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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ "黄金の3カ月"を迎え、実力株の真価を正当評価へ!

株式アドバイザー 北浜流一郎

「“黄金の3カ月”を迎え、実力株の真価を正当評価へ!」

●FRBが政策大転換、2大支援材料が市場の追い風に

 7月半ば以降、内外の株式市場の足を引っ張ってきた不透明要因がようやく消えた。もちろん、その不透明要因とはFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策である。9月利下げの可能性は高かったが、確定的ではなかったため、まずは利下げがあるのかどうかが焦点だった。

 次に、利下げ幅だ。0.25%か、0.5%か。私は穏当なところで0.25%に留めるだろうと見ていたが、ご承知のように実際は0.5%だった。政策金利の誘導目標は4.75~5.0%とした。金利引き下げは4年半ぶりであり、記録的なインフレに対処するため2年以上にわたって続けてきた金融引き締め策を大転換したことになる。

 引き下げ幅を0.25%ではなく、0.5%にしたのは、FRBがそれだけ景気の失速を恐れていたということだろう。金利を大幅に下げることでソフトランディングを狙っている。こう見ることができるため、米国経済の今後にとってはベストの策、株式市場にもプラスに働くと見てよい。しかも、間もなく株式市場は「黄金の3カ月相場」を迎える。

 この言葉は私一人が使っており、市場共通のワードではないのだが、例年10~12月相場は強い。今年は国内で新政権が誕生するし、それは米国でも同様だ。これらのイベントはよほどのことが起きない限り、株式市場にとってプラスに働くと見てよい。新政権に対する国民の期待感は大きいのが自然である上に、前述したように米国は利下げを断行するのだ。

 新政権誕生と米国の利下げ。これら2大支援材料が揃うのに、市場がマイナスに反応することなど考えられない。では、こんな状況の現在、どのような銘柄が有望なのか? 前述した2大材料に支えられた市場では、半導体関連株のように華々しい存在だけではなく、存在感が薄かった銘柄も正当に評価される可能性が高くなる。着実に収益を伸ばしているのに、華々しい人気銘柄の陰に隠れて真価が評価されていない。こんな銘柄にもスポットが当たるようになると考えられるため、次のような銘柄へ目を向けたい。

●ヨシムラ、松田産業、あさひなどに注目

 まずは、ヨシムラ・フード・ホールディングス <2884> [東証P]になる。19日の報道によると、日中両政府が福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡る対立を解消する方向で一致したことが分かった、と伝えている。それがすぐに日本から中国への水産物輸出の再開とはならないものの、そう遠くない日に実現することだろう。

 そこで、なぜヨシムラか。同社は複数の中小食品企業をM&Aすることで連帯を強め、中華総菜、冷食、水産加工、清酒、製麺などの事業を展開しているが、ホタテの輸出にも強い。しかし、中国が日本産水産物を禁輸したことを受けて、中国以外の国・地域への輸出に力を入れていた。販路拡大に向けた努力は今後も続けることだろうが、中国への輸出復活が見えてきたとなると、株価は現在の水準よりさらなる高値に進んでもおかしくない。

 金価格上昇の恩恵を受けている投資家さんは多いと思われるが、世界は引き続き混乱を極めていて、米国に新政権が誕生してもそれを終息させることはできないだろう。この点を考えると、金価格はなお上昇の余地があり、松田産業 <7456> [東証P]に注目だ。この会社はいわゆる「都市鉱山」企業になる。電子製品などをリサイクルすることで金、その他の貴金属類を回収し、電子材料などに加工して販売している。地味な仕事だが、環境保護とも関わる事業を営んでいることになり、前期落ち込んだ収益も、今期は回復に向かいつつあることから、株も有望と見てよい。

 先日、孫が遊びに来て「自転車買ってもらったんだ」と嬉しそうに報告してくれた。近くにある自転車販売大手のあさひ <3333> [東証P]で購入したとのこと。依然として残暑が厳しく、私は散歩も自転車の利用も止めているが、あさひを訪れると結構多くのお客で賑わっていた。これから季節が秋に向かうことを考え、新しい自転車を購入しようとしているようだった。あさひはそんなお客に支えられ、年々売上を伸ばしている。前期は営業利益が落ち込んだものの、今期は回復が見込まれており、株価は緩やかに上昇を続けそうだ。

 私は普段テレビを点けっぱなしにして仕事をしているので、各局のニュースやワイドショーを見るともなく見ているのだが、最近火事のニュースが多いように感じる。数えているわけではないので正確な数字は分からないものの、ニュースの度に他人事ではないと思うのは私だけではあるまい。そこで、注目したいのは帝国繊維 <3302> [東証P]だ。この会社は消防ホースの最大手。水害対策用送排水システムにも展開しており、地道に収益を伸ばしている。しかも、借入金は1億円ほどで財務も良好。株価はもっと高くなってもよい。

 なお、消防関連銘柄では、私の大好きな銘柄の一つである消防自動車最大手のモリタホールディングス <6455> [東証P]がある。これまた消防関連株としては有望度が高く、スルーしないようにしたい。

医療関連企業にも目を向けておこう。ニプロ <8086> [東証P]だ。ディスポーザブル(使い捨て)医療機器の大手で、特に人工腎臓に強い。同製品は国内だけでなく、北米で需要の拡大が続いている上に、インドやインドネシアでの需要増も見込めるため、今後が楽しみな銘柄になる。

 最後に、ボードルア <4413> [東証G]を。最先端のITインフラ分野で、コンサルから運用までを手掛けている。いまはIT関連企業があまりに多く、差別化が難しい時代。こんな状況を踏まえ、この会社は先端技術分野での受注が可能な高度専門人材の採用と育成に力を入れており、収益を着実に伸ばしている。株価は高値圏ながらスローペースでの上昇であり、その継続性は高いと見てよい。

2024年9月20日 記

株探ニュース

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