【特集】コーア商事HD Research Memo(2):ジェネリック医薬品の安定供給に貢献(1)
コーア商HD <日足> 「株探」多機能チャートより
■コーア商事ホールディングス<9273>の会社概要
1. 会社概要
同社は、原薬販売、医薬品製造販売の両事業を行うグループ会社の持株会社であり、傘下に原薬販売を行うコーア商事(株)(横浜市港北区、出資比率100%)、医薬品製造販売を行うコーアイセイ(株)(山形県山形市、同100%)及びコーアバイオテックベイ(株)(横浜市港北区、同100%)の3社を有する。同社の社名は、興亜製薬(株)(その後「コーア製薬」へ改名し、現 「コーアバイオテックベイ」と吸収合併)ビルの一室を借りて創業したことに由来する。その際、「興」という漢字が「イノベーション」を連想させることから社名に使用したいと考えたが、興亜製薬の子会社と見られる可能性があったため、カタカナで「コーア商事」として創業した。
同社グループでは、ビジョンとして「加速する“超高齢社会”で必要とされる医薬品企業であり続けるために」を、企業理念として「ジェネリックのベストパートナー」を、コーポレート・スローガンとして「New Business Model Innovation」を、経営方針として「医薬品専門商社と注射剤ジェネリックトップメーカーを目指し、全く新しいタイプの医薬品企業グループを作り上げていく。」を掲げている。これらのビジョン・企業理念・経営方針などを通じて、「ジェネリック医薬品の安定供給に貢献し、医薬品が必要な人を誰一人取り残さない社会の実現に寄与する」ことを目指している。なお、ジェネリック医薬品とは、新薬(新発医薬品)と同じ有効成分を有し、品質・効能・安全性などが同等な薬であり、厳しい試験に合格して厚生労働大臣の承認の下、国の基準や法律に基づいて製造・販売される医薬品のことである。
グループ設立以来、首藤利幸(しゅとうとしゆき)氏が代表取締役社長を務め、2024年6月末現在の連結従業員数は289名で、うち女性比率は47.1%と高い。
2. 沿革
同社グループは、加速する「超高齢社会」で必要とされる医薬品企業であり続けるために、革新を遂げてきた。すなわち、グループ創業者である現 代表取締役社長の首藤氏がイタリア系商社でジェネリック医薬品原薬ビジネスに従事していたことから、日本でのジェネリック医薬品市場拡大によるビジネスチャンスを見出し、それまでの人脈と経験を生かして、1991年2月にコーア商事を設立した。2011年6月には、高薬理活性領域のジェネリック注射剤の市場成長を見込み、注射剤に60年、凍結乾燥※技術に40年の経験を有する(株)イセイ(現 コーアイセイ)と資本提携した。
※ 必要な成分を凍結・乾燥させ、粉末状にしたもの。科学的に安定しており長期保存が可能だが、使用のたびに溶解が必要。
2015年1月には、株式移転によりコーア商事、イセイ、バイオテックベイ(株)、興亜製薬の持株会社として、コーア商事ホールディングスを設立し、2015年7月にはイセイを「コーアイセイ」へ、バイオテックベイを「コーアバイオテックベイ」へ、興亜製薬を「コーア製薬」へと社名変更した。さらに、2016年5月には、コーアイセイが高薬理活性注射剤の製造に特化した蔵王工場を新設した。また、2022年7月には、コーアバイオテックベイを存続会社、コーア製薬を消滅会社とする吸収合併を実施した。
同社は、2018年6月に東証2部へ新規上場し、2020年6月には東証1部指定となった。さらに東証の市場区分見直しに伴い、2022年4月にはプライム市場に移行した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《EY》
提供:フィスコ