【通貨】為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、欧州通貨安を意識した値動きに
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■ドル・円は反発、米利上げ長期化の可能性残る
今週のドル・円は反発。雇用情勢の改善を受けて米国の利上げ長期化の可能性が浮上し、ドル買いが拡大した。1月31日-2月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で大方の予想通り、0.25ポイントの利上げが決定されたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が会見で、「商品(財)などでディスインフレの初期の兆候が見られる」との見方を伝えたことから、年内利下げ観測が強まりリスク回避的なドル売りが再び優勢となった。2日の欧米市場では欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行が追加利上げを発表したものの、いずれも今年前半に利上げ停止の可能性があるとの見方が浮上し、ユーロ、英ポンドに対する円買いが観測された。この影響でドル・円の取引でもドル売り・円買いが優勢となり、一時128円09銭まで下落した。
3日のニューヨーク外為市場でドル・円は、128円35銭から131円20銭まで上昇した。
この日発表された1月米雇用統計で非農業部門雇用者数は予想に反して大幅に増加したこと、失業率は1969年以来となる3.4%まで低下したことから、米国が景気後退に陥る可能性は低いとの見方が強まり、リスク選好的なドル買いが活発となった。ドル・円は131円19銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:128円09銭-131円20銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、欧州通貨安を意識した値動きに
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は今後の金融政策について従来のタカ派的な方針を変更しつつあるが、欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行(BOE)も金融引き締めをやや緩めるとの思惑が浮上しているため、リスク回避的なドル売りがただちに強まる可能性は低いとみられる。1月米雇用統計の改善もドル買い材料となる。先日開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き上げ幅を0.25ポイントにとどめた。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で年内の利下げの可能性を否定したものの、これまでの引き締めを弱める方針を示した。賃金上昇率は鈍化しつつあり、FRBはタカ派色を弱める見通しにようだ。
一方、日本銀行の金融政策について、黒田総裁をはじめ複数の当局者が異次元緩和の継続を主張している。2月中旬頃までには正副総裁の次期候補者がある程度絞り込まれる公算だが、次期総裁が決まった場合、リスク回避的な円買いが強まるとの見方が出ている。ただ、欧州中央銀行(ECB)と英中央銀行は今年前半までに利上げを停止する可能性があり、ユーロ、ポンドに対するドル買いが強まることになった場合、ドルは対円でも底堅い動きを維持することが予想される。
【米・新規失業保険申請件数】(9日発表予定)
9日発表の米新規失業保険申請件数は年明け以降、予想よりも強い内容が続き、雇用情勢の改善を示している。有力企業のリストラに関する報道は目立つものの、申請件数の減少傾向が続けば金利安・ドル安を抑制しよう。
【米・2月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(10日発表予定)
10日発表の2月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は65.0と、1月実績の64.9から小幅な上昇となる見込み。個人消費の拡大が示された場合、減速懸念はさらに和らぎ、金利高・ドル高の要因となりそうだ。
予想レンジ:129円00銭-133円00銭
《FA》
提供:フィスコ