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【特集】プラチナは上げ一服、米大統領選の結果と中国の全人代を確認 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は、欧米の利下げ見通しを受けて買い優勢となり、5月29日以来の高値1054ドル台をつけた。ただ、米大統領選を控えるなか、全米雇用報告が予想を上回る増加となったことをきっかけに利食い売り主導で調整局面を迎え、1000ドルの節目を割り込んだ。目先は米大統領選の結果が焦点である。賭け市場では、共和党候補のトランプ前大統領が優勢だが、世論調査では民主党候補のハリス副大統領と支持率が拮抗している。トランプ氏が勝利すれば関税引き上げでインフレが再燃するとの見方が強い。

 一方、中国では4日から全国人民代表大会(全人代)常務委員会が開催されている。経済支援に向け、10兆元超におよぶ国債の追加発行などを検討しているが、米大統領選の結果も影響する見通しである。トランプ氏が勝利すれば財政刺激策をさらに拡大するという。全人代は8日までの予定である。ただ、欧米が中国の電気自動車(EV)などに対する関税を引き上げており、中国経済の先行き懸念が残る。

●欧米の利下げ見通しは中長期の支援要因

 6~7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き下げることが見込まれている。9月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇と前月の2.5%上昇から伸びが鈍化し、約3年半ぶりの小幅な伸びとなった。一方、10月の全米雇用報告で民間部門雇用者数が23万3000人増と事前予想の11万4000人増を上回ったが、米雇用統計では非農業部門雇用者数が1万2000人増と事前予想の11万3000人増を大幅に下回った。また、10月の米ISM製造業景気指数は46.5と前月の47.2から低下し、2023年7月以来の低水準となった。節目となる50を7ヵ月連続で下回っている。ただ、サービス業が堅調であり、米経済のソフトランディング(軟着陸)が見込まれている。インフレ鈍化と労働市場の減速が続くと、12月もFF金利を25bp引き下げるとみられている。

 欧州中央銀行(ECB)は6月に利下げを開始し、9、10月も利下げを決定した。インフレ鈍化が予想以上に進むなど景気失速に対する懸念が出ている。10月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は49.7と2ヵ月連続で節目となる50を下回り、内外の需要低迷を示した。ただ、10月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比2.0%上昇と前月の1.7%上昇から予想外に加速した(事前予想は1.9%上昇)。また、第3四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増加し、事前予想の0.2%増を上回る伸びとなった。ただ、パリ五輪特需などが指摘され、工業部門は弱いとみられている。12月のECB理事会でも利下げが決定されると予想されている。

●NYプラチナの大口投機家の買い越しは2021年2月以来の高水準

 プラチナETF(上場投信)残高は4日の米国で33.45トン(9月末31.61トン)、31日の英国で16.85トン(同17.80トン)、1日の南アフリカで11.38トン(同11.05トン)となった。銘柄ごとにまちまちの動きとなったが、合計で1.22トン増加した。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月29日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万5543枚(前週3万4876枚)に拡大し、2021年2月以来の高水準となった。欧米の中央銀行が利下げサイクルに転じたことや中国の景気刺激策に対する期待感が支援要因となった。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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