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【特集】緊迫感高まる原油市場、イスラエルは断食月までにラファ侵攻か <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司

●停戦協議の行方を注視

 先週からイスラエルと武装組織ハマスの停戦協議が始まっている。カタールやエジプトが仲介役となった対話は、3月10日から始まるラマダン(断食月)までにまとまるのだろうか。停戦期待はブレント原油ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)など相場の手掛かりである。イスラエル軍はラマダンまでにパレスチナ自治区ガザ南部のラファに向けて地上侵攻を開始するとみられており、断食月の接近とともに緊迫感が高まっていくだろう。

 エジプトと国境を接するラファにはガザ北部から避難した人々を含めて100万人以上が包囲されている。海上やエジプトに退避ルートはなく、ガザ北部やイスラエルへ逃げようもないことから、イスラエル軍によるラファ侵攻が始まった場合の甚大な人的被害は歴史に間違いなく残る。陸路からの食料支援すら満足に実施されておらず、惨状は言葉で表すことができない。最もか弱い赤ん坊から死んでいく世界である。先週末でパレスチナ人の死者は2万9692人に拡大している。

●イスラエルは停戦に関心無しか

 イスラエル国内でネタニヤフ首相の辞任を要求するデモが拡大しているが、ネタニヤフ政権の強硬な姿勢に変化は見られない。停戦協議が行われているなかでもイスラエル軍はガザ空爆を継続しており、人質の解放や停戦にほとんど関心はなさそうだ。米国や欧州など西側各国がイスラエル支援を停止すれば、パレスチナ人の生命を脅かす深刻な危機的状況は収束に向かおうが、その兆しはない。イスラエルや西側各国がガザ沖の巨大天然ガス田を手中に収めようとしているという指摘はただの空想ではなく、ガザにベングリオン運河を建設する計画も絵空事とは思えなくなってくる。

 停戦協議に関する報道からすると、焦点は一時的な休戦や人質の交換のようだ。ネタニヤフ首相はハマスをガザ地区から排除するまで攻撃を続ける構えであり、ハマスが要求している恒久的な停戦やイスラエル軍のガザ地区からの完全撤退には応じないだろう。イスラエルが望んでいるのは人質の交換だけであり、停戦は望んでいない。ラファ侵攻は時間の問題である。ラファでの地上戦が始まると、パレスチナ人の死者数は数10万人規模に膨れ上がると思われる。

 ラファ侵攻が始まっても、これまでと同様にイスラエルや米国に対して直接的に抗う国がフーシ派やヒズボラなど一部の武装組織だけであるなら、供給下振れリスクは高まらず、エネルギー市場への影響は限定的だろう。世界は壮絶な悲劇を目の当たりにすることになるのか。あるいは別の未来があるのか。原油市場のテールリスクも含めて、顛末を見届けたい。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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