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【市況】S&P500 月例レポート ― マグニフィセント・セブンが牽引した2023年 (3) ―


●米国経済

 ○11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.4となり、10月の50.0から下落しました。

 ○11月のISM製造業景気指数は前月比横ばいの46.7となりました。市場予想は10月の46.7から上昇の47.5でした。

 ○11月のサービス業PMIは予想通り50.8となりました。

 ○11月のISM非製造業景気指数は10月の51.8から上昇して52.7となりました。市場予想は52.4でした。

 ○12月の総合PMI速報値は、製造業PMIが前月の49.2から低下して48.2、サービス業PMIが同50.6から上昇して51.3となりました。

 ○11月のCPIは市場予想が前月比横ばいだったのに対し、0.1%の上昇となりました(10月は前月比横ばい)。前年同月比の上昇率は10月の3.2%から3.1%に低下しました。

  ⇒食品・エネルギーを除いたコアCPIは市場予想通り前月比0.3%の上昇となりました(10月は同0.2%の上昇)。前年同月比は10月と変わらずの4.0%の上昇でした。

 ○11月のPPIは市場予想が前月比0.1%の上昇だったのに対し、同横ばいでした。前年同月比は0.9%の上昇で、10月の同1.3%の上昇から低下しました。

  ⇒コアPPIも市場予想が前月比0.2%の上昇だったのに対し、同横ばいとなりました。前年同月比は2.0%の上昇となり、10月の同2.4%の上昇から低下しました。

 ○2023年第3四半期のGDP成長率確定値は改定値の前期比年率5.2%から変わらずと予想されていましたが、同4.9%となりました。

  ⇒個人消費の伸びの確報値も速報値の同3.6%から変わらずと予想されていましたが、同3.1%に低下しました。

  ⇒2023年第3四半期の企業利益は同0.1%増となりました。

 ○11月の個人所得は予想通り前月比0.4%増となりました。10月は(速報値の同0.2%増から)同0.3%増に改定されました。11月の個人消費支出は市場予想が前月比0.3%増だったのに対し、同0.2%増となりました(10月の同0.2%増は同0.1%増に下方修正されました)。

  ⇒11月の個人消費支出(PCE)価格指数は(予想通り)前月比0.1%低下しました。前年同月比は2.6%上昇でした(当初発表の同3.0%上昇から同2.9%上昇に下方修正された10月から低下しました)。コアPCEは前月比0.1%上昇(10月も同0.1%上昇)し、前年同月比では3.2%上昇しました(10月は同3.4%の上昇)。

 ○11月の耐久財受注は予想の前月比2.4%増を大幅に上回る同6.4%となりました。また、10月も当初発表の同5.4%減から同5.1%減に上方修正されました。

 ○2023年第3四半期の非農業部門労働生産性指数の確報値は改定値の前期比4.8%の上昇(当初発表は同4.7%)から同5.2%の上昇に上方修正されました。また、単位労働コストは前回発表値の前期比0.8%減から同1.2%減に下方修正されました。

 ○11月の鉱工業生産指数は予想の前月比0.3%の上昇に対し、同0.2%の上昇となりました。10月は当初発表の同0.6%の低下から同0.9%の低下に下方修正されました。

 ○設備稼働率は前回発表の78.7%から78.8%に上方修正されました(当初発表は78.9%)。

 ○10月の建設支出は前月比0.6%増となりました。市場予想は同0.3%増でした。また、9月は当初発表の0.4%増から0.2%増に下方修正されました。

 ○11月の小売売上高は市場予想の前月比0.1%減に対し、同0.3%増となりました。10月は当初発表の同0.1%減から同0.2%減に下方修正されました。

 ○10月の卸売在庫は市場予想の前月比0.2%減に対し、同0.4%減となりました。9月は当初発表の同0.2%増から同横ばいに下方修正されました。

 ○10月の企業在庫は前月比変わらずの予想に対し、同0.1%減となりました。9月は同0.4%増から同0.2%増に下方修正されました。

 ○11月の小売在庫は前月比0.1%減となり、10月は当初発表の同横ばいから同0.1%減に下方修正されました。卸売在庫は前月比0.2%減となり、10月は当初発表の0.2%減から0.3%減に下方修正されました。

 ○10月の製造業受注は前月比3.6%減となり、予想の同2.6%減を下回りました。9月は当初発表の同2.8%増から同2.3%増に下方修正されました。

 ○11月の自動車販売台数は年換算で1530万台となり、10月の1550万台を下回りました。

 ○11月の貿易統計によると、財の貿易収支の赤字額は903億ドルとなりました(10月は896億ドルの赤字)。

  ⇒輸入は2.1%減(10月は0.1%増)、輸出は3.6%減(同1.4%減)でした。

 ○11月の輸入物価指数は、前月比0.7%低下の予想に対し、同0.4%の低下となりました。前年同月比では1.4%の低下となり、10月は当初発表の同2.0%の低下から1.8%の低下に修正されました。輸出物価指数は前月比0.9%の低下(予想は同1.0%の低下)となり、前年同月比では5.2%低下しました。10月は当初発表の同4.9%の低下から同4.7%の低下に上方修正されました。

