【市況】新興市場見通し:薄商いで神経質な展開続く、注目IPOのUUUMはBB期間に
先週の新興市場は、北朝鮮情勢を巡り地政学リスクへの警戒感が高まるなか、不安定な展開が続いた。8月9日には日経平均が前日比で一時300円を超える下落となり、新興市場でもゲーム株やバイオ株を中心として幅広い銘柄にリスク回避の売りが広がった。このところの株価下落で中小型株に対する手控えムードが強く、個人投資家の需給悪化懸念も重しとなっている。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.1%であったのに対して、マザーズ指数は-3.5%、日経ジャスダック平均は-0.4%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のサイバーダイン<7779>が週間で0.5%高となったものの、ミクシィ<2121>が同3.4%安、そーせいグループ<4565>が同6.9%安と軟調だった。ミクシィはマザーズ市況の軟化や決算発表が手仕舞い売りを誘ったようだ。ゲーム株のサイバーステップ<3810>やバイオ株のジーエヌアイグループ<2160>では利益確定売りがかさみ、ファイズ<9325>やWASHハウス<6537>は決算を受けて大きく売られた。反面、業績予想を上方修正したタイセイ<3359>、第1四半期が好決算だった夢展望<3185>やインフォテリア<3853>が週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。じげん<3679>も決算が好感された。ジャスダック主力はハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同8.4%安と軟調だったものの、日本マクドナルドHD<2702>が同6.1%高、エン・ジャパン<4849>が同17.6%高と好調な業績を受けて大きく買われた。防衛関連の細谷火工<4274>も活況を見せた。また、決算発表の大洋物産<9941>やフライングガーデン<3317>が週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。一方、アエリア<3758>やラクオリア創薬<4579>が利益確定売りに押され、今期減益見通しのブロードバンドタワー<3776>が下落率トップとなった。IPOでは、8月9日に上場したトランザス<6696>が公開価格の2.7倍となる高い初値を付けた。
今週の新興市場では、北朝鮮情勢などの外部環境を睨み、神経質な展開が続きそうだ。お盆休み期間ということで商いも細りがちとなり、相場全体の地合い軟化とともに大きく振らされる場面が出てくる可能性がある。従前の人気株では信用買い残が依然として高水準であり、株価の重しとなるだろう。好決算を受けて評価引き上げが期待される銘柄や、新サービスなどの期待材料がある一部の銘柄に物色が集中しやすいと考えられる。
今週は8月14日にアエリア、カヤック<3904>、インターネットインフィニティー<6545>、フェローテックHD<6890>、プレシジョン・システム・サイエンス<7707>、サイバーダインなどが決算発表を予定している。スマートフォン向けゲーム「A3!」の好調で注目されたアエリアは第2四半期の業績見込みを公表済み。決算発表では通期予想の動向が注目されよう。前週に決算発表した銘柄では、じげんやエン・ジャパンで目標株価引き上げが観測されている。
IPO関連では、8月14日から18日までUUUM<3990>のブックビルディング(BB)期間となっている。YouTuberのマネジメントという時流に乗った事業内容で注目を集めており、先に発表された仮条件からも投資家の期待の高さが窺える。なお、先週はエスユーエス<6554>(9月13日、マザーズ)、ウォンテッドリー<3991>(9月14日、マザーズ)の新規上場が発表されている。
《FA》
提供:フィスコ