の流れが優勢になりやすいとみられる。
とはいえ、決算発表がピークを通過するなか、個人主体の売買は活発化しやすい。お盆休みとなるため、短期筋の資金流入などが株価の変動要因として意識されやすいだろう。マザーズ指数は先週、支持線として意識されていた75日線をあっさり割り込み、需給状況が悪化している。ただ、大幅な下げによって一気に需給整理が進捗している可能性があるほか、地政学リスクが高まるなか、外部環境に左右され難い銘柄を選択する中で、新興市場の中小型株には押し目狙いの流れが強まりやすいだろう。ゲーム株等の一角は大きく調整をみせているが、これらが見直し対象としてリバウンドをみせてくるようだと、センチメントは改善方向に向かうとみられる。
そのほか、日経平均の価格帯別出来高では、商いの積み上がっていた20000-20200円のレンジを下放れる格好となり、今後は20000円接近での戻り待ちの売り圧力が警戒されやすい。一方で下値は、19000-19500円処で積み上がりがみられており、週初はこの水準を試す展開になる。売り一巡後に19500円近辺での底堅さがみられてくるようだと、選別物色ながらも押し目を拾う流れが意識されてくるとみておきたい。もっとも、19000円を割り込んでくると、商いの薄い価格帯に入ることから、4月安値水準を窺うトレンドが警戒されてくる。まずは海外勢の買いが観測されるのを見極めることになりそうだ。
その他の経済指標では、14日に4-6月期の国内総生産(GDP)速報値のほか、7月の中国の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資が発表される。個人主体の売買により、経済指標の結果を受けた為替動向などに、敏感に反応しやすい面もありそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上値の重い状態が続くことになりそうだ。北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり米朝間の対立は激化しつつあり、軍事衝突に発展する可能性もあることから、リスク回避のドル売り材料となっている。一方、市場参加者は米連邦準備制度理事会(FRB)によるバランスシートの早期縮小を想定している。米7月小売売上高などの主要経済指標を点検し、米金融政策の今後の方針を見極める展開となりそうだ。
北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍はグアム周辺地域を「火星12」(中長距離弾道ミサイル)で包囲射撃する作戦計画を慎重に検討していると発表した。トランプ米大統領はこうした両国の対立で朝鮮半島有事への警戒感は高まっており、地政学的リスク増大を警戒したリスク回避の円買いは続く可能性がある。
米経済指標では15日発表の7月小売売上高が材料視される見通し。3カ月ぶりのプラスが見込まれており、予想通りなら個人消費の増大により米経済の成長持続が期待され、利上げ継続への思惑が広がりそうだ。ただ、FRBのバランスシート縮小や追加利上げなどの金融正常化に関しては、タイミングや正当性について懐疑的な見方が少なくない。7月25-26日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は16日に公表されるが、ハト派寄りのトーンが強い場合、ドルの先高観はやや後退する可能性がある。
■来週の注目スケジュール
8月14日(月):GDP速報値、中小売売上高、中鉱工業生産指数など
8月15日(火):マンション発売、独GDP速報値、米小売売上高など
8月16日(水):訪日外国人客数、英失業率、米住宅着工件数、米FOMC議事録など
8月17日(木):貿易収支、欧貿易収支、米鉱工業生産指数など
8月18日(金):中不動産価格指数、独生産者物価指数など
《TM》
提供:フィスコ