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【特集】ケンコーマヨ Research Memo(1):中長期経営計画を発表。サラダ料理で世界一を目指す

ケンコーマヨ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ケンコーマヨネーズ<2915>は、サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類などを手掛ける食品メーカーである。子会社では総菜関連事業等も展開している。売上高の28.6%を外食業界向け、28.0%を量販店向け、21.7%をコンビニエンスストア向けで占める(2024年3月期実績)。

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高は前期比7.7%増の88,724百万円、営業利益は2,949百万円(前期は105百万円)と急回復した。売上高は過去最高を更新し、営業利益は6期振りの増益に転じた。売上高は鳥インフルエンザによる鶏卵の供給不足によりタマゴ加工品が減収となったものの、サラダ・総菜類やマヨネーズ・ドレッシング類が価格改定の効果もあってそれぞれ2ケタ増となった。販路別でも外食業界向けが同12.9%増、量販店向けが同11.3%増といずれも好調に推移し、コンビニエンスストア向けの減少をカバーした。利益面では、原材料コストの上昇や固定経費等の増加を価格改定効果で吸収し、大幅増益となった。

2. 2025年3月期業績見通し
同社は2024年8月5日付で2025年3月期第1四半期(2024年4月~6月)業績の発表と併せて、2025年3月期業績の上方修正を行った。売上高は前期比3.7%増の92,000百万円(期初計画比2,000百万円増)、営業利益は同52.6%増の4,500百万円(同1,300百万円増)と7期ぶりに過去最高益を更新する見通し。売上高は外食需要の拡大に加えて、2024年3月期に鶏卵不足により落ち込んだタマゴ加工品の売上が回復し増収要因となる。利益面では原材料コストの低減や価格改定効果、加えて数量増による生産効率の改善が想定以上に進んだことが上方修正要因となる。なお、第1四半期の業績は売上高で前年同期比7.5%増の23,002百万円、営業利益で同769.3%増の1,735百万円となっており、利益面ではなお上振れ余地を残している印象だ。

3. 中長期経営計画『KENKO Vision 2035』の概要
同社は2036年3月期までの中長期経営計画『KENKO Vision 2035』を発表した。「サラダ料理で世界一になる」をビジョンに掲げ、抜本的改革と企業価値の向上に取り組む。2028年3月期までの4年間を第1フェーズとし、事業構造の改革を推進する。具体的には、NB(ナショナルブランド)比率を前期の約30%から約50%に引き上げブランド力の向上を図るほか、EC事業の拡大や海外事業の推進、新規事業の創出に取り組む。また、DXの推進による業務効率の向上、工場の再編並びに商品アイテムの整理統合による生産の効率化を推進する。これら事業構造の改革による投資コストなどを考慮し2028年3月期の営業利益目標は33億円以上と保守的に策定しているが、2029年3月期以降は事業構造の改革の効果が顕在化し成長期に移行する見通しである。最終目標は2036年3月期に売上高1,250億円以上、営業利益で75億円以上、営業利益率6%以上、ROE8%以上を掲げた。

4. 株主還元策
同社は、業績変動に左右されない安定配当を継続するため、DOE(株主資本配当率)を基準に配当を実施する方針としている。中長期経営計画の第1フェーズ(~2028年3月期)はDOE1.5%以上、第2フェーズ(~2032年3月期)は2.0%以上、第3フェーズ(~2036年3月期)は2.5%以上と段階的に水準を切り上げていく。同方針に基づき、2025年3月期の1株当たり配当金は前期比8.0円増配となる38.0円を予定している。また株主優待制度も導入しており、毎年3月末時点で100株以上保有の株主に対して保有株数に応じて自社製品(1,000円または2,500円相当)の贈呈を行っている。

■Key Points
・外食需要の回復と価格改定効果により、2024年3月期の業績は大幅増益を達成
・2025年3月期業績を上方修正、7期ぶりに過去最高益更新へ
・事業構造の改革とDXによる生産性向上で、2036年3月期に売上高1,250億円以上、営業利益率6%以上を目指す
・ROEを8%以上に引き上げ、株主還元を強化することでPBR1倍超の早期達成を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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