 ○12月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は予想の61.9を大幅に上回る69.4となり、11月の61.3から上昇しました。1年先のインフレ期待は3.1%で、前月の4.5%から低下しました(予想は4.2%)。

  ⇒その後に発表された12月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は69.7となり、1年先のインフレ期待(確報値)は速報値と変わらず3.1%でした。

 ○民間調査機関コンファレンスボードが発表した12月の消費者信頼感指数は市場予想の103.4を大幅に上回る110.7となり、11月の102.0から上昇しました。

 ○11月の景気先行指数は前月比0.6%低下しました。10月は当初発表の同0.8%の低下から同1.0%の低下に下方修正されました。

●雇用関係

 ○ADP全米雇用統計によると、11月の民間部門雇用者数は10万3000人増(同統計では総雇用者数は1億2925万4000人)となり、10月の10万6000人増(当初発表の11万3000人増から下方修正)を小幅に下回りました。市場予想は12万3000人増でした。サービス業の新規雇用者数は11万7000人(総雇用者数は1億713万5000人)となり、財生産(同2211万9000人)と製造業(同1240万5000人)が合計で2万9000人減少しました。

 ○11月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増となり(市場予想は18万人増)、10月の15万人増を上回りました。

  ⇒11月の失業率は前月比横ばいの3.9%と予想されていましたが、3.7%に低下しました(9月は3.8%、8月は3.8%、7月は3.5%。なお、2020年2月は3.5%でしたが、同年5月は13.3%となりました)。

  ⇒労働参加率は前月の62.7%に対して、予想通り62.8%に上昇しました(9月は64.8%)。

  ⇒週平均労働時間は10月から横ばいの34.3時間の予想に対して、34.4時間となりました(9月は34.4時間)。

  ⇒平均時給は前月比0.3%増の予想に対して同0.4%増となり(前月の33.98ドルから34.10ドル)、10月の同0.2%増から伸びが加速しました(9月は同0.3%増、8月は同0.2%増、7月は同0.4%増)。前年同月比では横ばいの4.0%増でした(10月は当初発表が同4.1%増、9月は同4.2%増、8月は同4.3%増、7月は同4.4%増)。

 ○10月のJOLTS(求人労働移動調査)によると、求人件数は9月の935万件から減少して873万3000件となり、予想の940万件を大幅に下回りました。

 ○失業保険継続受給件数(季節調整済み)は、前月の192万7000件から187万5000件に減少しました。

  ⇒2023年12月7日発表の週間新規失業保険申請件数:22万件(当初の発表通り)

  ⇒2023年12月14日発表の週間新規失業保険申請件数:20万2000件

  ⇒2023年12月21日発表の週間新規失業保険申請件数:20万5000件

  ⇒2023年12月28日発表の週間新規失業保険申請件数:21万件

●企業業績

 ○2023年第3四半期の決算シーズンが終わり、S&P500指数の1株当たり利益(EPS)が今後数日で確定します。暫定分を含む決算内容を振り返ると、決算発表を終えた499銘柄のうち、397銘柄(79.6%)で営業利益が予想を上回り、81銘柄で予想を下回り、21銘柄で予想通りとなりました。また、売上高は488銘柄中310銘柄(62.2%)で予想を上回りました。

  ⇒2023年第3四半期の1株当たり営業利益の暫定値は前期比4.7%減、前年同期比3.8%増となりました。売上高の暫定値は前期(過去最高を記録した2023年第2四半期)比1.4%増、前年同期比5.0%増となり、過去最高を更新しました。

  ⇒2023年第3四半期の営業利益率は、第2四半期の11.87%から低下して11.15%となりました(1993年以降の平均は8.76%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。

  ⇒2023年第3四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は13.8%となっています。この割合は、2023年第2四半期は16.3%、2022年第3四半期は21.2%でした。

 ○決算期がずれている企業16社が、2023年第4四半期決算を発表しました。16銘柄中15銘柄で営業利益が予想を上回り、15銘柄中8銘柄で売上高が予想を上回りました。2023年第4四半期は前期比3.8%の増益、前年同期比7.7%の増益が見込まれています。

 ○2023年通年の利益は前年比8.6%増となる見通しで、この予想に基づく2023年の予想株価収益率(PER)は22.4倍となっています。

 ○2024年通年の利益は前年比13.4%増が見込まれており(2023年と同水準)、2024年予想PERは19.7倍となっています。

※「マグニフィセント・セブンが牽引した2023年 (4)」へ続く

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