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【市況】来週の株式相場に向けて=日銀総裁人事に視線集中、10日に向け転換点迎えるか

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 3日の日経平均株価は上値抵抗線の2万7500円をわずかに上回り取引を終え、約1カ月半ぶりの水準に上昇した。前日のナスダック指数が3%高と急伸するなど追い風はあるものの、依然として上値は抑えられる展開にある。

 話題となっているのが、この数日の日経平均株価の形状だ。2万7500円を上値に小さなローソク足がきれいに並ぶ。「あまり見たことがない状態だ」と市場関係者はいう。

 米金融政策は3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げで打ち止め期待が膨らんでいる。一方、続いて注目されているのが日銀の動向、特に総裁人事だ。10日には正副総裁人事案が国会に提示されるとみられている。

 もちろん最大のポイントは4月8日に任期満了を迎える黒田東彦日銀総裁の後任だ。市場では、「本命」が雨宮正佳副総裁、「対抗」が中曽宏前副総裁、「穴」が山口広秀元副総裁とみている。「雨宮氏が頭ひとつリードしているのでは」(アナリスト)との下馬評だ。政策スタンスは、雨宮氏はハト派寄り、中曽氏はややタカ派、山口氏はタカ派と評価されている。次期総裁に雨宮氏が指名された場合、アベノミクスの継承との印象もあり円安・株高、中曽氏は中立だがやや円高、山口氏なら円高・株安というファーストアクションを予想する見方もある。

 しかし、「雨宮氏が次期総裁に選任されて、もし本来必要とされている日銀金融政策の修正が遅れてしまった場合、年後半以降、世界経済が後退局面に入った時に日本は何も打つ手がなかったというような状況も起こり得る。山口氏が総裁となり、行うべき金融政策の修正を実行してくれるのなら長い目では、その方がいいのかもしれない」(アナリスト)との声もあり見方は分かれている。日銀総裁人事はアベノミクスの行方という面にも絡み、岸田政権の今後を左右する可能性もある。米国情勢の先行きに明かりが見え始めたが、次は日銀が焦点だ。

 来週は、日本企業の決算発表がピークを迎える。特に7日のソフトバンクグループ<9984>と9日のトヨタ自動車<7203>は注目。また、6日にJFEホールディングス<5411>、エーザイ<4523>、7日に任天堂<7974>、8日に富士フイルムホールディングス<4901>、9日に日本製鉄<5401>、10日に日揮ホールディングス<1963>が決算発表を行う。海外では7日にバイデン米大統領が一般教書演説を行い、10日に中国1月消費者物価(CPI)が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7200~2万7800円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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