【注目】前日に「売られた株!」総ザライ ―本日への影響は?―
ホシデン <日足> 「株探」多機能チャートより
■ホシデン <6804> 2,205円 (-204円、-8.5%)
東証プライムの下落率トップ。ホシデン <6804> [東証P]が4日ぶり急反落。3日の取引終了後、ユーロ円建転換社債(CB)型新株予約権付社債を海外市場で発行し、100億円を調達すると発表した。1株利益の希薄化を懸念した売りが優勢となった。2031年満期の7年物で、行使期間は25年1月6日から31年12月5日。転換価格は2770円で、10月末時点の自己株式を除く発行済み株式総数に対する潜在株式数の比率は6.92%となる見込み。同時にホシデンは、取得総数150万株(自己株式を除く発行済み株式総数の2.88%)、取得総額30億円を上限とする自社株買いを決議した。東証の自己株式立会外買付取引情報によると、ホシデンは4日朝、124万5300株について前日終値の1株2409円で買い付けを行った。ユーロ円CB発行により調達した資金は、機構部品・音響部品の製造における自動化・省人化に向けた設備投資・更新や、ベトナムでの新工場建設、今回の自社株買いに充てる。
■ネクステージ <3186> 1,330円 (-112円、-7.8%)
東証プライムの下落率3位。ネクステージ <3186> [東証P]が急反落。NHKが4日、自動車保険を巡る不正請求の実態を明らかにするため、金融庁が同社への立ち入り検査を始めたことが分かったと報じ、嫌気されたようだ。報道によると、ネクステージは昨年、複数の従業員が友人などの名義を使って自動車の保険契約をねつ造していたことが明らかになり、当時の社長が辞任する事態となっていた。金融庁は保険金請求で不正が行われていなかったかを明らかにする必要があるとして、立ち入り検査に踏み切ったとみられるとしている。
■内田洋 <8057> 6,550円 (-400円、-5.8%)
内田洋行 <8057> [東証P]が急落。3日取引終了後に25年7月期第1四半期(7月21日-10月20日)の連結決算を発表。売上高が前年同期比1.2%減の525億6300万円、営業利益が同48.6%減の15億3700万円となっており、これが嫌気された。インボイス制度対応のシステム改修案件の集中や教育ICTでの大型案件があった前年同期の反動が出た。会社側では想定通りの進捗としており、クラウドベースのサブスクリプション型ソフトウェアライセンス契約が順調に拡大したほか、各種案件も好調だった。通期の増収増益見通しは据え置いた。
■月島HD <6332> 1,461円 (-49円、-3.3%)
月島ホールディングス <6332> [東証P]が4日ぶり大幅反落。3日の取引終了後、既存株主を売り出し人とする522万8600株の売り出しと78万4200株を上限とするオーバーアロットメントによる売り出しを行うと発表しており、短期的な需給悪化への警戒感が働いたようだ。一部株主と政策保有株式の相互保有の解消に合意したことに加えて、認知度の向上や投資家層の多様化、株式の市場流動性向上を実現し、ひいては企業価値向上につなげることが目的。売出価格は12月11日~17日のいずれかの日に決定する。同時に上限を120万株(発行済み株数の2.75%)、または18億円とする自社株買いを実施すると発表した。取得期間は25年1月9日から26年1月8日までで、株主還元水準の向上及び資本効率の改善のほか、株式の売り出し実施に伴う株式需給への影響を緩和するのが狙いとしている。
■三井住友FG <8316> 3,759円 (-111円、-2.9%)
三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]が5日ぶり反落。みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]などメガバンクが軟調に推移し、楽天銀行 <5838> [東証P]やりそなホールディングス <8308> [東証P]、北國フィナンシャルホールディングス <7381> [東証P]など地銀株が総じて安かった。円債市場では午後に入り債券先物が上げ幅を拡大し、長期金利に低下圧力が掛かっている。4日、日銀が実施した4本の国債買い入れオペは総じて無難な結果と受け止められた。一方で、一部で日銀が12月の金融政策決定会合で金融政策を据え置く可能性について報じられたことを背景に、12月会合での利上げシナリオを前提に円債の売り持ち高を構築した海外投資家による買い戻しが入ったとみられている。国内金利の先高観が後退したことを受け、高値圏で推移していた銀行株に対して利益確定売りがかさんだようだ。
■ANAHD <9202> 2,882円 (-34円、-1.2%)
ANAホールディングス <9202> [東証P]が続落。そのほか、日本航空 <9201> [東証P]が軟調に推移した。日本空港ビルデング <9706> [東証P]やHANATOUR JAPAN <6561> [東証G]などインバウンド関連の一角が売られた。韓国で3日夜、大統領により「非常戒厳」が宣言された。4日未明には韓国国会で解除要求決議案が可決され、戒厳令は解除されたが、政局の混迷を受けて韓国ウォンは急落した。4日、韓国政府は必要であれば無制限の流動性を金融市場に注入する用意があると表明。韓国の中央銀行の臨時会合が同日午前9時に開催されることとなった。もっとも金融市場では韓国の政局と東アジア情勢を巡る先行き不透明感が引き続き意識されている。東京市場で空運株やインバウンド関連株に対しては、日韓間での渡航需要が落ち込む可能性を警戒した売りが出たようだ。
■三菱商 <8058> 2,599円 (-29円、-1.1%)
三菱商事 <8058> [東証P]が3日ぶり反落。米ブルームバーグ通信が4日、「三菱商事が、中国拠点のトレーダーが関与した疑いがある銅取引での不正行為で、9000万ドル(約135億円)以上の損失を被ったことが分かった」と報じ、嫌気されたようだ。報道によると、三菱商傘下企業の銅取引担当者が、自身と関係のある地場企業などと無許可で取引をしていたことが判明。担当者を解雇したという。額として第2四半期(7-9月)の中国関連取引損失に近い水準であり、関係者によると同損失はこの担当者の案件に関連していると伝えている。
※4日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋
株探ニュース