【市況】米国株式市場見通し:PCEコア価格指数やGDPに注目
4-6月期国内総生産(GDP)確定値や米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重要視している個人消費支出(PCE)コアデフレーターに注目だ。FRBは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利を据え置いたが、経済成長率見通しを上方修正し、適切であれば追加利上げを行う準備があると、慎重姿勢を再表明した。FRBのパウエル議長は28日に教育者達とのタウンホールミーティングを主催する予定となっており、現在の経済や金融政策に関する発言は予想されないものの、材料のひとつとして注視が必要だろう。
PCEコアデフレーターは7月に前年同月比の伸びが拡大したのち8月分は再び鈍化し、21年9月来の4%割れが予想されている。FRBの利上げが奏功し、インフレが遅いペースながらも鈍化傾向にある一方で、 4-6月期GDP確定値は改定値の2.1%成長から2.3%成長に上方修正される見通し。FRBのメンバーは今年、来年の成長見通しを引き上げており、経済の成長が予想以上との見方を強めている。インフレの鈍化が滞る、もしくは予想以上の成長率に上方修正された場合には、年内の追加利上げ観測が強まり、相場の重石になりそうだ。10年債利回りが2007年来の高水準に達しているほか、投資家の恐怖心理であるVIX指数もほぼ1か月ぶりの高水準で推移している。
パウエル議長がFOMCの会見で指摘したように、自動車労働組合(UAW)のストライキの行方や政府機関閉鎖の可能性、学生ローン返済の再開、長期金利の上昇、原油高などのリスク要因が目立ち、相場の上値は引き続き抑制されそうだ。また、四半期末および月末に伴うテクニカルな要因で、上値の重い商状が続きそうだ。
経済指標では、9月シカゴ連銀全米活動指数、ダラス連銀製造業活動指数(25日)、7月FHFA住宅価格指数、7月S&P20都市住宅価格指数、8月新築住宅販売件数、9月コンファレンスボード消費者信頼感指数、9月リッチモンド連銀製造業指数(26日)、8月耐久財受注速報値(27日)、4-6月期国内総生産(GDP)確定値、週次失業保険申請件数、8月中古住宅販売仮契約(28日)、8月卸売在庫速報値、8月個人所得・消費支出、コアPCEデフレーター、9月シカゴPMI、9月ミシガン大消費者信頼感指数確報値(29日)などが予定されている。なお、パウエル議長は28日にタウンホールミーティングを主催する予定。
主要企業決算では会員制倉庫型卸売り・小売り会社のコストコホールセール(26日)、半導体のマイクロン・テクノロジーや給与・人事関連アウトソーシング・ソリューションのペイチェックス(27日)、スポーツ用品ブランドのナイキ、コンサルティングサービス会社のアクセンチュア、自動車販売のカーマックス(28日)、クルーズ船運営のカーニバル(29日)などが予定されている。ナイキは中国経済の回復の遅れが売り上げに影響している可能性があり、注意しておくべきだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